上司から「昇進」を提示されたにもかかわらず、
こんなふうに、心のなかで拒否反応を示す方もいるでしょう。
管理職には、仕事のモチベーションとなる“やりがい”がある反面で、残業や休日出勤など、ネガティブなイメージもつきまといます。
とはいえ、出世を拒むことは、会社員としてリスクが伴うもの…
覚悟を決めてマネジメントの道に飛び込めば、新たな自分の可能性が見えてくるかもしれません。
今回の記事では、「出世」という岐路に立つあなたが、いま考えるべき問題について、さまざまな角度から解説していきます。
ぜひ最後までご覧下さい。
出世したくないと考える人が増えている
世代問わず、出世を望まない人材が増えいるのは事実です。
若年層であれば、価値観や働き方の多様化で、管理ポストに対する憧れをもっていないことが挙げられます。
また中年以降においては、
- 新しいスキルを身につけるなんて今さら面倒
- 責任なんて負いたくない
- 現状ポストのまま、定年までいきたい
このような願望を持つ方もいるでしょう。
女性であれば、結婚や出産といったタイミングで職場を離れることを想定して、管理職を敬遠する人も多いのです。
2019年4月に働き方改革が施行されましたが、いまだに管理職を含めた会社員の多くは、身近な変化を実感していないのかもしれません。
ネガティブなイメージばかりが先行してしまい、管理職を目指す人材がいない現状は、会社だけの問題ではないのです。
「管理職になりたくない」と考えるのはなぜなのか?
若年層や中堅社員、所帯持ちの方でさえ、管理職というポジションを毛嫌いする人がいます。
彼らはおもに、以下のようなネガティブなイメージを管理職に抱いているのです。
責任が重たそう
このような理由がまず挙げられます。
会社や部下のために頭を下げることもあるでしょうし、業務の結果次第で会社から責任を追及されることもあるのです。
管理職は結果重視のポジションであるゆえに、シビアなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
仕事量・残業が増える
こちらも定番ともいえる理由でしょう。
プライベート重視の風潮が強まるなか、毎晩遅くまで会社に残ったり、休日出勤をする管理職に良いイメージを持っていません。
上記のような意見をよく耳にしますが、「管理職=残業」というイメージはいまだ払拭されていないのです。
自由な主張ができなさそう
現場職から一転して、
このようなイメージを持つ人もいます。
- 年功序列で意見ができない
- イエスマンしか好まれない
上記のような、古き日本社会のイメージも未だに根付いているのです。
現場から見た管理職は、いろいろな“しがらみ”に捕らわれているようにも映ります。
仕事内容がつまらなそう
報告業績や部下の管理ばかりで、
- やりがいが無さそう
- 仕事自体が面白くなさそう
このようなイメージを持つ人もいます。
とくに営業職の場合は、顧客とのコミュニケーション中心の仕事から、結果重視のよりシビアな業務に一変するのです。
「プレイヤーとして楽しみが減る」といった、ネガティブな意見もあります。
精神的なストレスが増える
現場と会社の意向との板挟み、部下の育成、顧客からのクレーム対応など、
このような心配をする声もあります。
事実、ストレスに耐え切れず、管理職を降りる人も確かにいるのです。
同僚・部下に嫌われるのがイヤ
ポジションが上がれば、当然ながら同僚や部下に対しても、指導をする局面が増えてきます。
状況によっては、意見の衝突が生まれたり、拒絶されたりするかもしれません。
- 築いてきた良い関係が崩れてしまう
- 周囲から嫌われたくない
このような理由から、管理職の道を避けるサラリーマンも少なくないのです。
休日出勤でプライベートな時間が減りそう
管理職になると休日出勤が増えたり、自宅に仕事を持ち帰ったりと、
このように考える方も多いでしょう。
管理職ともなると、その位置づけによっては、残業代や代休といった手当が出ないケースもあるのです。
管理職(労働監督者)の不満や愚痴を耳にした社員は、マネジメント層に対して、いっそうネガティブなイメージを抱くようになります。
社内にロールモデルがいないことにも原因がある
このような「憧れの存在」となる、ロールモデルの人材がいないことも、若手が「管理職になりたくない」と考える原因のひとつでしょう。
厚生労働省では、働き方改革・女性の活躍推進を掲げるなかで、
企業におけるロールモデルの設定
上記を普及させる取り組みを進めています。
ロールモデルとは、社員が目指したいと思う模範となる存在であり、そのスキルや具体的な行動を学んだり模倣したりする対象となる人材です。
厚生労働省資料より
新人・中堅社員・管理職・スペシャリストと4階級に分けて、それぞれ理想となるロールモデルの育成を推奨しているのです。
しかし実際の現場では、管理職は通常業務に加えて時短の取り組みなどにも追われており、まったく余裕がない状態でしょう。
そんな管理職の姿を見ている部下たちは、
このように、ますます出世の道から離れてくのです。
組織における管理職のやりがいとは?
そもそも、組織で重責を担う管理職のやりがいとは、いったいどのようなものがあるのでしょうか?
組織の中間管理職がやりがいを感じる瞬間は、以下のようなことが挙げられます。
- 部署の業績アップを褒められたとき
- 新しい企画を頼まれたとき
- 責任をある業務を任せられたとき
- 部下から頼りにされたとき
会社や周囲の期待に応えようとするほど、その頑張りが成長につながって、いっそう高いモチベーションで、仕事に取り組むことができるでしょう。
管理職に昇進することのメリット
それでは、管理職に就くことで得られるメリットは、どのようなことがあるのか確認してみましょう。
マネジメント能力が身につき、自己成長につながる
数人~数十人、会社規模によってはもっと多くの部下をマネジメントすることになります。
部下は十人十色、一筋縄ではいきませんので日々、管理能力が磨かれるでしょう。
コミュニケーションを深めたり、コーチングを学んだりと、さまざまな経験があなたの将来の糧となっていくのです。
また、一般職よりも多くの情報に触れることで、組織運営や社会の仕組みをより本質的に学ぶことができます。
周囲の人間や家族から尊敬される
平社員よりも上位職の方が、敬われる傾向にあるのは間違いありません。
家族、とくに子どもから見れば、親が管理職として責任ある立場にあることは、やはり尊敬に値するものなのです。
社会的な信用度が高い管理職だからこそ、プライベートでもつい頼りにされることも増えます。
周囲からも自然と慕われようになるでしょう。
基本給・賞与のアップが期待できる
管理職になると、基本給や賞与の額が変わってくるでしょう。
業種・業界によって違いはありますが、苦労した分だけ年収アップするのが管理職です。
残業時間の削減が進むなか、一般社員のまま年収を上げることは、以前にも増して難しくなっています。
- もっと多く稼ぎたい
- 経済的な余裕を持ちたい
このような思いがあるのであれば、迷わず管理職へ昇進するべきでしょう。
管理職手当も別途付与される
管理職手当は、部長・課長・係長など、職位や年齢により金額は変わります。
手当が支給されると数万円単位でアップしますので、年収換算ならなおのこと、大きな差となるでしょう。
管理職手当は、能力やスキルにかかわらず支払われる手当なので、業績悪化でカットされることはなく、安定的に付与されます。
新たな人間関係が築ける
環境が変われば、人間関係も変わるもの。
高度な知識、志を持った人たちの思想に日々触れることで、あなたの意識は大きく変わっていくはずです。
仕事に対するモチベーションアップはもちろん、広がる人脈から“新たな道”が拓ける可能性もあります。
さまざまな人との交流が良い刺激となって、公私ともに充実するでしょう。
職場環境を改善する裁量を持てる
管理職は責任と背中合わせで、現場を変える裁量も与えられます。
職場の問題点や仕組みなど、変えたいと願っていた事柄に対して、直接携われるようになるのです。
不満や意見がたくさんあるなら、管理職になって自らで変えた方が、断然スピーディーに問題が解決できるでしょう。
一般社員で居続けることのメリットとデメリット
もし一般社員として残った場合は、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
一般社員でいることのメリット
管理職に比べれば、より多くの時間をプライベートに割けるかもしれません。
責任の範囲も狭いですから、自分の仕事さえこなしていれば、たいてい責められたりすることはないでしょう。
異動でもない限りは、新しい仕事を覚えるストレスとも無縁です。
変化を好まない方にとっては、一般社員として残留する道もありかもしれませんね。
一般社員でいることのデメリット
会社の事業が大きく発展するなどしない限りは、大幅な年収アップは期待できません。
会社によっては、年数千円程度のベースアップのみという場合もあります。
残業時間が削減されれば、逆に給与(年収)が下がってしまう可能性もあるでしょう。
また、職場の問題点に対する改善要求が通りずらいのが、一般社員という立場です。
熱意を込めて提案や意見をしても、
このように片付けられてしまうこともあるのです。
ほかにも、後輩や同僚がこの先で上司となれば、気まずい思いをするかもしれません。
世間体を気にする家族であれば、あなたに対する期待値も低下していくでしょう。
出世を拒むことにはリスクがある
会社には人材を適所に配置する「人事権」があり、昇進を拒むことは会社の意に反したとみなされて、「懲戒処分」の対象となる可能性もあるでしょう。
コンプライアンス上、解雇とはならないでしょうが、昇給が滞ったり、閑職に飛ばされる可能性があるのです。
昇進を辞退する場合は、会社側が納得する正当な理由を用意しなければなりません。
また平社員として残った場合は、「年齢相応の社会経験が学べない」というデメリットが生じます。
管理職に就けば、自ずと人との交流や組織の在り方、社会構造などを学ぶ機会に恵まれて、その後のキャリアに活かせる経験ができるのです。
昇進を拒むことは、あなたの将来の可能性を狭めることになるかもしれません。
管理職に抱くイメージと現実は異なる
管理職に対しては、ネガティブなイメージを持たれがちですが、実際に管理ポストに就いてみると、そのギャップに驚くかもしれません。
会社の情勢や未来への可能性など、管理職となって見えてくる世界は、そのポストに就いてみなければ体感できないものです。
最初から自信にあふれた人など、ほとんどいないでしょう。
たいていの社員は、誰かに背中を押されて「マネジメントの道」を歩み始めています。
会社はあなたの業績や仕事に対する姿勢を評価したうえで、管理職へのチャンスをあなたに与えているのです。
いちど試してみる価値は十分にあります。
仕事に対するモチベーションも、大きく変わってくるかもしれませんよ。
管理職になりたくない…の先を考えよう
このような意見が出てくるかもしれませんが、最終判断はあなた自身が下しましょう。
将来的に考えて、あなたのプラスになると思うのであれば、勇気をもって飛び込むべきです。
しかし一方で、心身が万全ではなく考えただけで憂鬱になってしまうのであれば、さらに状態が悪化する可能性もあるので、断った方がよいかもしれません。
いずれにしても、一時的な揺れ動く感情に流されることなく、自分の価値観と将来性を考えながら、あなた自身にとってベストな答えを導き出しましょう。
理想を追いかけた結果なら、転職という選択もアリ
- 真剣に考えた結果、本当にやりたい仕事が見つかった
- 今の会社では、望むキャリアを積めないことに気がついた
上記のように、昇進という機会があったからこそ、真剣に将来を考えて新しい気づきがあったという人もいるでしょう。
真剣に考えた結果が「転職」という道であるのなら、それは間違いではありません。
早めに退職の意向を伝えて、貴重な昇進チャンスは他に譲ってあげましょう。
人生は一度きりしかありません。
先々に後悔しないためにも、自分の可能性を最大限に追いかけることに集中するべきです。
まとめ:管理職への岐路は人生における新たなステップ
今回は、管理職への出世という岐路に立つあなたが、どのような意思決定をするべきか、さまざまな可能性を交えてお話ししてきました。
あなたが今このように考えているのなら、いちど固定観念を取り払って、あらゆる可能性について思案してみましょう。
管理職になることのメリットや将来性、一般社員として残った場合のメリットやデメリットなど、お話ししたことを参考にして考えてみてください。
もし真剣に考えた結果が「転職すること」だったのなら、それもまた「自分らしい道」を切り拓く第一歩なのかもしれません。
大切なことは、周りの意見に流されることなく自らの意思で決断すること。
あなたの勇気ある決断が、きっとこの先の人生を実りあるものにしてくれるはずです!
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