- 異動したい部署があるけれど、上司に申告してもなかなか異動できない…
- とはいえ、退職するべきなのか迷っている
こんな悩みをお持ちの方はいませんか?
異動の希望がなかなか通らないと、どう動けば良いのかわからなくなりますよね…
しかし企業においては、そもそも異動の希望というのは通りにくいものなんです。
ただ待つだけではなく、場合によっては転職活動を並行して進めながら、希望を叶えるための作戦を立てていく必要があります。
そこでこの記事では、かつて人事部に在籍して人事異動にも携わってきた筆者が、
といったことについて詳しく解説します。
あなたの夢をかなえるためにどうするべきなのか、わかりやすく説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
異動の希望は簡単には通らないもの

まずは「異動の希望は通るのかどうか」について、筆者の体験も踏まえてご説明します。
結論からいうと、異動希望が通ることはとても難しいことです。
「異動の希望は難しい」という現状を知ったうえで、どのように対処するべきかを考える必要があります。
異動希望は通っても1〜2割ほど
筆者が過去に勤務していた会社では、社員が異動の希望を申告した場合に、希望が通るのは1~2割ほどでした。
勤務していたのは派遣会社で、離職率も高く人事異動も頻繁だったため、これは他社より高い割合だといえます。
別業種の知人に聞いても、

異動の希望が通ったなんて、あまり聞いたことがないなぁ…
というのがおおかたの意見でした。
もちろん会社によっても異なりますが、
異動の希望が通るのは、とても難しいこと
一般的にはこのようにいえるでしょう。
その理由については詳しく後述しますが、異動の希望を出されても、会社側のメリットになるケースが少ないのです。
過去の実績を調べてみよう
異動の希望が通るのは難しいとはいっても、その割合は会社によって大きく変わります。
社内公募制度などを取り入れている会社であれば、希望は通りやすくなるでしょう。
異動を考えたときは、まずは社内の先輩や人事担当者などに、

異動を希望して認められたケースは、過去にどれくらいありますか?
このように確認してみましょう。

今までほとんど認められたことはないね
ということであれば、転職に力を入れたほうが得策です。
もし希望が通りやすいということであれば、実際に異動した社員を紹介してもらって、

どのようにして異動が通ったのですか?
このように確認をしてみましょう。
やりたい仕事があるなら、どんどん動いて、まずはきっかけをつかむことが大切です。
そもそも会社はなぜ、人事異動をおこなうのか?
そもそも、なぜ企業が人事異動を行うのか、その理由をご存知ですか?
人事異動をする理由を知ると、「なぜ異動の希望が通りづらいのか?」がわかります。
会社が人事異動を行う5つの理由
会社が人事異動を行う理由として、以下の5点が挙げられます。
- 社員のやる気、会社の生産性を向上させるため
- 部署ごとの労働力過不足の調整のため
- 人材育成のため
- 過度の専門化や硬直化を抑制するため
- 組織の活性化のため
「社員が異動を希望する」という場合で考えてみると、会社側のメリットは「社員のやる気」が向上することだけです。
異動先部署の労働力が充足しており、人材育成も問題ない状況であれば、「社員のやる気」のためだけに、会社が異動を行う可能性は低いでしょう。
会社としては、組織上のメリットが十分にあると判断したときだけ、

その異動の希望を叶えましょう
というスタンスが一般的なのです。
また、会社からすると、人事異動を行うことはデメリットになる場合もあります。
うまく機能している組織の人員配置を変えることで、人間関係や生産性など、新たな問題が発生するリスクが高まるのです。
もし在籍中の部署が人員不足であれば、異動させることで、労働力の不均衡が起きてしまいます。
会社組織を運営するうえで、メリットが少なくリスクもある選択肢であるため、「社員の異動希望」が叶う確率は低いのです。
人事異動する際の流れとは
会社によってフローはさまざまですが、一般的な人事異動の流れは、以下のように行われます。
- 上司が部下の評価を行う。このときの面談で、部下は異動の希望を申告する
- 上司は、人事考課で得た社員の能力や状況など、総合的な情報を人事部門に報告する
- 人事部門で人事異動の素案を作り、各上長と協議を行う
- 経営会議などで、人事異動案が承認される
- 異動する社員に内示を出す
人事異動は会社の組織運営に直結する事項となるため、このようにかなり手間をかけて行うケースが多いです。
経営会議などで異議が出た場合に、人事担当者から、

本人は異動先の知識習得に努めており、その分野への転職も検討しているようです
こういった説明がなされるような状態であれば、異動の話が通りやすくなるでしょう。
そのためにも、今できることは全てやっておくべきなのです。
異動の希望を申告できるおもな制度

最近では、
社員からの異動希望を歓迎します
こういった制度を取り入れている会社も増えています。
ここでは、異動の希望を申告できる制度について、どのようなものがあるのか確認してみましょう。
自己申告制度
自己申告制度は、多くの会社で取り入れられている制度です。
◆自己申告制度の例
当社には、社員自らがキャリア形成を思い描き、その達成のための自己啓発や異動希望および現在の業務の状況を、毎年1回会社に申告する自己申告制度があります。
社員が自己申告した内容について、必要に応じ所属部署や関係部署と協議し、本人の適性や、本人の意思に基づく将来のキャリア形成を考慮した人材配置、配属につながるよう努めています。
大塚製薬工場ホームページより
自己申告制度では、上司や人事担当者と面談をおこなって、
- 今後に自身が目指すキャリア
- 職場で改善してほしい点
上記などを伝えます。
ただし、面談で異動を希望しても、すべてが認められるわけではありません。
会社によっては、自己申告制度そのものが形骸化しているという場合もあります。
筆者が以前、勤務していた会社はまさにそうでした。
上司に話をしても、

とりあえず人事部に出してみるわ
こんな感じで対応されていては、あなたの熱意は会社に伝わりません。
勉強して必要な知識を身につけて、退職も辞さない本気度を伝えることが重要です。
社内公募制度
社内公募制度とは、人員が必要になった部署が、社内で人員募集を行うという制度です。
社内公募といえばソニーが有名で、1966年から実施しており、これまで7000名以上が利用しています。
◆社内公募制度の例
ソニーでは従来から、社員のチャレンジ精神を尊重し、会社はそれを引き出す事で、社員個人と会社双方の成長につなげてきました。
例えば、社内人材を公募する「社内募集」制度を他社に先駆けて1966年に創設し、50年にわたって運営してきました。
のべ7,000名以上の合格、異動実績を上げるなど、欠かすことのできない人事制度として定着しています。
SONY人事制度ページより
希望する部署で公募が行われた場合は、応募することで希望がかなう可能性は高いでしょう。
ただし当然ながら、
社内公募制度を取り入れている会社に在籍していること
というのが第一条件となります。
社内FA制度
社内公募制度と同じように、導入する会社が増えているのが、社内FA制度です。
実績や勤務年月などの条件をクリアした社員が、希望する部署の公募に対して、上司への報告なしに応募することができます。
テイジンでは、他社に先駆けて、1988年から社内FA制度を取り入れました。
◆社内FA制度の例
帝人は、社員が自ら異動先を希望できる「社内FA制度」を導入している。
昭和63年度にスタートし、約80人が制度を活用して希望の職場に移った。制度を利用するのは若手や中堅だけでなく、異動後に事業会社社長に就く幹部クラスもいる。
万が一にもFA阻止の動きがないよう、異動が内定するまで直属の上司には内密にする仕組み。
SankeiBiz「上司には秘密です…帝人の社内FA制度」より
社内FA制度があれば、異動の希望がかなう確率は高まりますが、合格するには充分な実績が求められます。
やはり会社は簡単には、異動ができる自由を与えてはくれません。
また、社内FA制度は公募制度よりも新しいので、実施している会社は公募制度よりも少ないのが実情です。
異動の希望をかなえるためにするべきこと

ただ単に「異動したい」と申告しても、何もメリットもなければ会社は動いてくれません。
少しでも異動の希望を叶えるために、やっておくべきことをお話しします。
異動先に必要な知識(資格)を身につける
実務は経験できなくても、知識は今からでも身につけることができます。
異動先でどのような知識が必要なのか確認して、最低限必要なことは、今すぐ勉強を始めましょう。
もし関連する資格があるのなら、その資格の取得を目標にすると勉強も続きますし、会社にもアピールしやすいです。
- 法務部門に興味がある:
ビジネス実務法務検定を勉強する - 経理部門に興味がある:
日商簿記検定を勉強する - システムエンジニア・プログラマ希望:
使用するプログラミング言語を確認して、システムやアプリを実際に作ってみる
こういった意気込みを示せば、人事部署でも「異動させる理由のひとつ」になりますし、かりに転職する場合でも、勉強した知識がムダになることはありません。
「希望がかなわなければ退職も考えている」ことを伝える
上司や人事担当者との面談をするときに、

異動の希望がかなわなければ、退職することも考えています
上記のように話しておくのも、異動を実現させるための方法です。

彼の異動希望は本気のようだ…
このような印象を与えることで、異動が実現する可能性が高まります。
ただし、希望する部署のことをよく調べて、勉強しておくことが必須です。

異動が叶わなければ退職するつもりですが、知識とかは勉強してません
これでは、会社もどうしたらよいのかわかりませんよね。

部署の方に必要な知識を聞いて、これだけの勉強して、資格も取りました

それでも異動が認められなければ、退職も考えています
こんなふうに言われたら、会社としても対応すべき優先順位が上がります。
自分が本気であること、優秀な人材であることをアピールするために、必要な知識をつけて、会社と対等に渡り合ってみましょう。
異動の希望が通らないなら退職もあり!

異動の希望を申告したけれど、もう1年以上なにも進展していない…
そんなときは、退職を考えるのもありです!
ただし、何の準備もないままに、すぐに辞めてはいけません。
ここでは、異動の希望が通らないときの対処法をご紹介します。
働きたい職種や場所は、転職でかなう可能性もある

働きたい職種や場所があるので、希望を出しているけれど、会社では異動させてくれない…
このようなときは、転職でかなう可能性のほうが高いかもしれません。
社内FA制度を取り入れるなど、異動に前向きな会社でない限り、異動の希望がかなう可能性は低いでしょう。
そして、
やりたいことがあるのに、それを我慢せざるを得ない
というのは、とてももったいないことです。
少しでも可能性があることは、ぜひともやってみるべき!
やりたいことができる転職先がないか、早速探してみましょう。
異動の希望と転職活動は、並行して行うのがベスト
退職するのがありとはいっても、

異動がかなわないので、すぐに辞めます
というのはさすがに無謀です。
何の準備もなく退職したところで、再就職がうまくいかなくて、

とりあえず採用してくれそうな会社を見つけよう…
こんなふうになっては意味がありません。
望んでいない会社に就職してしまうと、また異動や転職を繰り返してしまう可能性が高まります。
焦らずに本当にやりたい仕事に就くためには、
- 会社へは異動の希望を出しておく
- 会社を辞めずに、並行して転職活動を行う
上記のような進め方がベストです。
かりに転職活動がうまくいかなくても、生活費に困ることはありませんし、もしかすると希望部署に空きができて、異動がかなうかもしれません。
しっかりと作戦を立てながら、自分の希望がかなう方法を実践していきましょう。
希望する仕事へ転職するためにやるべきこと

ここでは、希望する仕事への転職を果たすために、やっておきたいことをご紹介します。
友人や知人のコネを探す
希望する転職先や職種に近いところで働いている、友人や知人がいないか調べてみましょう。

最近はほとんど連絡をとっていないな…
このような知り合いでも問題ありません。
せっかくなので、久々に連絡してみましょう。

親友や親戚とか、つながりが強い人の方がいいのでは?
上記のように思われるかもしれませんが、大丈夫です。
転職活動においては、
弱いつながりからもたらされる情報のほうが役立つ
といわれています。
社会学者、M・グラノヴェッターが「弱い紐帯」の理論を提唱しています。
新しくて価値のある情報は、家族や仲間といった強いつながりよりも、ちょっとした知り合いやその知り合いなど、弱いつながりからもたらされることが多い、というのです。
よく引き合いに出されるのが転職です。
さまざまな調査によると、弱い紐帯からもたらされた情報のほうが職を得るのに役立ち、転職後の満足度も高いことが知られています。
NIKKEI STYLE「強いコネは足かせに 転職では弱いつながりこそ役立つ」より
もし希望する会社で働く知人がいるのなら、

私もあなたの会社で働きたいと思っています
このように伝えて、何とか面接までこぎつけてください。
コネや縁故など、使えるものはすべて使って、希望する職場への転職を叶えましょう。
転職サイトに登録する
希望する業界や職種にあわせて、複数の転職サイトに登録しておきましょう。
転職サイトでは、とくにスカウト機能を活用することで、希望する転職を果たせる可能性が高まります。
自身のこれまでの経歴・経験を詳細に登録したうえで、希望する仕事への想いを書き記しておきましょう。
社外への人事異動を申し出る感覚で利用することで、各企業の人事担当者に、あなたの本気度をアピールすることができます。
関連記事:【40代向け】おすすめの転職サイト11選!5つのタイプ別に解説します
転職エージェントを活用する
希望する転職先に転職するために、転職エージェントを活用することも強くおすすめします。
転職エージェントであれば、応募書類の添削や模擬面接なども行ってくれるので、転職に慣れていないという方でも安心です。
- 自身の強みを効果的に表現できるように、応募書類作成や面接対策のサポートを実施してくれる
- プロの視点で自身のキャリアや市場価値を見極めて、最適な求人案件を紹介してもらえる
- 転職サイトなどに出回っていない、40代向けの非公開求人を多く保有している
- 応募企業との連絡や日程調整、入社時期や給与の交渉まで、エージェント担当者が間に入って行ってくれる
40代が無駄なく効率的な転職活動をおこなううえで、利用しない手はないサービスです。
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ただし、転職エージェントの利用には、以下のような注意点もあります。
- 転職エージェントによって、業界や職種に得手不得手がある
- 大手企業などでは、特定の転職エージェントにしか求人を出さない場合もある
ですので、複数の転職エージェントに登録して、希望する転職先があることを伝えましょう。
転職エージェントの選び方については、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
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関連記事:40代におすすめの転職エージェント6選|179人の口コミ評価でランキング
まとめ:異動希望と転職活動を並行して夢をかなえよう
今回は、異動の希望が通らない場合の対処法、退職して別企業に転職する際の注意点についてお話ししました。
なかなか異動の希望が通らない場合でも、今できること・すべきことはあります。
あきらめて毎日を過ごすのではなく、異動後に必要となる知識の勉強と、転職活動を並行して進めて、あなたの夢をかなえましょう。
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