仕事の悩み

管理職手当で知っておくべき基礎知識【平均額は?残業代との関係は?】

  • 自分がもらっている管理職手当は、ほかの企業と比べて多いの?少ないの?
  • 管理職になってから残業代が出ないけど、管理職手当は残業代の代わりなの?

このような悩みをお持ちの方はいませんか?
給与に関する話題は仲間内でも出しにくく、友人にも聞きづらいものですよね。

そこで今回の記事では、管理職手当について、支給されている平均額やその手当の意味合いまで、詳しく解説していきます。

管理職手当について正しく知ることで、あなたが働く上での不安がひとつなくなるかもかもしれません。

かつて人事部・法務部に在籍していた筆者がわかりやすく説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。

一般企業における管理職手当の平均額は?

企業によっては、役職手当や役付手当とも呼ばれる管理職手当ですが、ほかの企業ではどのくらい支給されているのか、気になりますよね。

ここでは、一般企業における管理職手当の平均額について、役職別と企業規模別にご紹介します。

役職別でみた管理職手当の平均額

まずは一般企業における管理職手当について、役職別の平均額を確認してみましょう。

東京都産業局の「平成30年版 中小企業の賃金・退職金事情」によると、東京都内の中小企業の管理職手当の支給額平均は次のとおりでした。

◆一般企業における管理職手当の平均額
役職手当の平均金額平均年齢
部長80,121円51.6歳
課長48,893円46.4歳
係長24,181円43.1歳

企業規模別でみた管理職手当の平均額

続いては、企業規模別にみた管理職手当の平均額を確認してみましょう。

厚生労働省の平成27年就労条件総合調査結果によると、企業規模ごとの平均額は以下のとおりです。

◆企業規模別の管理職手当平均額
従業員の人数手当の平均額
1,000人以上45,509円
300〜999人39,669円
100〜299人33,990円
30〜99人36,458円

公務員における管理職手当の平均額は?

次に、公務員における管理職手当の平均額を確認してみましょう。

教員・地方公務員・国家公務員別に、それぞれでご紹介します。

教員における管理職手当の金額

教員の管理職手当については、各市区町村の条例などによって決められています。

高知県教育委員会の資料によると、高知県の小・中・高校教員の管理職手当は以下のとおりです。

◆教員の管理職手当平均額(高知県)
役職支給額
高校の校長・副校長54,600円
高校の教頭44,100円
小・中学校の校長・副校長52,100円
小・中学校の教頭43,700円
事務長41,600円

地方公務員における管理職手当の平均額

地方公務員は、地方ごとの条例などによって管理職手当の額が決められています。

東京都人事委員会の資料によると、東京都職員の管理職手当の平均額は以下のとおりです。

◆東京都職員の管理職手当
おもな職種給料の特別調整額(管理職手当)※平均額
事務、福祉、技術 など8,201円
警察官、消防吏員など3,074円
医師、歯科医師など56,392円
薬剤師、栄養士など2,095円
看護師、保健師など1,000円
小・中学校、高校教諭など6,498円

国家公務員における管理職手当の金額

国家公務員の管理職手当は「俸給の特別調整額」という名称で支給されます。

人事院の資料によると、「管理又は監督の地位にある職員に支給」に支給される俸給の特別調整額は以下のとおりです。

◆国家公務員の管理職手当(代表例)
組織官職俸給表・級区分手当額
本府省課長行(一)9級一種130,300円
本府省室長行(一)8級二種94,000円
府県単位機関部長行(一)6級三種72,700円
管区機関課長行(一)6級四種62,300円
地方出先機関課長行(一)4級五種46,300円

管理職手当の意味とは

そもそも管理職手当とは、いったい何のために支給されるのでしょうか?

管理職手当が支給される意味合いから、法律上の取り扱いについてなどをご紹介します。

管理職手当の意味合い

管理職手当は、役職手当や役付手当などとも呼ばれ、

部長・課長・係長といった管理職についた社員に支給される手当

上記のことをいいます。

管理職手当が支給される意味合いとしては、

重い責任がともなう職務に見合った働きをしたことについて、支払われるべき対価である

このようなものがあります。

公務員を除く労働者については、労働基準法のなかで、労働条件などの最低限のルールが規定されています。

しかし、じつは「管理職手当の支給」に関する規定はありません。

したがって、管理職手当は企業側で名称も支給額も自由に決められるのです。

公務員の場合は、教員や地方公務員については地方自治体の条例で、国家公務員については「一般職の職員の給与に関する法律」で給与について規定されています。

そのなかで、「管理職になった場合には管理職手当を支給する」と規定されているのです。

「管理職手当=残業代」ではない

管理職になると残業手当などがつかなくなるため、

残業代を補う方法が管理職手当である

このように考えている経営者も存在します。

しかしこれは考え方がまったく逆で、本来のあり方は、

管理職手当などの好待遇があるので、『管理監督者』とみなされて残業代がつかない

これが正しい考え方です。

つまり、「管理職手当=残業代」ではありません

その証拠として、社員側が、

名ばかり管理職なので残業代を支払ってください

このような訴えを起こした場合には、支払い済みの管理職手当は未払い残業代と相殺されることはなく、企業は別途で残業代を支払う必要があるのです。

企業が一方的にカットすることはできない

管理職手当の支給について法律では規定されていないため、支給額は企業側で決めることができます。

しかし、だからといって「業績の悪化」などを理由にして、企業側が一方的に管理職手当の額を減らしたり、カットすることはできません。

労働契約法8条においては、

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる

このように定められています。

したがって、管理職手当をカットする場合には、企業は社員に説明をして、社員の合意を得る必要があるのです。

ただし、企業側が、

この社員の働きは職位に見合わない

このように判断して降格となった場合は、状況が変わります。

課長から係長に降格したため、その分の管理職手当が下がってしまう

この対応については問題ありません。

また社員の同意があったとしても、管理職手当をカットまたは減額すれば、「管理監督者」ではないと判断される可能性が高くなります。

「名ばかり管理職」に該当する場合は、企業はその従業員に対して、残業代を支払う必要が出てくるのです。

管理職手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入される

管理職手当は、残業手当や深夜手当などを計算する際の「割増賃金を計算する際の基礎となる賃金」に含まれます。

「基礎となる賃金」とは、毎月の給料から家族手当や通勤手当などの「除外できる7種類の手当」を差し引いた額を「1ヶ月の所定労働時間数」で割った値です。

管理職手当は「除外できる7種類の手当」に入っていないため、除外せずに計算する必要があります。

【基礎となる賃金】

(毎月の給与 ー (家族手当や通勤手当など)) ÷ 1ヶ月の所定労働時間数(目安としては「21日✕8時間」)

割増賃金の基礎となる賃金とは?|厚生労働省より

また残業代が出ない管理職であっても、深夜勤務を行えば深夜手当は支給する必要があります。

管理職の方が深夜勤務を行った際には、管理職手当を含めて深夜手当が計算されているかどうか、確認しておきましょう。



管理職手当がつくと残業代は無しになる?

管理職に昇進して管理職手当がつくと、残業代が出なくなる

このような話をよく聞きます。

しかし、必ずしも「管理職は残業代が出ない」というわけではありません。

ここでは、管理職手当と残業代の関係についてご説明します。

残業代の有無は「管理監督者」かどうかで判断される

管理職に残業代が出なくなるかどうかは、働き方や待遇などの実態において、労働基準法の「管理監督者」に該当するかどうかで判断されます。

以下の3つの条件すべてにあてはまる場合は、「管理監督者」であると判断され、残業代が出ないことも妥当です。

管理監督者の3つの条件
  1. 経営の方針決定に参画しており、労務管理上の指揮権限を有している
  2. 時を選ばず経営上の判断や対応が要請されるため、出退勤について厳格な規制を受けていない
  3. 職務の重要性から、定期給与や賞与、その他の待遇などで、一般労働者よりもふさわしい待遇を受けている

ただし、もしこれらの条件が1つでもあてはまらない場合は、「名ばかり管理職」といえるため、残業代を支払わなくてはなりません。

名ばかり管理職とは

「名ばかり管理職」とは、「偽装管理職」や「名前だけ管理職」とも呼ばれる名目上だけの管理職のことをいいます。管理職という役職に相応する権限や報酬が与えられないのに、管理職だからといって残業代を支給されない従業員のことを指します。

人事ポータルサイト【HRpro】用語集より

管理監督者の詳細やチェックポイント、「名ばかり管理職」だった場合の対処法については、以下の記事で解説しています。

詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

「名ばかり管理者」認定されると、過去2年間の残業代を請求できる

管理職として残業代が支払われていなかった社員が、労働基準監督署に相談して「名ばかり管理職」に認定されると、企業側は大変なことになります。

残業代請求の時効は2年間ですので、企業は最大2年間分の未払い残業代を支払わなくてはなりません。

注意が必要なのが、前述した通り「管理職手当=残業代」ではないという点です。

企業側からは、

管理職手当は残業代のつもりで払っていたのだから、未払い分から差し引かれるんじゃないの!?

このような声が聞こえてきそうですが、そうはなりません。

差し引かれるどころか、「管理職手当は割増賃金の基礎となる賃金に算入される」で説明したとおり、割増賃金の基礎となる賃金に管理職手当は上乗せで計算されます。

例えば基本給25万円、管理職手当2万円だったとして計算してみましょう。

月30時間分の残業代を24ヶ月分支払うとすると、以下の計算式のとおり、企業は2年間で144万円の残業代を支払うことになるのです。

(25万円+2万円)÷(21日×8時間)= 1,607円(基礎となる賃金)

1,607円 × 1.25 × 30時間 × 24ヶ月 = 1,446,300円

「名ばかり管理職」というキーワードを有名にした「日本マクドナルド事件」では、裁判所は750万円の未払い残業代などの支払いを企業側に命じました。

日本マクドナルド事件とは

2005年(平成17年)12月22日に埼玉県熊谷市内にある日本マクドナルド直営店店舗の店長が原告となり日本マクドナルドに未払いの残業代と慰謝料等を求めた訴訟を起こした。

裁判は店長が管理監督者かどうかが争点となったが、2008年(平成20年)1月28日、東京地方裁判所はマクドナルド直営店店長について、「経営方針などの決定に関与せず、経営者と一体的立場の管理職とは言えない」と述べ、日本マクドナルドに残業代など計約750万円の支払いを命じた。

Wikipediaより

「管理監督者」を理解せずに、ただ「管理職=残業代は不要」と考える企業は、あとあと大変なことになってしまうということですね。

まとめ:管理職手当を正しく知り、働く上での不安をなくそう

今回は管理職手当について、支給されている平均額からその意味合いまでご紹介しました。

自分の管理職手当の額は適正なのかな…
管理職手当を一方的に減らされたけど、これは問題ないの?

このような疑問をもったまま働くのはつらいですよね。

この記事で管理職手当のことを正しく理解して、あなたの気持ちが少しでもラクになれば幸いです。

▼40代におすすめの転職サイトはこちら▼

▼こちらも合わせてどうぞ▼

この記事を書いた人
五島 アツシ
40代男性、山形県在住。4度の転職を経験し、現在の会社は40歳で入社。法務部・人事部での勤務経験を活かし、「転職者側」と「採用する側」の両方の視点を持って、皆さんの役に立つ情報を発信します。
セカンドゴング おすすめの記事
40代転職の完全ガイド!
40代の転職を成功させよう!

40代の転職を成功させるためには、まず40代の転職を取り巻く状況や現実を知ることが大切です。
そのうえで転職活動の具体的な流れ、各ステップごとの対策や攻略ポイントを学びましょう。
40代転職に特化した当サイトならではのノウハウを徹底解説します!

転職エージェントを選ぶなら
40代におすすめの転職エージェント6選

40代は転職エージェントを活用することが成功への近道です。
しかし失敗したくないので、選び方や注意点など慎重になりますよね…。
3000名以上の転職支援をしてきた筆者が、おすすめの転職エージェントと40代の活用方法を徹底解説します!

みんなのコメント

まだコメントがありません。

関連コンテンツ