筆者は10数年働いてきた会社を、うつ症状(適応障害)で退職した経験をしています。
実際に自分で経験してみて感じたことは、
- うつ症状や適応障害は、初期段階で我慢せずに、休職や退職で逃げたほうがいい
- 無理に我慢をして、長引かせて症状がひどくなると、その方が取り返しがつかなくなる
このような思いでした。
「休職や退職で逃げる」と表現すると、なんだか負けのような気持ちになるかもしれませんが、決してそうではありません。
かりに「勝ち」や「負け」で表現するのだとしても、それを決めるのはあなた自身です。
あなたが健やかな心身を取り戻せば、たとえどんな状況になったとしても、いつだってやり直しができます。
健やかな心と身体に勝るものは、他になにもありませんよ。
今回の記事では、うつ症状(適応障害)など心身に異変があったときに、どのように考えて対応するべきかをお話しします。
自身の体験にもとづいてお話ししますので、あなたの悩みを解決するためのヒントとなれば幸いです。
私がうつ症状になってしまった経緯について

まず最初に、なぜ筆者がうつ症状になってしまったのか、そのいきさつについて詳しくお話しします。
“うつ”とは無縁のストレス耐性があると思っていた
正直なところ、サラリーマンとして働くなかで、

うつや適応障害なんて、自分は無関係だよ
このように思っていました。
会社に入社して10数年働いてきたなかで、いくつもの難局を乗り越えてきたのです。
勤め先はベンチャー企業だったのですが、会社が大きくなる過程で、月200時間近い残業を何年も続けていた時期もあります。
自分にはうつ症状と無縁のストレス耐性が備わっている
このようにすら思っていました。
しかし、それは明らかに過信であり、大きな誤りだったのです。
タフだと信じていたものは、いくつもの支えで、絶妙なバランスが保たれていただけ。
どこかに狂いが生じると、倒壊するビルのように、一気に崩れてしまうものでした。
身をもって、それを思い知ることになってしまったのです…
会社に行くときだけ”症状”が起きる
筆者がうつ症状を発症するきっかけとなったのは、人間関係の板挟みによるストレスからでした。
ある時から会社に行こうとすると、
- 動悸
- 息切れ
- 頭がくらくらする
- 吐き気
- 耳鳴り
上記のような症状が起こるようになったのです。
ただしこれらの症状は、不思議なことに、会社を出て家に帰ると症状が治まります。
症状はだんだんひどくなっていき、徐々に仕事にも影響が出るようになってしまいました。
- なんてことのない仕事でミスをする
- とつぜん無性に腹が立って、些細なことにキレてしまう
このようなことが起こるようなり、周りの人にも迷惑をかけるようになってしまったのです。
生まれてはじめて心療内科を受診

さすがにこのままではマズいな…
このように思って、はじめて心療内科を受診してみたところ、そこで「うつ症状」と診断されました。
ネットでも自分でいろいろ調べてみたのですが、「適応障害」というものに自分は該当したのかもしれません。
症状を抑える薬を処方してもらったのですが、飲むと副作用が出てしまって、別の意味で仕事になりませんでした。
短期間の休職を取って、復職をめざすことに
筆者の発症理由は人間関係によるものなので、その人たち(二人)から離れれば、仕事を続けるのは問題ないと考えていました。
そこで、会社にその状況を報告。
いちど短期間の休職を取って、別部署に異動して復職するプランを提示されたのです。
会社に対しては愛着があり、辞めたいわけではなかったですし、異動先の上司はかつて一緒に仕事をしていて、勝手知ったる仲でした。

しっかり休んでリフレッシュしてくれ。また一緒に頑張ろう
このように声を掛けてくれて、気持ちがとても楽になったことを覚えています。
休職の期間は1ヶ月半ほどと、それほど長いものではありませんので、とにかく仕事を忘れてリフレッシュしようと考えていました。
- 行きたいと思ったところは、すぐに旅行へ行く(青春18きっぷをはじめて利用)
- 年齢を忘れてひたすら遊ぶ(ポケモンGOなど)
上記のような感じで、とにかく休暇を楽しんでリフレッシュすることができ、新しい部署での復職を迎えることができたのです。
とくに大きかったのは、傷病手当金という制度を利用したことでした。
休職期間中は有給休暇ではないので、基本的に無給になってしまいます。
ですが、傷病手当金を利用すれば、給与のおよそ2/3くらいの額を支給してくれるので、安心してリフレッシュに専念できたのです。
傷病手当金の詳細など、休職に関する手続きについては、別の記事でお話ししていますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
復職するも、症状が再発して退職へ
しっかりリフレッシュしたおかげで、新しい部署での復職はスムーズでした。
上司にも恵まれて、周囲もよい人ばかりで、症状も治まったように思えたのです。
しかし、部署は変わったとはいえ同じ会社ですので、発症のトリガーとなった人とも顔は合わせますし、メールなどでやり取りする機会はあります。
関わりがあるときには、やはり軽い症状が出てしまうのです…
また、落ち着いて仕事はできてはいたものの、以前のように、仕事に対して前向きな気持ちになることができません。

以前のように、やりがいを感じてバリバリ働くのは、もう無理なのかな…
上記のような焦りを徐々に感じるようになり、復職から半年経ったくらいから、治まっていた症状が出てくるようになりました。
再び休職するということも考えましたが、会社にも迷惑がかかりますし、結局同じことを繰り返すだけという気もします。
復職から1年半ほど経ったころに、会社を退職しました。
退職後は半年ほど療養に専念して、それから転職活動やブログ運営などをはじめています。
今では、耳鳴り以外の症状はかなり治まって、こころ穏やかに過ごせるようになりました。
筆者が退職したときの手続きについては、別の記事でお話ししていますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
うつ症状や適応障害にどう向き合うべきか?
筆者の場合は「うつ症状」というだけであり、本格的なうつ病や適応障害の状態と比べると、はるかに軽いものだったと思われます。
しかしこのような早い段階で、

このままいくとマズい…
上記のように感じて、筆者は「逃げる」いう選択を選びました。
なぜすぐに休職や退職を選んだのか?
なぜ筆者はすぐに、休職や退職で会社を「逃げよう」という判断をしたのでしょうか?
じつは正直なところ、今でもよくわからない部分もあります。
会社の管理者研修でメンタルヘルスを多少は学んでいて、
- うつは悪化すると治るまで時間がかかる
- 同じ環境にいたら悪化する可能性が高い
このような認識を持っていたからかもしれません。

だとすると、ちょっと皮肉ですよね…
休職や退職で環境を変化させることができる
筆者は早い段階で「休職して療養する」という選択をしたことで、
環境を変えて復職する
というプランを会社に取ってもらうことができました。
結局は症状が再発して退職することになったのですが、ここでもガマンせずに逃げたからこそ、退職後に半年ほど本格療養しただけで、かなり回復することができたのです。
自覚症状が出てからも、ガマンをしたり薬でごまかし続けていたら、取返しがつかないことになっていたかもしれません。
残念ながら会社を辞めることになりましたが、休職や退職で「逃げる」と早めに決断したことは、今でもよかったと思っています。
人生の目的を大切にするからこそ、早めに逃げるのもあり
筆者の人生にとって、仕事はあくまで「手段」であり、「目的」ではありません。
自身の心身を健やかに保てなければ、
妻と楽しく幸せに暮らしていく
自身にとって何よりも大切な、上記の目的を果たすことができなくなってしまいます。
ですので、筆者は今でも会社を退職して良かったと思っていますし、後悔する気持ちはありません。
安定した収入を失うことはもちろん痛いですが、心身が健やかであれば、またどうにでもできます。
いくらでも選択肢がある「仕事」という手段において、
うつ症状で健康を損なうような仕事なのであれば、すぐに替えたほうがよい
というのが、筆者の思うところです。
とにかく逃げたいときは、「退職代行」もひとつの方法

筆者の場合は、会社も筆者のことを考えてくれていて、とても恵まれていたように思います。
しかしなかには、仕事を辞めようと考えたときに、
- 上司や会社がブラックで、まともなやり取りができない
- 心身がまずいので、どうしてもすぐに辞めたい
上記のようにトラブルや本当に辛くて、どうしようもないという方もいるでしょう。
もしそうなのであれば、退職代行サービスを利用するのもひとつの手です。
会社への連絡などを代行してくれますから、上司など会社の人と直接に話をする必要もなく、会社に行かずに退職を完了させることができます。

でも退職代行なんて、最近の若いやつが使うものでは?
このような思いがあるかもしれませんが、じつは退職代行を利用する人の28%が40代以上というデータもあるくらい、利用者の幅は広がっているのです。
最近では、弁護士が退職代行サービスに乗り出すケースも増えており、
- 残業代の未払いがある
- 有休消化を拒まれる
上記のような労働問題に対しても、代理人として責任をもって対応してもらえます。
退職代行を依頼すると費用が発生しますが、初回相談は無料です。
会社に行かずに退職手続きを進めたい場合は、いちど相談してみることをおすすめします。
関連記事: 退職代行は40代も利用している!ヤバい会社は代理を立てて退職しよう
まとめ:我慢して悪化させると取り返しがつかない!休職や転職も検討しよう
今回は、筆者がうつ症状の発症や、休職や退職を経験して感じたことをまとめてみました。
筆者の場合は家族も同意してくれたので、「すぐ逃げる」という選択を取ることができましたが、状況によっては、同じ選択を取れないという人もいるかもしれません。
ただしその場合でも、あなた自身の「手段と目的」を整理して、「逃げる」という方法も選択肢のひとつとして、ぜひ検討してみてください。

健やかな心身に勝るものは、なにもありませんよ!
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