仕事の悩み

うつ病で退職を考えたときに…辞め方や支援制度を詳しく解説します

うつ病で仕事をするのがつらい…
もう会社を退職したい…

こんなときは、早く退職して休養することが第一です

しかし、何も考えずにただ会社を辞めてしまうと、生活費や医療費のことが心配になって、休む間もなく再就職のことを考える羽目に…。

これでは、何のために退職したのかわかりませんよね。

今回の記事では、うつ病の方が退職する前にやってほしいこと、辞め方、支援制度などについてまとめています。

退職後の不安を減らしてゆっくり休養するために、少しだけ記事を読み進めてみてください。

うつ病で辞めるとき、後悔しないために退職前にやっておくこと

うつ病でつらいので、会社を退職したい…

このようなときに、「退職する前にこれだけはやっておいてほしい」ことをご紹介します。

医療機関を受診する

すでに病院で治療を受けている方が多いかもしれませんね。

ただ、まだ受診していないという方は、精神科や心療内科といった医療機関を受診しましょう

ネット上には、うつ病のセルフチェックを行えるツールもありますが、自己診断だけで判断することは危険です。

似たような症状の病気もありますので、やはりいちどは病院に行き、医者の診断を受けて適切な治療を行ってください。

また、病院で受診していないと、次項で説明する診断書を出してもらうことができません。

心身の不調を感じたら、まずは病院へ行きましょう。

病院でうつ病の診断書を出してもらう

病院で、うつ病の診断書を出してもらいましょう。

そのメリットとしては、会社に休職や欠勤の制度があれば、利用して休めることです。

診断書を出すことで、会社から休職が認められて休養に専念できます。

また、上司に診断書を見せて相談することもできるでしょう。

デメリットとしては、診断書を発行してもらうのに、お金がかかることくらいでしょうか。

病院によっても違いますが、その費用は2千円〜1万円ほどです。

休職することはデメリットになるのでは…

このように心配する方がいるかもしれませんが、それでは休むこともできなくなり、状態がさらに悪化することも考えられます。

うつ病と診断された場合は、とにかく休んで治すことを第一に考えましょう

休職・欠勤制度があれば、利用してしっかり休む

いま働いている会社で、休職や欠勤の制度があるか確認をして、制度がある場合は利用して休みましょう。

法律で義務付けられているわけではありませんが、多くの会社で欠勤制度や私傷病休職制度が導入されています。

会社の総務や人事の担当者に確認するか、就業規則で制度の有無を確認できるはずです。

なお、休職・欠勤制度の利用には、ほとんどの場合で診断書が必要となります。

もし制度がある場合は、安心して休職するために、以下のポイントを確認しておきましょう。

休職制度で確認しておきたいこと
  • 休職できる期間
  • 休職期間経過後の措置
  • 休職中の賃金
  • 復職手続き

傷病手当金の受給要件を満たしているか確認する

傷病手当金とは、病気やケガで休業したときに、その期間の生活を保障する制度です。

健康保険から、休業した1日につき標準報酬日額の3分の2が、最長1年6ヶ月のあいだ支給されます。

傷病手当金を受給するための条件とは

傷病手当金の支給を受けるには、以下の3つの条件をすべて満たしていることが必要です。

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養で、仕事に就くことができない
  2. 4日以上仕事を休んでいる
  3. 給与の支払いがない(ただし給与の一部が支払われている場合は、手当が減額して支給される)

傷病手当金は退職後も受給できる

傷病手当金は、在職中に受給していた状態でそのまま退職しても、支給期間が残っていれば引き続き受給することができます。(最長1年6ヶ月)

ただし、継続して受給するためには、以下の2点をどちらも満たしていることが条件です。

  1. 退職日までに、継続して健康保険に加入している
  2. 退職時に傷病手当金を受けているか、または受ける条件を満たしている

退職後も傷病手当金を受給する場合の注意点

退職後も傷病手当金を受給する場合に、気をつけてほしいのが、

退職日に出勤してしまうと、退職日以降の手当を受けられなくなる

このような注意事項があることです。

退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の傷病手当金はお支払いできません。

協会けんぽ「傷病手当金について」より

退職の挨拶や手続きなどで、うっかり出勤してしまうと、退職日以降の傷病手当金が受給できなくなるので注意しましょう

また、在職中に傷病手当金を受給していない場合でも、前述の2つの条件を満たしていれば、退職後から受給することができます。

退職後の傷病手当金受給については、前述したようなわかりづらいルールがあります。

確実に受給できるように、退職前に人事や総務の担当者、健康組合などにしっかり確認しておくことをおすすめします。

うつ病で退職するときの辞め方

ここでは、うつ病で退職する場合の会社の辞め方についてご紹介します。

退職届の退職理由の書き方

会社に出す退職届の退職理由に、病気のことを書く必要はあるの?

その必要はありません。

退職理由に具体的なことを詳しく書く必要はなく、退職届には「一身上の都合により」と記載するだけでOKです。

退職届については、以下の記事で書き方などをご紹介していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

正社員なら、退職の2週間前には伝えること

正社員など、期間の定めのない雇用契約を会社と結んでいる場合、民法では「2週間前に退職の意向を伝えれば良い」とされています。

ただし、多くの企業では、

退職の1ヶ月前までに申し出ること

上記のように、就業規則などで定めている場合が多いです。

どちらにするかは、退職するあなたの体調しだいで判断してください。

体調に余裕があるのなら1ヶ月前に、余裕がなければ、せめて2週間前には退職を伝えておきましょう。

できれば、相談しやすい上司の方に前もって相談しておくと、退職を伝えることもスムーズになるはずです。

パートや契約社員などは、即日退職も可能です

パート社員や契約社員などの有期雇用契約の場合は、契約期間中の退職は「会社との合意」が必要と、民法上では定められています。

ただ、合意がない場合でも、「やむを得ない事由(病気やケガなど)」があれば、退職は可能となっているのです。

うつ病によって、働くことができない

状態によりますが、これは「やむを得ない事由」となるため、即日で退職することもできます。

とはいえ、やはり前もって上司に心身が不調であることを伝えておくと、退職の話もしやすくなるでしょう。

派遣社員の方は、派遣会社に早めの相談を

派遣社員で働いている方は、体や心の不調を感じたら、すぐに派遣会社に相談をしましょう。

  • 業務量が多すぎる場合には、業務を減らしてもらう
  • 契約外の仕事を振られる場合は、断ってもらう

上記のように、派遣会社の営業担当にフォローしてもらえるのが、派遣社員として働くメリットであるといえます。

それでも職場環境が改善されないのなら、派遣先を変えてもらうこと検討するべきです。

この職場で働き出してから調子が悪い…

こんなふうに感じるときは、すぐに派遣会社に相談して改善してもらい、ラクに仕事ができる環境を作りましょう。

業務の引き継ぎよりも、自分の体調を第一に考えて!

会社によっては、

出社して業務の引き継ぎをしてから、退職してください

このような要望をされるかもしれません。

しかしこの場合でも、何よりも自分の体調を第一に考えましょう

自宅で業務の要点をまとめて、メール送信でも郵送してもいいですし、電話で担当者に伝えることもできますね。

また、前述したとおり、傷病手当金を受給している場合は、退職日に出社してしまうと退職日以降の手当が支給されません

会社のことよりも、あなたの体調第一で考えるべきです。

うつ病で退職したとき、お金の心配を減らすために

会社を退職したら、どうしても生活費などお金のことが心配になりますよね。

ここでは、そんな心配を減らせる制度などについてご紹介します。

傷病手当金の受給要件を満たしているなら申請する

傷病手当金制度の要件を満たしていれば、退職後でも1年6ヶ月を限度に手当が支給されます。

未申請の場合は、申請手続きをして受給しましょう。

そのためにも、前述した支給のための条件と方法を、退職前によく確認してください。

障害年金で支援を受ける

障害年金とは、病気やケガで仕事ができない場合に支給される年金で、現役世代の人でも受け取ることが可能です。

うつ病の方でも、障害年金を申請して支援を受けることができます。

医師の診療を受けた時点で、どちらの年金制度に加入していたかで、請求できる年金が異なります。

  • 国民年金に加入していた場合:障害基礎年金(申請先:役所)
  • 厚生年金に加入していた場合:障害厚生年金(申請先:年金事務所)

※厚生年金に加入していた場合は、軽い障害で障害厚生年金を受け取れない場合でも、障害手当金を受けれる場合があります。

障害年金を申請できるのは、以下のどちらの要件も満たしている場合です。

障害年金を申請するための要件
  1. 初診日要件
    病気の初診日に、国民年金または厚生年金の被保険者期間中であること
  2. 保険料納付要件
    以下のどちらかを満たしていること

    • 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
    • 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

日本年金機構「障害年金」より

要件を満たす方が申請をして、障害状態が認定されると障害年金が支給されます。

なお、障害年金の申請を検討したい場合は、以下の団体がサポートを行ってくれますので、確認してみましょう。

自立支援医療(精神通院医療)で支援を受ける

自立支援医療(精神通院医療)とは、精神科の病気で通院する際にかかった医療費に対して、給付が行われる制度です。

うつ病の方でも、申請して支援を受けることができ、通常は3割負担となる医療費が1割に軽減されて、さらに世帯の所得に応じて上限が設けられています。

※ただし、入院した場合の費用は対象外です

申請手続きは役所で行いますので、申請書や診断書などの様式は、各役所のホームページを確認しましょう。

仕事が理由でうつ病になったのなら、労災の申請を検討する

長時間労働やパワハラなど、仕事が原因でうつ病になってしまった

上記に該当する方は、心身に余裕が出てきたならば、労働災害(労災)の申請を行うことも検討してみましょう。

「仕事が理由で病気になった」と労災認定されると、休業補償給付傷病補償年金などで療養中の所得が保障され、さらに医療費を払う必要もありません。

また、労災認定された場合、休職している期間とその後の30日間は、会社は従業員を解雇することができません。

うつ病で労災として認定されるためには、以下の3点をすべて満たしていることが条件となります。

  1. 原則として、「精神および行動の障害」に分類される精神障害を発病している
  2. 対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められる
  3. 業務以外の心理的負荷および個体側要因により、当該精神障害を発病したとは認めれない

ただ、精神障害での労災は、認められにくいのが現状です。

「仕事だけが原因である」とは明確に言い切れない

このようなケースも多いためと言われています。

精神障害の労災補償厚生労働省資料より

こちらのグラフでわかるとおり、請求件数は増えているものの、支給決定件数は横ばいです。

また、労災を申請してから認定されるまでの期間も、半年以上はかかります。

かなり精神的に余裕が出てきて、

労災の申請をやってみるか

このような気持ちになれるようであれば、労働基準監督署に出向いて相談してみましょう。

再就職に向けて考えたいこと

まずはしっかり休んで、気持ちに余裕が出てきたら、再就職に向けて次のようなことを考えていきましょう。

職場復帰支援(リワーク支援)制度を利用する

地域障害者職業センターでは、職場に復帰するための専門的な援助である、「職場復帰支援(リワーク支援)」制度を実施しています。

この制度は、センターの支援担当職員が会社側や主治医と連携しながら、休職者を支援するものです。

センターに通所して、担当職員のサポートを受けながら、以下のことを目指します。

  • 生活リズムの構築
  • 基礎体力の向上
  • 作業遂行に必要な集中力、持続力の向上
  • 体調の自己管理、対人技能の習得
復職したいけど、やっていけるか不安だ…

上記のような方なら、地域障害者職業センターで公的サポートを受けることをおすすめします。

地域障害者職業センターは全国にありますので、興味のある方は最寄りのセンターに問い合わせてみてください。

障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)でできること

「障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)」は、一定の精神障害の状態にあることを証明するものです。

この手帳を持っていることで、次のようなメリットがあります。

  • 所得税や住民税、自動車税が軽減される
  • 医療費の助成制度が受けられる
  • 公共料金の割引が受けられる
  • NHKの放送受信料が減免される

また現在では、厚生労働省が定める「障害者雇用率制度」によって、すべての会社が従業員の2.2%以上の障害者を雇用することが義務付けられています。

障害者雇用率制度とは?

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)

民間企業の法定雇用率は2.2%です。従業員を45.5人以上雇用している企業は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

厚生労働省「障害者雇用のルール」より

ここでいう障害者とは、「精神障害者保健福祉手帳」「身体障害者手帳」「療育手帳」を持つ方が対象です。

例えば従業員が120人の会社なら、2人以上の障害者雇用義務があります

120×2.2%=2.64人(小数点以下切り捨て)

長年うつ病を患っていて、

なかなか再就職ができない…
でも働きたい気持ちはある

このような方なら、障害者手帳を取得することも、再就職へのひとつの方法となるでしょう。

障害者手帳の交付を希望する場合は、医師の診断書か障害年金証書を持参して、最寄りの役所で申請してください。

精神保健福祉センターなどでの審査を経て、精神障害者保健福祉手帳が交付されます。

こういった方法もありますので、あなたにとってどのような方法で再就職を目指すことがよいのか、あせらずに確認していきましょう。

再就職先で退職理由を聞かれた場合の対応は?

再就職先で退職理由を聞かれた際に、うつ病で辞めたことを伝えるべきなのか?

上記については、あなたの回復状態によって対応が分かれます。

もし、すでに体調が万全であり、通常どおり働けるようなら、あえて伝えることはありません。

うつ病になってしまった原因が会社にあれば、その状況(長時間労働、上司のパワハラなど)をできるだけ前向きに変換して、退職理由として述べましょう。

しかし、体調面でまだ不安があるなら、

前職は〇〇でうつ病になって退職したため、□□について対処いただきたいのですが

再就職先には、このように不安な点を伝えておく方がよいです。

そうすれば、あなたも不安を減らせますし、会社側も気遣うべき点を確認することができます。

ただし、やはり「うつ病で退職」と伝えることはデメリットです

実際に数社受けても就職できなかった場合には、今回ご紹介している制度などを利用することも検討してみてください。

しっかり休んで、体調が万全になってから再び就職活動を行うのも、ひとつの方法といえるでしょう。

退職理由を聞かれた際の対応については、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

まとめ:まずはゆっくり休んで治しましょう。そのために様々な制度があります

今回は、うつ病で退職する前にやってほしいことや、辞め方、支援制度などをご紹介しました。

さまざまな支援制度が用意されていることに、驚いた方もいるのではないでしょうか?

うつ病の治療には、しっかり静養することが何よりも大切です

ただ静養したくても、これからの生活費や医療費の心配をしていたら、ゆっくり休むことなんてできませんよね。

支援制度は、利用するためにあるんです。

今回ご紹介した制度をフルに活用して、余裕をもって休みましょう。

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この記事を書いた人
五島 アツシ
40代男性、山形県在住。4度の転職を経験し、現在の会社は40歳で入社。法務部・人事部での勤務経験を活かし、「転職者側」と「採用する側」の両方の視点を持って、皆さんの役に立つ情報を発信します。
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