仕事の悩み

傷病手当金の手続きと仕組みを社労士が解説します【長期療養時の頼れる制度】

ケガや病気で、もし1ヶ月会社に行けなくなったら、どうやって生活していけばいいんだろう?

こんな心配をしたことが、1度くらいはあるのではないでしょうか?

そんな時に頼りになるのが、健康保険から支給される傷病手当金です

しかし、どのような制度なのかよくわからないですし、

申請手続きはどのようにすればいいの?

このような方も多いのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、

傷病手当金を正しく受給するには、どのようにすればいいのか?

上記について、現役の社会保険労務士が解説していきます。

傷病手当金の仕組み

それでは、傷病手当金の仕組みについて確認していきましょう。

まずは自分の健康保険証の種類を確認しよう

ひと口に健康保険といっても、運営している組織によって、以下の3種類に分かれています。

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 健康保険組合
  • 国民健康保険

全国健康保険協会(協会けんぽ)」には、おもに中小企業に勤める方が加入しています。

健康保険組合」は、一部の大企業や業界(自動車業界など)が運営している組織です。

その会社や業界の従業員の方が、加入する仕組みになっています。

国民健康保険は、自営業者の方が入るイメージがあるかもしれませんね。

しかし、飲食店や理美容などのサービス業を個人で営んでいる場合は、その従業員の方は、自分で国民健康保険に加入しているケースもあるのです。

国民健康保険の場合は、原則は傷病手当金の仕組みが無いのですが、以下のように特例で支給される場合もあります。

事前に確認しておく必要がありますのでご注意ください。

この記事においては、全国健康保険協会(協会けんぽ)の傷病手当金について、仕組みをお話しさせていただきます。

傷病手当金とは

傷病手当金というのは、

病気やケガによる療養で、働くことができない

上記のような場合に、健康保険から手当てが給付されるものです。

給付される額については、以下のように定められています。

傷病手当金の給付日額 計算方法

支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額

だた、上記を見ても、何を言ってるのかわかりませんよね。(笑)

目安としては、「1日分の給与のおよそ2/3」くらいだと思ってください。

つまり、給与の2/3くらいの額が、傷病手当金として支給されます。

また、傷病手当金というのは、申請すれば誰でも支給を受けられるというものではありません。

傷病手当金を申請するためには、以下の要件を満たしている必要があります。

傷病手当金申請の要件
  • 社会保険の健康保険加入者であること
  • 私傷病(業務外でのケガや病気)により、4日以上(連続する3日間を含む)仕事に就くことができないこと
  • 休んだ期間の給与の支払いがないこと

待期期間とは?

傷病手当金を受給するには、「待期期間」が必要となります。

待期期間とは、初回の請求時に、「連続して」3日間仕事を休んだ期間のことをいいます。

◆待期3日間の考え方

待期3日間の考え方協会けんぽホームページより

待期期間中は有給休暇を利用することも可能で、会社の休日(土日が休みの場合は土日)が含まれていても待期期間に入ります。

3日間の待期期間を経過して、4日目からが傷病手当金の支給対象となるわけです

傷病手当金が支給される期間は?

支給される期間は、待期期間後の支給開始日から最長で1年半となります

なかには、回復して出勤できる日もあったり、休んだりを繰り返すケースもあるかもしれません。

ただ、途中で受給しない期間があったとしても、支給開始日から1年半後までという受給可能期間は変わりません

もし、1年半経っても治らなかった場合は、同じ症状で傷病手当金の再申請をすることはできません

ただし、ある程度の期間を出勤していれば(数年ほど)、再申請が認められるケースもありますので、該当する場合はいちど確認してみましょう。

また忘れがちなのは、会社を休んで傷病手当金を受給している間も、雇用保険料や社会保険料の支払いは必要となる点です

支払方法については、会社と相談するようにしてください。

傷病手当金の申請手続きの流れ

傷病手当金の申請の際には、以下の書類が必要となります。

傷病手当金の申請に必要な書類
  • 傷病手当金 支給申請書
  • 療養担当者(医師)の意見書
  • 事業主の証明

基本的には会社が手続きしてくれるのですが、申請書類には、

  • 通院している病院(医師)が記入する欄
  • 自身で記入しなければならない欄

このような個所があります。

病院(医師)の記入欄については、自分で病院へ行って、「療養担当者記入用」の部分を記入してもらうよう、依頼しなければなりません。

「傷病手当金 支給申請書」の本人記入欄に記入する

「傷病手当金 支給申請書」をダウンロードして、申請に必要な情報を入力していきます。

申請書は以下のページより、ダウンロードすることが可能です。

「傷病手当金 支給申請書」の被保険者記入用ページに、必要事項を記入してください。

「傷病手当金 支給申請書」の意見書を、担当医師に記入してもらう

続いて担当医師を受診して、「傷病手当金 支給申請書」の療養担当者記入用のページに、医師の見解を記入してもらいましょう。

病院でその旨を依頼すれば、対応してもらえるはずです。

「傷病手当金 支給申請書」の事業主証明を、会社に記入してもらう

本人記入欄と医師の意見書がそろったら、会社に事業主記入用ページへの記載を依頼しましょう。

もし休職中で出勤していない場合は、本人記入と医師記入分を同封して、「傷病手当金 支給申請書」を会社へ郵送して依頼してください。

「傷病手当金 支給申請書」を会社が提出する

「傷病手当金 支給申請書」の協会けんぽへの提出は、会社から必要書類をそろえて提出してもらいます。

※本人が提出することも可能です

受領された「傷病手当金 支給申請書」は、協会けんぽにて審査されて、問題がなければ「支給決定通知書」が送られてきます。

指定した口座への入金は、申請から2~3週間後に行われます

病院で意見欄の記入をしてもらう場合の注意点

先に述べたように、傷病手当金の支給申請書には、「療養担当者記入用」の欄があります。

療養担当者の欄に医師の「意見」を書いてもらうのですが、まれに数千円の費用を請求される場合も…

病院によっては、傷病手当金の申請書の記入に慣れていないところもあり、診断書の記入と勘違いされて請求されているのです。

傷病手当金の「療養担当者記入用」に記入してもらう行為は、「傷病手当金意見料交付料」として金額が定められおり、保険の適用内で自己負担額も300円ほどです

病院で書いてもらう際には、費用を確認しておきましょう。

退職する場合の注意点とは?

治療が長引いてしまう場合、やむを得ずに、会社を退職せざるを得ないケースもあるでしょう。

傷病手当金は、一定の条件をクリアすれば退職後も受給することができるので、手当金の給付を受けながら、治療に専念することができます。

傷病手当金を退職後も受給するときの注意点

退職後も傷病手当金を受給するため要件は、以下のとおりです。

退職後も受給するための要件
  • 退職日までに、継続して1年以上健康保険に加入していること
  • 資格喪失日に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること

注意しなければならないのは、「退職日に出勤してはいけない」ということです。

退職の挨拶や引継ぎなどで、会社に出たい気持ちがあるかもしれませんね。

しかし、出勤してしまうと「仕事ができる状態」とみなされて、傷病手当金が受給できなくなります。

退職日は、有給休暇か欠勤となるようにしてください

傷病手当金の受給期間は、失業保険の申請はできません

退職すると、ハローワークへいわゆる失業保険※の申請に行くことが一般的です。(※正確には基本手当といいます)

しかし、傷病手当金を受給している間は、失業保険の申請することができません

失業保険をもらうということは、職探しをするということ。

傷病手当金をもらって治療している状態であれば、

職探しはできないはず

上記が基本的な考え方です。

ただ、そうはいっても、失業保険には受給できる期限がありますよね…

傷病手当金をもらっている間は、失業保険の受給期限を延ばしてもらうよう、申請することができます

不安な方は、ご自身の住所を管轄しているハローワークに、いちど問い合わせてみましょう。

まとめ:傷病手当金は長期療養時の頼れる制度

今回は、傷病手当金を受給するための手続きについて、詳しくお話ししてきました。

内容をおさらいしておきましょう。

今回の記事のまとめ
  • 自分の健康保険証を確認し、傷病手当金をもらえるか確認しましょう。
  • 待期期間の3日間は有給休暇でもOK。会社の休日でもカウントされます。
  • 受給できるのは最長1年半まで。途中で仕事をして受給しなくても延長されません。
  • 退職しても条件をクリアすれば、傷病手当金を受給できます。

傷病手当金の仕組みと手続きの方法について、お分かりいただけたでしょうか?

傷病手当金の制度をうまく活用すれば、生活の不安を軽減して、治療に専念することができます。

もしケガや病気で長期間の療養が必要になったときは、傷病手当金のことを思い出して、会社に申請手続きの相談するようにしましょう。

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この記事を書いた人
すすむ
40代男性、兵庫県在住。社会保険労務士の資格を取ったことを機に、10数年勤めていた製造業を辞め、社労士事務所に転職しました。毎日が発見の連続で、やり甲斐を感じながら楽しく働いています。
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