(執筆:なげ)
転職した時には、誰かの仕事を引き継いで仕事をすることになるわけですが、引き継ぎがいい加減だとものすごく困りますよね…
たとえいい加減な引継ぎでも、業務を続けていかなければならないし、引き継いだ仕事は自分の責任になってしまいます。
そしてその仕事の完成度合いで、自分の評価が決まってしまうのです。
しかし、仕事の引継ぎがいい加減だったとしても、ヤケを起こすことなく、冷静に対処していきましょう。
引き継ぎの質は、ほぼ前任者のクオリティだといえます。
あなたが前任者より質の高い仕事すれば、高い評価を得られるチャンスとなるはずです。
今回の記事では、仕事でいい加減な引き継ぎをされてしまった場合に、気をつけておきたいことをご紹介していきます。
退職時の引き継ぎはどこまでやればいい?現実的なラインを経験者が解説します
引き継ぎがいい加減でも冷静に対処しよう
- 前任者の引き継ぎがいい加減である
- 引継ぎの内容がわかりにくい
こういったことは珍しいことではありません。
とくに前任者がいい加減な人だった場合は、引き継ぎもいい加減になりがちです。
引き継ぎがいい加減でも、ヤケを起こしてはいけない
いい加減な仕事の引継ぎをされている場合は、前任者よりも質の高い仕事をすれば、自分の評価を上げるチャンスだともいえます。

上記のようにヤケを起こさずに、

このようにプライドを持って、仕事をしていくほうが建設的です。
前任者を否定することは、周りには好まれない
たとえ前任者の引き継ぎがいい加減であっても、
- 前任者を否定する
- 前任者に責任を押しつける
上記のような対応は避けたほうが無難です。
前任者を非難したところで、かなり酷い人で解雇されたということでもない限り、

このように同意してくれる人は、まずいないでしょう。
既存の人たちからすれば、あなたは前任者よりも新参者なのですから、ほとんどの場合は前任者の味方をするはずです。
前任者のおかしいところを指摘しても、

こんなふうに言われるだけでしょう。
引き継ぎ資料がいい加減なときに注意するべきこと
引き継ぎ自体がいい加減なこともありますが、
もらった引き継ぎ資料が、いい加減な内容だった
ということもよくあります。
こういった場合は、覚悟を決めてイチから始めるつもりでやるしかありません。
ただ、ちょっとだけ気を付けておきたいことがあります。
変なやり方には理由がある場合も
引き継ぎ資料がいい加減だった場合は、
自分のやり方で新しいマニュアルを作成する
ということになるでしょう。
その際は、すべてを自分の考えだけで進めるのではなく、引継ぎ資料を参考にして、冷静に考えた方がよい内容もあります。

このように思えることでも、実はなにか理由があるのかもしれません。
たとえばExcelデータの入力で、全部のカタカナをわざわざ半角で打ってあった場合。
これは個人の好みで半角にしてあるわけではなく、全データがそうなっているかもしれませんし、他のデータとぶつける時に半角にしておく必要があるのかもしれません。
また、ずいぶん古いやり方をしていると感じても、じつは「クライアントのリクエストに合わせたものだった」という場合もあります。
もちろん、「単に前任者のレベルが低いだけだった」ということもありますが、モノには理由があったりするものです。
すべてを一気に新しいやり方に変えてしまうのは、リスクが伴うことを認識しておきましょう。
過去の資料でも、あなたのせいにされる可能性がある
引き継ぎした後は、
前任者の仕事も、自分の仕事として責任を問われる
ということを認識しておきましょう。
とても理不尽なことですが、ひどい会社の場合は、
- 前任者の不手際
- 過去のデータが間違っていた
上記のような場合でも、自分の責任にされてしまうことがあります。
過去データのミスは、当然ながら前任者の責任ですが、すべてを前任者のせいにするのを良しとしない人もいるのです。
過去の資料をすべて検証しなおすことは難しいですが、重要な部分だけでも見直しておくことをおすすめします。
引き継ぎ資料をちゃんと作成できないレベルの人もいる
筆者があるメーカーに転職したとき、仕事のひとつに「取引のある小売店を訪問する」という業務がありました。
しかし驚くべきことに、前任者は小売店の責任者や担当者も把握していなかったのです。
ですので、取引先のリストさえ作っていないという状態でした…
筆者は同じ業界に長くいましたので、そのありえない状況に驚くばかり。
そして引き継ぎらしきこともほとんどなく、筆者が仕事を担当することになったのです。
ただ、たとえその時点で取引先のリストがあったとしても、そんな前任者が作成した資料など信用できるはずもありません。
筆者はイチから自分でリストを作成して、2年後に後任の担当者へそのリストを渡して、きちんと引き継ぎをすることができました。

このように愕然としたことを記憶しています。
いい加減な引き継ぎだった場合の対応策
引き継ぎがいい加減だった場合は、どのような対応をすればよいのでしょうか?
ここでは、自分でできる対応策をご紹介します。
前任者がまだいる場合は、連絡が取れるようにする
引き継ぎの期間に余裕があったり、前任者が異動でまだ社内にいる場合には、不明点を理解できるまで、しつこく聞いて解明しておきましょう。
前任者が退職してしまう場合でも、

このように了承を取っておくと、とても便利です。
筆者も急な退職をしたときに、後任から何度も電話で相談を受けたことがあります。
経験者にとっては簡単なことであっても、後任者には初めて経験することが多いもの。
わからないことは、後からでも聞けるようにしておくことをおすすめします。
自分で引き継ぎ書を作成する(フローチャートで図解)
引き継ぎをしたときは、前任者と一緒にやってみて、理解したような気になってしまうことが多いものです。
しかし実際に一人でやってみて問題に直面すると、引き継ぎマニュアルだけではわからないことがたくさん出てきます。
こういったことを防ぐために、引き継ぎをする段階から仕事の流れや内容について、自分自身で引き継ぎ書を作成しましょう。
他人の作ったマニュアルよりも、自分で作ったマニュアルの方が、抜群に理解しやすいものになります。
その際に、フローチャートで図解にしておくとわかりやすいです。
引き継ぎが完璧だった場合は、あなたの腕が試される
前任者との引き継ぎが問題なく終われば、それに越したことはありませんよね。
スムーズに業務が進めば、あなたの仕事も評価されるというものです。
でも、ちょっとだけ気をつけておいた方がいいこともあります。
前任者が有能だと思われていた時は、とくに注意が必要
前任者のレベルが低くて、あなたが前任者よりも仕事ができれば、あなたの評価はグンとあがるでしょう。
しかし、前任者のクオリティが高ければ高いほど、なにかと比較されてしまうことになります。
会社側は前任者と同等か、もしくはそれ以上のレベルを求めてきますから、しっかり頑張らなければいけません。
とくに中途採用の場合は、即戦力として採用されるわけですから、

このように思われてしまうと、ピンチに陥ってしまいます。
前任者は有能だと思われていたけど、実はそうでもなかったとき
まれにあることですが、前任者は評価が高くやり手だと思われていたのに、
実際には、評判よりも仕事のレベルが低かった
というケースもあります。
- 過去資料のファイリングがめちゃくちゃだった
- 同じ方法でできる仕事なのに、わざわざ別の方法で処理していた
上記のようなことに遭遇して、

このような疑問を抱くこともあります。
逆にいうと、あなたのレベルが高いということなので、前任者を否定することなく、黙々と前任者を超えるレベルで仕事をしていきましょう。
評判が良かった前任者を否定しても、あなたの株が下がるだけで、とくにいいことはありません。
評判がよかったものを下げるよりも、評判がよかった人を超える仕事をすれば、おのずから評価は上がってくるというものです。
引き継いだ後に問題が発生した場合の対処法
引き継ぎがうまくできたかどうか関係なく、仕事を引き継いだあとに問題が出てくることはよくあることです。
ここでは、よくあるケースと対処法についてご紹介します。
前任者が問題を意図的に隠していた
業務を引き継いで仕事を始めてみると、前任者が問題を隠していた場面に遭遇することがあります。
これは前任者が問題と思っていなかった軽いものから、
バレたらやばいので、意図的に隠していた
というレベルのものまでさまざまです。
明らかに会社の不利益になるような問題であれば、早めに上司に報告しましょう。
まずは「相談」という形をとるのがよいかもしれません。
問題を隠し続けていたら、あなたのせいにされてしまいます。
時間が経って会社に発覚したときに、

このように言い逃れしたところで、あなたの能力が欠けていると思われてしまうだけです。
取引先の不満を、前任者が抑え込んでいた
営業部などでよくあるパターンですが、クライアントの担当者が替わった途端に、先方から問題や不満が続出してくる場合があります。
こういったケースには、以下の二種類のパターンがあります。
- 前任者が先方とそりが合わず、使えないと思われていた
- 前任者が強引な進め方をしていた
❶の前任者とそりが合わなかったという場合は、担当が変わってあなたがうまくやれば、不満は解消されていくでしょう。
しかし❷の前任者が強引だったという場合は、ちょっとややこしくなる可能性があります。
前任者が強引だったということは、取引先の不満を抑え込んでいたり、なだめたりしながらなんとか回していたということです。
これは往々にして、クライアントの無理な要求を飲まずに、先方に我慢をさせていた場合に起こります。
たとえば以下のようなことが挙げられます。
- 先方にとって都合がよくなるように、取引条件の見直しを迫られていた
- 先方からの「お願い事項」を抑え込んでいた
- 人的な応援や労働力の提供を要求されていた
このような要求を抑え込んでいたということは、会社としては「有能である」と判断していた可能性が高いです。
会社側の要求をクライアントに飲ませているわけですから、クライアントから多少の不満が出ていたとしても、
取引先をコントロールできている
という評価が与えられていたりします。
そして抑え込んでいたクライアントの不満は、担当者が替わったときに噴出してくるものなのです。
こういった場合の解決策としては、まずは前任者のやり方に従っておくことが無難でしょう。
前任者から担当が変わってすぐに、取引条件を変えるとか優遇するというのも、逆におかしな話です。
明らかにおかしな条件であれば、解決してあげる必要がありますが、前任者に与えられた以上の決裁権がない場合は、まずは前例に従っておくことが定石となります。

こういった気持ちになるのは理解できますが、だからといって、クライアントの肩を持つ言い方をしてしまうと、
相手の言いなりになっている
会社からはこのように見えてしまうので、注意が必要です。
まとめ:引き継ぎがいい加減だったとしても、あなたの対処を会社は見ている
今回は、仕事でいい加減な引き継ぎをされてしまったときに、気をつけておきたいことについてお話ししました。
仕事の引き継ぎがいい加減だったとしても、ヤケを起こさずに冷静に対処しましょう。
引き継いだ限りは、今後はあなたが責任を持つことになりますし、あとで困るのも自分なのです。
引き継ぎの際には最大限の注意を払い、なにかあれば前任者に確認できるようにしておくことをおすすめします。
引き継ぎがいい加減だった場合は、当面は大変ではありますが、自分が頑張って前任者の時よりよい仕事をすれば、評価されるチャンスでもあるのです。
かりに引き継ぎがスムーズに進んでも、前任者が有能だった場合には、それ以上の能力が期待されるので手は抜けません。
いずれにしても、引き継ぎした前任者を否定するのはNGです。
うっかり非難したりグチを言ったりすると、自分の評判を落としかねませんので、くれぐれも注意してください。
中途採用で入社した場合、あなたは即戦力として期待されていますので、しばらくは不満をグッと飲み込んで、まずは仕事に慣れていきましょう。
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