退職手続き

源泉徴収票はどこから?いつもらえる?その役割と疑問にお答えします

サラリーマンの方なら、年末調整の後に会社からもらう書類として、馴染みがあるのが源泉徴収票ですよね。

しかし年末調整後に受け取る源泉徴収票と、退職時に受け取るものとでは、性質が異なっていることをご存知でしたか?

また、退職したときは、源泉徴収票はどこから、いつくらいに発行してもらえるのでしょうか。

年末調整はすべて会社がやってくれるので、源泉徴収票といわれても、

源泉徴収票の役割や味方について、あまりよくわからない…

こういった方も多いのかもしれませんね。

そこで今回の記事では、法務部・人事部で年末調整の実務を行っていた筆者が、

  • 源泉徴収票の基礎知識
  • 源泉徴収票はどこから、いつもらえる書類なのか?
  • 転職時の源泉徴収票の取扱いについて
  • 源泉徴収票に関するよくある疑問

上記についてお答えします。

税金に関わる部分で苦手な方も多いかと思いますが、わかりやすくご説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。

源泉徴収票の基礎知識

サラリーマンなら、会社から毎年受け取る源泉徴収票ですが、どのような記載がされていて、どういった意味があるものなのかご存知ですか?

退職時に受け取るものとは何が違うんでしょうか?

まずは源泉徴収票とは、どのようなものなのかをご説明します。

源泉徴収票とは?

源泉徴収票とは、その年にあなたが受け取った、

  • 給料や賞与の額
  • 支払った社会保険料
  • 支払った所得税

上記について記載された書類のことです。

源泉徴収票には、異なる2つのパターンがある

じつはまったく同じ書式でも、源泉徴収票には異なる2つのパターンがあります。具体的には以下のとおりです。

  1. 12〜1月に会社から受け取る源泉徴収票(毎年1度受け取るほう)
  2. 退職等で年の途中に会社から受け取る源泉徴収票

この2つを分けているのは「年末調整を行ったか、行っていないか」であり、

  1. すでに年末調整を行って所得税等の計算が終わった書類
  2. 年末調整しておらず、これから所得税等の計算を行う書類

それぞれ、上記のとおりとなります。

したがって、❷の年末調整していない場合は、転職先の年末調整で所得税等の計算をしてもらう必要があるので、転職先への書類の提出が必要です。

源泉徴収票の3つの書式

また源泉徴収票には、以下の3つの書式があります。

  1. 給与所得の源泉徴収票
  2. 退職所得の源泉徴収票(退職金が出た場合)
  3. 公的年金等の源泉徴収票(年金受給者の場合)

退職時に発行されるのは❶と❷ですが、❷は退職金が支給された場合のみ発行されます。

源泉徴収の期間について

源泉徴収とは、

1月1日〜12月31日までの1年間

上記をひとつの期間として、会社で手続きをおこなうものです。

例えば、2019年12月末に退職して、「12月分給与」という名目で、2020年1月に支給された場合。

2020年じゅうに別の会社へ再就職したのなら、再就職した会社に、前の会社で発行された1月分の源泉徴収票を提出する必要があります。

しかし前の会社が、2019年12月中に給与を支給した場合は、2020年に再就職したとしても、源泉徴収票の提出は不要です。

源泉徴収票が必要になる場面とは

源泉徴収票は、後述する「転職先での年末調整」のほかに、次のような場面で必要になります。

1.住宅などの購入で、ローンを組む場合

住宅などの購入でローンを申し込む際に、収入を証明する書類として源泉徴収票を提出します。

2.確定申告、還付申告をする

会社員の場合は、原則として会社が年末調整をするため。確定申告をおこなう必要はありません。

ただし、以下の場合は会社員でも確定申告を行わなくてはならず、その際は源泉徴収票が必要となります。

  • 給与の年収が2,000万円を超える場合
  • 副業による収入が20万円を超える場合

また、年間に支払った医療費が10万円以上だった場合は、還付金を受け取ることができますが、年末調整では還付申告を行なえません。

この場合は医療費控除の確定申告が必要となり、その際に源泉徴収票を使用します。

源泉徴収票の見方

参照:国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」より

これが令和元年分の源泉徴収票の書式サンプルです。

退職時に受け取る源泉徴収票では、生命保険料などの控除は行っていないため、おもに以下の項目が、記載されているものを受け取ります。

退職時の源泉徴収票で記載される項目
  • ① あなたの住所、名前
  • ② 給料、賞与といった給与等の種別
  • ③ 退職する年に支払われた給与等の額
  • ④ 退職する年に控除された(すでに支払った)所得税等の額
  • ⑬ 退職する年に控除された(すでに支払った)社会保険料等(雇用保険、健康保険、介護保険、厚生年金)の額
  • ㉔ 退職日
  • ㉕ 退職した会社名と住所

いっぽうで年末調整後に受け取る源泉徴収票では、上記以外にも該当する欄はすべて記入されているはずです。

年末調整が終わっているかどうかは、「⑤所得控除の額の合計」が記入されていることで判断できます。

源泉徴収票はどこから、いつもらえる?

会社員であれば、源泉徴収票を毎年受け取ります。

どこから、いつもらえる書類なのか確認していきましょう。

源泉徴収票は会社からもらえる書類

源泉徴収票は会社に発行義務があるため、会社からもらえます。

会社は給与を支払った人に対して、源泉徴収票を作成しなければならない

所得税法でこのように定めているのです。

本来、所得税などの税金は、納税者自らが申告して納税することが建前です。(「申告納税制度」といいます)

しかし日本では、会社員の給与からあらかじめ税金を天引きする、源泉徴収が行われています。

源泉徴収が行われることで、国側に徴税事務の必要がなく、確実な納付が行われるというメリットによるものです。

こうして会社は「源泉徴収義務者」となり、

  • 源泉徴収せずに報酬を支払った場合
  • 源泉徴収票を交付しなかった場合

上記のような場合に義務違反として罰せられます。

通常は翌年1月31日までに発行。退職時は1ヶ月以内が義務

会社が年末調整を行った場合、翌年1月31日までに「給与所得の源泉徴収票」を2部作成して、1部を税務署に、もう1部を社員に交付しなくてはなりません。

社員には、12月分の給与明細とともに配布されるケースが多いです。

また退職時は、会社が退職者に対して、

「退職から1ヶ月以内」に源泉徴収票を交付すること

このように所得税法で決められています。

そのため源泉徴収票は、遅くとも退職後1ヶ月ほどで会社からもらえるはずです。

もし1ヶ月を過ぎても、会社が発行してくれない場合は、

1ヶ月以内に発行する法的義務があるんですよ

会社にこのような話をしたうえで、急ぎで発行するように依頼しましょう。

パート・アルバイトでも発行されます

パート、アルバイトの場合でも、源泉徴収票は発行されます。(派遣社員の場合は派遣元から発行されます)

ただし、パートやアルバイトの場合は、源泉徴収の税額が正社員と異なってきます。

毎月の給与から源泉徴収する所得税は、以下の「給与所得の源泉徴収税額表」を使って算出します。

一般的な会社員の場合は、税額表の「月額表」の「甲欄」を使用します。(事前に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出済みの場合)

しかし、パート・アルバイトのように、仕事をした日数や時間で給与を支払う場合は、「日額表」を使用して、契約期間などで税額が変わるのです。

  • 2ヶ月以内の雇用契約の場合:「丙欄」
  • 2ヶ月以上の雇用契約で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合:「甲欄」
  • 2ヶ月以上の雇用契約で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない場合:「乙欄」

上記のように、パートやアルバイトの方でも「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出すれば、天引きされる所得税が安く済みます。

これは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しない方は、

2箇所以上で給料をもらっており、確定申告で税金を精算する

このような前提になっているためです。

そのため、所得税を多めに天引きしており、万が一本人が確定申告をしなくとも、税金を取り損なわない仕組みになっています。

給与所得以外の支払いには、源泉徴収票は発行されない

外部の弁護士や司法書士などへの報酬や料金、個人事業主への委託業務の契約金など、給与所得以外の支払いには源泉徴収票は発行されません。

その代わり会社は、報酬などを支払った翌年の1月31日までに、「支払調書」を作成して税務署に提出します。

支払調書は、会社から本人への提出義務はありませんが、依頼すれば本人にも発行してくれる会社がほとんどです。

源泉徴収票をもらえない場合はどうする?

会社員や公務員などの給与所得者は、毎年1回、年末や年始のタイミングに源泉徴収票を受け取ります。

しかし、給与所得者なのに源泉徴収票をもらえない場合は問題です。

前述したとおり、会社が源泉徴収票を本人へ交付するのは、所得税法による義務となっています。

会社に「交付が法的な義務である」ことを伝え、それでももらえない場合は、最寄りの税務署に相談して、「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。

転職時の源泉徴収票の取扱いについて

転職時には必ず受け取ることになる源泉徴収票ですが、受け取りの際に気をつけるべきことは何でしょうか?

ここでは、転職時の源泉徴収票の取り扱いについて確認していきましょう。

退職時に受け取る書類のひとつ

退職時には、会社からいろいろ書類をもらうと思いますが、源泉徴収票もそのひとつです。

会社から退職時に受け取る書類は以下のとおりです。

退職に会社から受け取る書類
  • 雇用保険被保険者証(自分で保管している場合は不要)
  • 雇用保険被保険者離職票-1・2(退職後10日ほどで会社からもらえます)
  • 年金手帳(自分で保管している場合は不要)
  • 源泉徴収票(退職後1ヶ月ほどで会社からもらえます)

なお、それぞれの書類で発行される期間が異なります。

この期間を確認しておき、会社から送られてこない場合には、必ず催促の連絡を入れましょう。

転職先にはいつ提出する?

入社時に間に合えば、入社時に持参しましょう。

もし入社時に間に合わない場合、源泉徴収票については注意が必要です。

年末調整を行うために、源泉徴収票を提出しますが、年末調整はほとんどの会社で12月に行われます。

そのため11月ごろに会社から、

年末調整の必要書類を提出してください

このような連絡がきますので、遅くてもこのときまでに、源泉徴収票を提出しましょう。

提出する源泉徴収票には、前の会社の社印が押されていなくても問題はありません。

また「退職所得の源泉徴収票」については、転職先に提出する必要はなく、「給与所得の源泉徴収票」のみを提出する形でOKです。

退職金がある場合は、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しよう

会社から退職金が出る場合には、「退職所得の受給に関する申告書」を退職する会社に提出しましょう。

この申告書を提出すれば、勤続年数に応じた減税措置が取られて、源泉徴収額が低くなります。

もし提出していないと、退職金の20.42%が源泉徴収されてしまうのです。

上記の国税庁ホームぺージ記載例を見ると、「退職金の支給額が800万円で、勤続年数が10年2ヶ月の人」の場合に源泉徴収される額は、

  • 申告書を提出した場合  =   91,890円
  • 申告書を提出しない場合 =  1,633,600円

このように大幅に違ってしまいます。

もし会社に申告書を出さずに退職金を受け取ってしまった場合は、翌年の確定申告を必ず行って、払いすぎた金額を取り戻しましょう。

会社では「退職所得の源泉徴収票」を発行する義務はありますが、「退職所得の受給に関する申告書」について教えてくれるかは、その会社の担当者次第です。

せっかく節税できるわけですから、自分から働きかけて損をしないようにしましょう。

源泉徴収票に関するよくある疑問

ここまでは、源泉徴収票とはどういったものなのかをご紹介してきました。

しかし実際に使う際には、いろいろ不明な点が出てくるもの。

そんな疑問について、よくある事例をご紹介します。

源泉徴収票を転職先に提出しないとどうなるの?

転職先の会社では、12月ごろに年末調整を行うため、源泉徴収票が必要となります。

ただ、源泉徴収票の提出は義務ではないので、提出しなくても法的に問題はありません。

会社には年末調整を行う義務がありますが、それは「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した人だけが対象です。

申告書を提出しなかった人に対しては、その義務を負いません。

ただし、転職先に対しては、

医療費控除やふるさと納税の寄付金控除のために、確定申告をします

上記のような説明はきちんと行いましょう。

きちんと説明しておかないと、会社に副業を疑われてしまう可能性があります

副業で20万円以上の収入がある場合は、サラリーマンでも確定申告を行わなければなりません。

しかし会社によっては、まだ副業を禁止しているところもありますし、転職したばかりなのに、このような不信感を持たれるのはイヤですよね。

説明責任は果たしましょう。

源泉徴収票が年末調整に間に合わないとどうなるの?

退職時期が12月中旬だったため、前の会社の源泉徴収票の発行が、転職先の年末調整に間に合わないなどの場合。

きちんと転職先にその理由を話して、自分で確定申告をするという説明をしましょう。

ただし、退職日が9月末なのに、11月になっても源泉徴収票が送られてこない場合などは、速やかに送るように退職先の会社へ連絡したほうがよいです。

前述したとおり、会社では退職日1ヶ月後までに源泉徴収票を本人に交付するように、法律で定められています。

それでも会社が発行してくれない場合は、「源泉徴収票不交付の届出手続」を作成して、もよりの税務署に届け出ましょう。

届け出をすると、税務署から会社に指導が入るため、退職先も発行してくれるはずです。

退職金の源泉徴収票も転職先に提出するの?

前述したとおり、「退職所得の源泉徴収票」を転職先に提出する必要はありません。

すでに所得税が控除された(源泉徴収された)金額が、会社から支給されるからです。

ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を退職先に提出せずに退職金を受けとった場合は、払いすぎた金額が戻る可能性があります。

確定申告を必ず行いましょう。

また、申告書を出した場合の「退職所得の源泉徴収票」は、確定申告も不要ですから、とくに使いみちがないため、紛失してしまいがちです。

しかし、手続きに何らかの不備があった場合は、最大5年までさかのぼって、確定申告を行うことができます。

法的な義務※はありませんが、念のため5年間は保管しておきましょう。

※会社側には7年間の保存義務があります

1年で2回転職した場合はどうなるの?

1年で2度の転職をしたために、現在は3社目に在籍しています

このような方であれば、1社目と2社目、両方の源泉徴収票が必要となります。

2社目に入社した際に、1社目の源泉徴収票を提出したのであれば、2社目の会社にその分の源泉徴収票を返してもらいましょう。

2社目の会社が、1社目の分も合わせて、源泉徴収票を発行してくれることはあり得ません。

1社目と2社目で、それぞれの源泉徴収票を準備して、いまの会社に年末調整をお願いしましょう。

源泉徴収票をなくしたら、再発行してもらえるの?

もし源泉徴収票を無くしてしまった場合は、退職先の会社に再発行をお願いしましょう。

ただし会社には、源泉徴収票を発行する義務があるとはいっても、1部を本人に渡せばいいことになっています。

いちども発行してくれない場合は、強気に出たほうがよいのですが、再発行はあくまでも「お願い」であり、応じるかどうかは会社次第です。

退職するからといって、退職先の会社に対して悪態をついていると、こういうときに困ってしまうでしょう。

ほかの書類においても、いつやり取りが発生するかはわからないですから、退職先とはできるだけよい関係を保ちたいものです。

原本は保管して、コピーの提出でもいいの?

確定申告をする場合は、源泉徴収票の「原本」を提出するようにと、国税庁のホームページにも明記されています。

また年末調整についても、保険料控除に必要な生命保険等の支払額など、証明書は原本でなくてはならないとされています。

源泉徴収票についてはとくに明記はありませんが、会社の手続きで二重控除を防ぐという観点からも、やはり原本の提出が基本です。

源泉徴収票の提出は必ず原本で行いましょう。

ただ、提出すれば戻らないため、提出する前にコピーを取っておくことをオススメします。

休職していたことが、源泉徴収票からバレる可能性はある?

休職していたことを転職先に知られたくないけれど、源泉徴収票からバレてしまうのかな…

バレてしまうかどうかは、休職していた期間にもよります。

会社は休職中の社員に、給与を支払う義務はありません。

要件を満たせば、健康保険から傷病手当金の支給がされますが、傷病手当金は会社が支払う給与ではないため、源泉徴収票には記載されないのです。

  • 1〜9月まで働いて10月だけ休職した
  • 1月だけ働いて2〜10月まで休職した

上記を見比べた場合では、同じ10月末退職だとしても、源泉徴収票の支払金額が大幅に変わってくるでしょう。

するとやはり転職先としては、「なぜ?」となりますよね。

休職していた事実が、源泉徴収票に記載されることはありませんが、支払金額と退職日から見て、わかってしまうことはあり得ます。

どうしても転職先に休職がバレたくないのであれば、年が明けてから入社できるように、転職活動を進めるとよいでしょう。

まとめ:源泉徴収で損をしないために知識を深めよう

今回は源泉徴収票の役割と、転職で使う際の疑問についてご説明しました。

あんな小さい紙切れ1枚なのに、なかなか奥が深いものですよね。

「退職所得の受給に関する申告書」のように、提出すれば確実に得するのに、会社の担当者が、必ず教えてくれるとは限らない書類も存在します。

ぜひ今回の記事を参考にして、源泉徴収に関して損をしないために、知識武装をしていきましょう。

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この記事を書いた人
五島 アツシ
40代男性、山形県在住。4度の転職を経験し、現在の会社は40歳で入社。法務部・人事部での勤務経験を活かし、「転職者側」と「採用する側」の両方の視点を持って、皆さんの役に立つ情報を発信します。
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