仕事の悩み

管理職の休日出勤でも残業代や代休は出るの?判断するポイントと対処法とは

  • 休日出勤したけれど、管理職だから残業代がつかない
  • 休日出勤しても、管理職だから代休が付与されない

こんなふうに思いこんでいる方はいませんか?

実際には管理職が休日出勤しても、残業代が支払われるケースもあるんです

それはあなたが「名ばかり管理職」だった場合で、もし該当するのであれば、本来は残業代などは支給されなくてはなりません。

今回の記事では、「名ばかり管理職」かどうかを判断するポイントや対処法について、詳しくご説明します。

筆者はかつて人事部・法務部に在籍して、人事などの法律問題に対処してきました。

その経験にもとづいて、わかりやすく解説しますので、

自分の場合はどうなんだろう?

このように悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

管理職に残業代や代休が出るかどうかは実態で決まる

管理職=残業代が出ない」というルールは、多くの会社に浸透しています。

ではなぜ管理職には残業代が出ないのか、その根拠と判断する基準をまずご説明します。

残業代や代休が出ない根拠は「労働基準法」

管理職が休日出勤をしても残業代は出ない、代休は取れない

上記の根拠となっているのは、「労働基準法」に基づいています。

労働基準法の41条2号において、

管理監督者は、労働時間(32条)、休憩(34条)、休日(35条)の規定は適用されない

このように定められているからなんです。

つまり、もしあなたが「管理監督者」であれば、労働時間・休憩・休日について法律の決まりはなく、残業代や休日出勤分の上乗せ賃金も発生しません。

多くの会社では、労働基準法のこの条文に基づいて、「管理職には残業代が出ない」という制度を設けています。

労働基準法とは、労働条件に関する最低基準を定めた法律であり、公務員などを除いた、日本国内のすべての労働者に適用されるもの。

正社員だけでなく、アルバイトやパートなども対象となっています。

かりに会社側が、労働者に不利となる条件で雇用契約を結んでも、労働基準法に違反している項目は無効になるのです。

「管理監督者」と「名ばかり管理職」は実態を見て判断される

前項で労働基準法41条2号について説明しましたが、よく見てほしいのは、

労働基準法の定めは「管理監督者」であって、「管理職」とは記載されていない

上記の部分について、正しい理解がとても重要となります。

課長や係長などの役職がついて、あなたが「管理職」になったからといって、それだけで「残業代は不要」となるわけではありません。

あなたの会社における管理職のポストが、労働基準法でいう「管理監督者」にあたるかどうかポイントとなるのです。

管理監督者かどうかは役職名で決まるのではなく、働き方などの実態から判断されます。

もし管理監督者にあたらなければ、「名ばかり管理職」と認定されるのです。

2005年にマクドナルドの店長が、残業代などの支払いを求めて起こした裁判で話題になった、「名ばかり管理職」という言葉。

管理職で残業代は出ていないけれども、実態は管理監督者ではない状態のことを指しています。

名ばかり管理職とは

「名ばかり管理職」とは、「偽装管理職」や「名前だけ管理職」とも呼ばれる名目上だけの管理職のことをいいます。管理職という役職に相応する権限や報酬が与えられないのに、管理職だからといって残業代を支給されない従業員のことを指します。

人事ポータルサイト【HRpro】用語集より

つまり、本来であれば残業代などを支払わないといけない、労働基準法に違反している状態といえるのです。

「管理監督者」と「名ばかり管理職」を判断する3つのポイント

では、あなたの会社の管理職は、労働基準法上の「管理監督者」にあたるのか、それとも違法な「名ばかり管理職」なのか?

どちらなのかを判断するには、以下の3つのポイントにすべて該当するかどうかで決まります。

もし、すべて該当すれば「管理監督者」です

それでは、それぞれのポイントについて確認していきましょう。

1.経営者と一体の立場にあり、ふさわしい職務内容や権限がある

管理監督者は、経営の方針決定に参画しており、労務管理上の指揮権限を有している必要があります。

具体例
  • 会社の経営方針を決める重要な会議に出席している
  • 所属する部門・店舗の人員について、採用・解雇についての権限を持っている
  • 部下の人事考課を自身が行っている

2.労働時間や休日を自分で決定できる

管理監督者は、時間を選ばず経営上の判断や対応が要請されるため、出退勤について厳格な規制を受けていない必要があります。

具体例
  • 遅刻、早退などをしても人事考課で不利益な取り扱いをうけない
  • タイムカードなどで厳格な勤怠管理を受けていない
  • 所属する部門・店舗の勤務シフトや残業の決定権を持っている

3.賃金などでふさわしい待遇を受けている

管理監督者は職務の重要性から、定期給与や賞与その他の待遇などで、一般労働者よりもふさわしい待遇を受けている必要があります。

具体例
  • 残業代を支給されなくても良いほど、基本給や管理職手当が支給されている

「管理監督者」は3つのポイントをすべて満たす場合のみ

前述した3つポイントをすべて満たした場合のみ、「管理監督者」であると判断されます。

もし条件をひとつでも満たしていなければ、それは「名ばかり管理職」です。

「名ばかり管理職」であれば、休日出勤時の代休や残業代は付与されるべきものとなります。

管理監督者についてより詳しく知りたい方は、以下の厚生労働省のパンフレットも確認してみましょう。

「名ばかり管理職」チェックリスト

過去の裁判例などを参考に、あなたが「名ばかり管理職」かどうかを判断するチェックリストを作成しました。

当てはまる項目が多ければ「名ばかり管理職」といえますので、気になる方はチェックしてみましょう。

◆「名ばかり管理職」チェックリスト

①職務内容、権限
□採用、解雇に関する権限がない
□勤務シフトを決める権限がない
□取引先を決める権限がない
□管理業務よりも、一般社員と同様の業務が大部分を占めている

②勤務時間などの管理
□毎日タイムカードを押すことを義務付けられている
□勤務予定表の提出を義務付けられている
□出退勤状況が査定の対象とされている
□長時間の残業などで、長い時間会社に拘束されている

③ふさわしい待遇
□残業代をもらっている部下の方が賃金が高い
□管理職手当など、地位に応じた手当が支給されていない

「名ばかり管理職」だったときの対処法とは

「名ばかり管理職」に該当して、さらに残業代などが出ていない場合は、会社に相談できるようであれば、まず会社に相談してみましょう。

ただ会社が相談に応じない場合でも、外部に相談できる機関があります。

ここでは、あなたが「名ばかり管理職」で会社が相談に応じない場合に、外部に相談する方法についてご説明します。

まずは労働基準監督署へ相談してみよう

労働基準監督署とは、会社が労働関連の法律を守っているか監督し、守っていない場合には指導・勧告を行う国の出先機関です。

あなたが「名ばかり管理職」で残業代が支払われていないなら、最寄りの労働基準監督署へ行って相談してみましょう。

相談の際に持参しておきたいもの

労働基準監督署へ相談に行く場合は、以下の書類を持参しておくと話がスムーズに進みます。

  • 「名ばかり管理職」に該当するという証拠の書類
  • 「名ばかり管理職」だった場合の残業代を計算するための書類

例えば以下のような書類を準備しましょう。

ただし、規程などをコピーする際には、会社の上司に見つからないように注意してください。

準備しておきたい書類

●雇用関係の成立を証明する

  • 雇用契約書

●時間外労働手当の取り決めを証明する

  • 就業規程
  • 賃金規程

●管理職の業務内容を証明する

  • 職制規程
  • 職務権限規程

●未払い残業代算出の労働時間を証明する

  • タイムカード
  • 毎日の出退勤時間のメモ

●残業を指示された事実を証明する

  • 残業指示書や、指示内容が記載されたメール
  • 口頭で指示を受けた場合は、その詳細のメモ(時間、場所、誰から、指示内容など)

●残業時間中の業務実施を証明する

  • 作成書類をメールで送信した履歴
  • 業務日報

●給与の内容を証明する

  • 給与明細(できれば管理職になる前、残業代が出ていた期間からの明細)

自身の手書きメモなども証拠になる

会社側が作成した書類でなければ証拠にならないと考えがちですが、あなたの手書きのメモでも重要な証拠になります。

できれば1冊のノートに、出退勤時間や残業の指示などをまとめて書いておきましょう。

労働基準監督署が「名ばかり管理職」と認めると、会社側に未払い残業代を過去2年分さかのぼって支払うよう命じます。

会社側が「名ばかり管理職」だと認識していたなど、悪質だと判断される場合には、刑事訴追されて罰金刑などが科せられることもあるのです。

労働トラブルの相談先は他にもある

労働基準監督署以外にも以下のような相談先があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

それぞれの特性を理解して、自分が相談しやすい機関に出向くことをおすすめします。

  1. 労働組合
    社員同士で助け合うことができるが、組合活動が活発ではない会社もある
  2. 労働局
    迅速に解決することができるが、話し合いがまとまらなければあっせんは打ち切られる
  3. 裁判所の民事調停
    調停調書には判決と同様の効力があるが、歩み寄りの余地がない場合は不成立になる
  4. 弁護士、社労士事務所
    専門家のアドバイスを受けられるが、費用がかかる

未払い残業代請求の時効は2年間

未払い残業代の請求権は2年間となっており、それ以降は時効により消滅します。

つまり請求しても、支払われるのは過去2年間の分だけです。

あなたが管理職になって2年以上経っているなら、請求を先延ばしにすれば、それだけあなたの残業代がどんどん消失していくことになります。

まずは手元にある書類だけでも持って、労働基準監督署などに相談に行きましょう。

名ばかり管理職を世に知らしめた「日本マクドナルド事件」

世間に「名ばかり管理職」という存在を知らしめた有名な事件が、「日本マクドナルド事件」です。(東京地裁平成20年1月28日)

これは日本マクドナルド直営店の店長が、

会社が店長を管理監督者として、残業代を払わないのは違法だ

このように主張して東京地裁に訴えた事件です。

日本マクドナルド事件とは

2005年(平成17年)12月22日に埼玉県熊谷市内にある日本マクドナルド直営店店舗の店長が原告となり日本マクドナルドに未払いの残業代と慰謝料等を求めた訴訟を起こした。

裁判は店長が管理監督者かどうかが争点となったが、2008年(平成20年)1月28日、東京地方裁判所はマクドナルド直営店店長について、「経営方針などの決定に関与せず、経営者と一体的立場の管理職とは言えない」と述べ、日本マクドナルドに残業代など計約750万円の支払いを命じた。

Wikipediaより

結果として東京地裁は、この店長が「管理監督者にはあたらない」と判断して、マクドナルドに対して未払い残業代など約750万円の支払いを命じました。

日本マクドナルド側はこの判決を不服としながらも、

今後は店長に対して残業代を支払う

上記のように、賃金制度の変更を発表して世間を驚かせました。

この判決が世間に与えた影響は大きく、同じような店長職に対して、残業代を支払う大手企業が相次ぎました。

日本マクドナルド事件では、裁判所は以下のような点から「店長は管理監督者ではない」と判断しています。

日本マクドナルド事件における裁判所の判断
  1. 職務内容、権限
    店長は会社全体の経営方針に関与していない。また営業時間や商品の価格、仕入先などは本社の方針に従わなければならない。
  2. 勤務時間などの管理
    店長は自分の労働時間を決めることはできる。しかし月に100時間以上の残業をしており、実質的には労働時間を自由に管理できていない。
  3. ふさわしい待遇
    評価によっては、店長より職位が低いアシスタントマネージャーの給与以下になることがある。



管理監督者でも、深夜手当や有給休暇はもらえる

管理職(=管理監督者)だからといって、残業代や代休と同様にすべての権利がないわけではありません。

ここでは、意外と見落とされがちな管理職のルールについてご紹介します。

深夜労働をすれば、深夜手当は支給される

深夜時間帯(22時から翌日5時まで)に労働した場合は、管理監督者であっても、深夜手当を支払う必要があります。(25%以上の割増賃金)

そのため会社としては、通常はタイムカードなどを打刻していない管理職社員でも、深夜業務がある場合には、何らかの方法で時間管理を行うことが必要です。

また、割増賃金を計算する際には、管理職手当も割増賃金の基礎となる賃金に含めて計算します。

労働基準法では、割増賃金の基礎となる賃金に含めなくてよいのは、以下の7項目のみと定めています。

割増賃金の計算基礎に参入しなくてよいもの
  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 賞与など1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

管理監督者でも有給休暇は取得できる

管理監督者であっても、有給休暇は取得することができます。

出退勤が自由な管理監督者ですから、有給休暇という制度は必要ない気もしますね…

しかし労働基準法では、有給休暇の取得が認められています。

また管理監督者だからといって、いくらでも働かせてよいわけではなく、会社側には安全配慮義務があります。

したがって会社としては、管理監督者の労働時間を把握して、働きすぎているようであれば、有給休暇を取るように促すなどの対応が必要なのです。

公務員は労働基準法に当てはまらない

労働基準法は労働者を守る法律ですが、公務員には労働基準法は適用されません

地方公務員と国家公務員は、それぞれの法律にもとづいて労働・賃金条件が定められています。

地方公務員の場合

地方公務員の場合は、地方公務員法のルールに基づき、各地方の条例で給与などが定められています。

その条例の多くには、

管理職手当を受けている職員には、時間外勤務手当を支給しない

上記のような規定があります。

地方公務員の管理職手当については、以下の記事で詳しく解説しています。

国家公務員の場合

国家公務員については、「一般職の職員の給与に関する法律」に基づき、課長補佐までは残業代(超過勤務手当)が支給されます。

課長以上は残業代が出なくなりますが、管理職手当にあたる「俸給の特別調整額」が代わりに支給されるのです。

たとえば、地方出先機関の課長であれば、特別調整額が支給額は46,300円となります。

国家公務員の管理職手当については、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:管理職の法的な正しい知識をもち、必要なら労働基準監督署へ

今回は、管理職が休日出勤した場合に、残業代や代休がもらえるのかという観点から、「名ばかり管理職」だった場合の対応について詳しく解説しました。

ご紹介したチェックリストで、「名ばかり管理職」である可能性が高いとわかっても、どうするべきか悩んでしまう方も多いのかもしれません。

しかし、そんなときは、

「名ばかり管理職」で残業代を支払わないのは違法行為である

この事実を思い出してください。

これからもいまの会社で働きたいのなら、会社が違法なことをしているのを許せますか?

違法な状態を正すのだと考えて、行動してみましょう。

お話しした内容が、あなたの労働環境の改善につながれば幸いです。

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この記事を書いた人
五島 アツシ
40代男性、山形県在住。4度の転職を経験し、現在の会社は40歳で入社。法務部・人事部での勤務経験を活かし、「転職者側」と「採用する側」の両方の視点を持って、皆さんの役に立つ情報を発信します。
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