職業ガイド

小売業の転職が「ストアコンパリゾン」で成否が決まる3つの理由

私は従業員数400人規模の小売業の会社で、新卒と中途の採用・教育を数年間担当した業務経験があるのですが、中途採用面接の合格者には、興味深い特徴がありました。

今回はその興味深い特徴について、ご紹介していきたいと思います。

転職で小売業に応募される方の経験業種は、スーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどさまざまでしたが、9割方が小売業経験者でした。

これは中途社員に求めるものが、「即戦力」であることを鑑みると、小売業経験者が有利に働くことはやはり否めません。

しかしながら、未経験で合格される方も、もちろんいらっしゃるのです。

応募の母数自体は少ないのですが、合格率でみると、小売業経験者よりも高かった記憶があります。

そして経験者・未経験者問わず、合格者には面白い共通の特徴がありました。

その特徴とは、事前に店舗から多くの情報を引き出し、自分の経験や強みで、どのような貢献をすることが出来るのかを、伝えることのできる方たちでした。

このような経験から、小売業に転職を検討している方に、1つだけ助言をするとしたら、以下のことを申し上げたいと思います。

面接前に、ストアコンパリゾン(競合店調査)をしてきたかどうかが、成否の分岐点になります。

実際に採用された方の事例をふまえながら、以下にその理由を3つに分けて、お伝えしていきたいと思います。

ストアコンパリゾンが小売業への転職に役立つ3つの理由

理由1:仕事への姿勢が垣間見える

小売業を転職先という視点から捉えてみると、「事前に、自分が働こうとする場所を見る・感じることが出来る」という特徴があります。

この特徴を有効利用することは、応募書類を作成したり、面接の準備などを進めていく上で、非常に有効な情報収集の手段となります。

こういった特徴があるにもかかわらず、それを活用しないというのは、仕事への姿勢を推し量りたい面接官からすれば、新卒の学生ですら減点対象になるでしょう。

40代の転職となると、致命的といえるのではないでしょうか。

理由2:転職先とのミスマッチを防げる

理由1で小売業の特徴を1つあげましたが、この特徴は社風や店の持つ雰囲気が、自分と合うかどうかを見定める機会にも繋げられます。

つまり小売業経験者であれば、売場の作り方、在庫の数、店の作り、接客、クリンリネスなどから、多くの情報を得ることができると思います。

そこから逆算して、自身の企業選びで大切としていることを感じ取った上で、自分と企業の相性を確認することに活用できるのです。

以下に、その一例をあげておきます。

  • その企業がどの程度のレベル感で仕事をしているのか?
  • 何を大切にして仕事に取り組んでいるのか?
  • 店舗と本部との距離感はどの程度なのか?
  • ホームページでうたっている経営理念やミッションは、現場でどのように体現されているのか?

理由3:面接時に、即戦力としての自分の有用さを伝えるため

ストアコンパリゾンは、小売業界では職種に関係なく重宝される、基本的なスキルの1つです。

店舗など現場での勤務経験があれば、当然身についている能力かと思いますが、バックオフィスでも効果を発揮するスキルの1つになっています。

これについては、次項で具体的にご紹介したいと思います。

相手方企業の情報収集と自己アピールに活かす

ストアコンパリゾンが小売業への転職に役立つ理由のうち、3つ目の「面接時に、即戦力としての自分の有用さを伝えるため」という点について、より具体的にお話ししていきます。

店舗配属を希望される方でも、バックオフィスを希望される方でも、ストアコンパリゾンの知識は活用できます。

ストアコンパリゾンの方法について、詳しい解説をしてしまうと、この記事の趣旨からずれてしまうため、ここでは割愛します。

詳しく知りたい方には、以下の書籍がオススメです。

地域1番店になる!「競合店調査」の上手なすすめ方 (DO BOOKS)

こちらの記事では、小売経験者でなくとも比較的マネがしやすい、「売上規模を推測する」ことを例として取り上げます。

その後、ストアコンパリゾンを通して得た情報を、面接でどのように加工して提示することが出来るのか、このような視点を紹介したいと思います。

売上規模は【売上=客数×客単価】で測ることが出来ますが、これは学生でも知っている数式です。40代の転職では、ここに経験者として付加価値をつけて、相手方企業に示したいところです。

例えば、小売業といっても様々な業種があり、スーパーマーケットもあれば、衣料品店もあります。

つまり「客数」という概念を分解すると、扱う商品によって「来店頻度」や、「購入率」という部分は大きく異なるのです。

また業種ごとに、異なった季節変動があり、「客数」や「客単価」に影響を与えます。

これらを踏まえて売上規模の予測をすることで、情報として知っているレベルではなく、経験に裏打ちされた知識として、学生や経験値の浅い転職希望者との、力量の差を示すことができるでしょう。

さらに、自分がこれまでに経験してきた「成果を上げる方法」を、ストアコンパリゾンの結果を踏まえて、自身の得意な切り口とエビデンスを付加した上で、複数提案することが出来ると思います。

切り口の例としては、「売場の作り方(VMD)」・「在庫管理」・「客単価をあげる方法」など。エビデンスとしては、前職で改善案を実施した際の、数値の変化の度合い(〇%の売上アップに貢献した、業務効率が〇%向上した)などを提示するとよいでしょう。

これらは「面接のために新たにスキルを習得する」ということではなく、仕事の中で経験したことを面接の準備として整理して、

これまでの仕事でこのような能力が身についていますよ
即戦力ですよ

このようなことを、言外にアピールすることに繋がります。

面接官の立場からすると、面接時にこのような自社にとっての貢献意欲を示し、具体的方法やエビデンスを丁寧に示してくれる人なら、自信を持って上司に薦めることができるでしょう。

ストアコンパリゾンの結果を伝えるときは、伝え方に注意をする

ただ、ここで注意していただきたいことがあります。それは「ストアコンパリゾンで見えてきた改善点の伝え方」です。

多くの企業に共通している部分だと思いますが、課題として認識はしていても、「優先順位」や「社内政治」などで、改善できていない点というものがあるはずです。

こういった社内事情を無視して、事実だけを伝えてしまうと、見下されているように感じたり、ネガティブに捉えてしまう面接官も少なからず存在します。

ネガティブな情報を伝えざるを得ない時は、オブラートに包んで、

御社ではすでに取り組んでいらっしゃることと存じますが、〇〇〇という課題に関しては、私の□□の経験を通して貢献できるものと考えます

このように伝え方を工夫することで、ポジティブなメッセージに変換することができます。

もしその課題が、相手方企業にとって解決したいものであれば、課題解決にあたり苦労した点や肝になる部分について興味を持ち、具体的に話を深堀りしてくることでしょう。

このようにして、自身の経験や強みが、相手方企業の課題解決に貢献できることをアピールすれば、あなたが必要な人材であることを印象付けることができるはずです。

おわりに

今回は、小売業の転職が「ストアコンパリゾン」で成否が決まる、3つの理由についてお話ししました。

孫子の兵法・謀攻には、「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という有名な一節があります。

ストアコンパリゾンは、小売業で働く中で身につくスキルであるため、必須能力を兼ね備えていると示すことにもなりますし、相手方企業と自身を知り、転職の戦略を立てるためにも役立つ、使い勝手の良いスキルなのです。

小売業の転職をお考えの方なら、転職活動の準備として、ぜひストアコンパリゾンを行ってみましょう。

▼こちらも合わせてどうぞ▼

この記事を書いた人
BANSOU
30代男性、宮城県在住。高校卒業後→東京の某大学→都内のイベント会社へ就職→宮城の教育系コンサルに入社→ビジネス・コーチとして独立→北海道にある小売企業に教育部門立ち上げのために採用され採用と教育を担当。現在複業で生きる道を模索中。