普通自動車免許さえあれば就職できて、一般的なオフィスワークよりも高水準の年収を誇るのが、「生協宅配ドライバー」という仕事です。
生協宅配ドライバーの求人は、転職サイトや求人情報のフリーペーパーなどで見かけるので、気になっていたという方も多いのではないでしょうか。
ただネットのクチコミを見ても、

やりがいがあって楽しい
このような意見があるものの、

体力的にツラかった…
上記のような声もあるので、転職を検討する方にとっては、イマイチ判断が付きにくいのかではないでしょうか。
そこでこの記事では、生協宅配ドライバーとして長年働いてきた筆者が、生協ドライバーの仕事内容や、業界の“リアルな実態”についてお届けします。
クロネコヤマトや佐川急便といった、宅配便ドライバーとの違いについても解説していますので、「どちらか迷っている」という方も、ぜひ参考にしてみてください!
生協宅配ドライバーの基礎知識


生協って聞いたことはあるけど、あまりなじみがない…
このような方もいらっしゃるのかもしれませんね。
また、宅配便のドライバーの仕事はよく知られていますが、生協のドライバーはどのような違いがあるのでしょうか?
まずは基本的なことを確認していきましょう。
生活協同組合(コープ)とは?
生協は「生活協同組合」の略で、最近ではコープ(COOP)と呼ばれることが多くなってきました。
生協は組合員(消費者)主体で協同運営されており、それゆえに一般的な消費者よりも、商品に対するこだわりが強いのが特徴です。
商品ラインナップは、値段よりも品質重視の傾向にあります。
全国には、名称の異なるさまざまな生協が存在しており、店舗や宅配サービス、デイケアや共済などのサービスも展開しています。
筆者の住む神奈川エリアでは、ユーコープ(生協名)の宅配ブランド「おうちCO-OP」のほか、パルシステムや生活クラブ生協といったコープが、宅配サービスを行っています。
生協宅配ドライバーの需要は右肩上がり
共働き世帯や高齢化の増加も影響し、宅配サービスを利用する家庭はとても増えています。
神奈川・静岡・山梨の3県で、宅配サービスを展開する「おうちCO-OP」を例に見ても、2019年現在の利用者数は約180万人にも達しています。
「おうちCO-OP」を運営する生活協同組合ユーコープの組織概況
わずか3県でこの利用者ですから、
相当数の宅配ドライバーが必要になってくる
というのも納得ですね。
これからますます需要が高まるのが、生協宅配ドライバーのお仕事といえるでしょう。
宅配便ドライバーとの違い、比較して良い点とは?
おなじ1.5~2.0トンのトラックを扱う、クロネコヤマトや佐川急便などの「宅配便ドライバー」とのいちばんの違いは、不在時に商品を玄関先に置いてこれること。
再配達のストレスや手間とは、いっさい無縁なのです。
お客様との“初対面”が頻発する宅配便に比べて、固定客へお届けがメインの生協宅配では、コミュニケーションが苦手な人でも務まります。
お中元・お歳暮といったシーズンに、激務を強いられる宅配便に比べると、年間の仕事量が安定していて穏やかなことも、生協宅配ドライバーのメリットです。
生協宅配ドライバーの仕事内容
ここでは、生協ドライバー(コープ配送員)の具体的な仕事内容について、詳しく確認していきましょう。
配達は、毎週決まったお宅を訪問する「固定ルート配送」
生協宅配ドライバーは、月曜日~金曜日まで、毎週決まったコースを配達します。
お届け時間はおおよそ決まっていますが、時間設定に自由度があるので、未経験者でも苦にならないでしょう。
道順は一度コースを覚えてしまえば、大きな変更がない限り、そのルートで配達することになります。
月曜は○○エリア、火曜は△△エリア、水曜は□□エリア…
といった感じで、一週間の仕事が過ぎていくのです。
扱う商品は日用品から生活雑貨まで多種多様
生協ドライバーがお届けする商品は、野菜・魚・お肉などの生鮮品がメインです。
また紙オムツやトイレットペーパーといった、生活雑貨を配達する生協もあります。
商品の配達は、以下のようなものを利用してお届けします。
- 生鮮品:発泡スチロールの箱(シッパー)
- 雑貨品:折り畳み式のプラコンテナ
“安心・安全”を求めて始まった生協ですが、近年はネットスーパーに負けじと、アイテム数がかなり増加傾向となっています。
一日の仕事の流れ
配達する商品を、自身でトラックに積む会社と、あらかじめ積込パートさんが、商品を積んでおいてくれる会社があります。
いずれにしても、朝礼と体操を終えてセンターと出発するのが、毎日8時半~9時くらいです。
そこから15時~18時くらいまで配達したあと、センターに帰着して、事務作業(注文書整理)は長くても1時間以内で済ませます。
終わったら速やかに帰宅です。
経験者が語る生協宅配ドライバーの“リアルな実態”

生協宅配ドライバーについては、ネットなどでもさまざまな口コミがありますが、実経験者である筆者の感想は以下の通りです。
やりがい・楽しいこと・辛いこと
オフィスワークでは味わえない、季節の移り変わりを、毎日肌で感じることができます。
トラックの車窓から見る景色を楽しめるのも、ドライバー職ならではのだいご味ですね。
お届け先のお客様から、

いつもありがとう!
このような声をいただくと、正直照れてしまいますが、かなりモチベーションになります。
重たい荷物を持っていったときも、笑顔でお礼を言われると、苦労も半減するものです。
1日の配送を終えて、“空っぽの荷台”を眺めていると、達成感と安堵感に浸れるでしょう。
一方で、悪天候の場合の配達はそれなりに苦労します。
雨の配送も大変ですが、強風の日も空箱(お届け済みの箱)が風に煽られるので、注意が必要です。
夏の暑さや冬の厳しさにも負けないような、装備とスタミナが絶対的に必要となります。
ただ職場には、同じ状況下で頑張るドライバーがたくさんいますから、心が折れるほどツライと感じるようなことはないでしょう。
働いている人の特徴、職場の雰囲気は?
若者の“車離れ”が影響してか、近頃では20代後半~30代中盤の方が生協宅配ドライバーでいちばん多いです。
またミドル世代(40代)でも、コツコツと仕事をするのが好きなタイプの人が、たくさん活躍しています。
働く人たちの前職は、コンビニ店長・料理人、宅配便ドライバー・スポーツインストラクターなど…
さまざまな人たちがいるので、常に話題が尽きることがありません。
トラックへの積込時や帰着後などは、ドライバー同士でワイワイと雑談で盛り上がっている、こんなこともよくあります。
転職組がとても多いので、中途採用者でもすぐに馴染むことができるでしょう。
どちらかというと、職場の雰囲気は明るくて楽しい方ですね。
生協ドライバーは体力が必要!
お米やビール(ジュース)などを、まとめ買いする利用者の方もいるので、基礎体力は必要です。
ただしトラックの駐車場所を工夫したり、台車をうまく活用すれば、苦労する箇所はかなり限定されます。
40代でも、日頃から何らかスポーツをしているような方であれば、体力の心配をするほどキツくはありません。
あとは実際に働くなかで、必要な筋力がついてきます。

エレベーターの無い団地の配送とか、かなりキツイのでは…
このように心配に思う方もいるでしょう。
生協ドライバーの配達コースは、営業拠点ごとに少なくて15〜20コースほど、多ければ50コース近くを抱えています。
確かになかには、台車が使えない団地系のコースもありますが、筆者がいた拠点では体力自慢の若手が対応しておりました。
コースあたりの件数も、体力を加味してやや少なめに設定されていましたね。
前職やスタミナの有無などを考慮しており、30代後半〜40代の方は、
- 大型マンションコース
- 戸建てエリア
といったコースに配置されているのが実情です。
拠点に人員の余裕があるかどうかでも変わりますが、年齢や体力は配置に考慮されるため、あまりネガティブなイメージを持つ必要はありません。
心配であれば、面接時に採用後のコースイメージを聞くこともできます。
生協ドライバーに向いている人、向かない人
毎週ずっと同じお宅を訪問するので、利用者の方とすぐに顔なじみとなり、世間話に花が咲きます。
趣味や旅行、子育ての話など、プライベートの話題があがることも。
ただどちらかといえば、“話したがり”のお客様が多いので、聞き上手な人の方がこの仕事に向いています。
年齢問わず、清潔感があって明るい挨拶ができる人が、お客様から愛されるタイプです。
逆に、人との接触がイヤでドライバー職を考えている人には、生協宅配ドライバーには向いていないでしょう。
必要な免許・待遇・雇用形態について
生協ドライバーの待遇や雇用条件などについては、筆者が所属していた協力会社なども含めて、一般的なケースとしては以下の通りです。
必要な免許
生協宅配ドライバーは、普通免許さえあれば仕事に就けます。
2017年に準中型免許が加わりましたが、40代以降であれば条件に問題はないはずです。
配達業務に使用するのは軽~1.5トンまでのトラックがメインで、横幅は3ナンバーの普通乗用車くらいまでです。
ペーパードライバーでない限り、トラックの運転で不安視する必要はないでしょう。
雇用形態
雇用形態は、以下のように2分化されています。
- アルバイト入社したのちに正社員登用する会社
- いきなり正社員採用する会社
ただしドライバー不足の昨今では、人材定着をはかるために、早々に正社員登用する会社が増えてきました。
生協ドライバーに応募する際は、【雇用形態】をきちんと確認しましょう。
休日・年末年始のスケジュール
基本は土日休みです。
ただし各曜日で利用者が割り振られている関係上、祝日は出勤となります。
夏季休暇はローテーションで休むのが一般的で、年末年始は毎年変動しますが、概ね元旦~3日あたりはお休みとなるでしょう。
請負先である生協が世論に敏感な体質ですから、正月に1週間程度の大型連休を設ける会社が、近頃ではさらに増えてきました。
待遇・年収相場
月収で25~30万円、年収は340~420万(賞与込)が相場となり、事務系や製造業と比較しても、高い給与水準を維持しています。
昇給(ベースアップ)は基本は年一回、これに加えて半期にいちど、人事考課にて基本給の見直しを図る会社も。
残業は年々減ってきていますが、ほかの業種に比べればまだまだ多い方なので、残業代を加味すると、さらに収入に伸びしろがあります。
賞与(年二回)と家族手当、通勤手当などは、ほかの企業と同等レベルです。
キャリアアップ
委託配送会社でキャリアを積み上げる場合は、
ドライバーとして入社 → リーダー → マネージャー → 営業所長(現場責任者)
上記のような流れが一般的となります。
管理職に就くにはそれなりの年数を要しますが、前職で培ったマネジメント力やリーダーシップを発揮できれば、短期間で結果を出すことも可能です。
キャリアアップを目指すことも、現場一筋で働いていくことも自由です。
自分の価値観を大切にしながら、自分らしく働けるのが生協宅配業界といえるでしょう。
転職するなら協力会社(委託配送会社)のドライバー求人が狙い目!
これはあまり知られていないのですが、コープ配送の大半を担っているのは、「協力会社」と呼ばれる委託配送会社のドライバーです。
※各生協によって方針は異なります
したがって、生協ドライバー求人の大多数は委託配送会社が占めており、こちらが転職者にとって“狙い目”となるのです。
ほかにも魅力的な要素として、以下のようなことが挙げられます。
- 正社員登用の求人が多い
- 応募における年齢制限が少ない(40代でもOK)
- 同一エリアでも複数の生協・協力会社から選択できる
過去に大きな事故・違反歴や、病歴(てんかんや心臓発作)がなければ、たいていは面接まで進むことができます。
40代であっても、年齢の不安なく応募できるでしょう。
もちろん生協直属のドライバー求人も、少なからずはあるのですが、パートやアルバイトといった雇用形態がほとんどです。
ですので、40代が望むような給与や待遇は、あまり期待できません。
生協宅配ドライバーの仕事を探すときのポイント
生協宅配ドライバーの転職活動をするときには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
求人情報の【委託】マークが目印
求人情報の「雇用形態」の欄に、【委託】もしくは【委託配送スタッフ】と記載があることが目印です。
前述のとおり、所属する生協によって扱う商品は大きく異なります。
求人情報を見つけたら、以下をきちんと確認してから応募しましょう。
- どの生協から仕事を請け負っているか?
※おうちコープorパルシステムor生活クラブなど - その生協がどんな商品を取り扱っているか?
雇用形態、試用期間をチェック
雇用形態が、正社員orアルバイトどちらなのか?
アルバイト採用の場合は、正社員登用までの期間や、登用試験の有無も確認します。
試用期間の有無や、正社員後の給与形態も事前に確認しておくとよいでしょう。
職場体験を活用しよう
半日~丸一日など、職場体験を設けてる会社には、積極的に問い合わせてみましょう。
職場の雰囲気や、実際の配送風景が見られるのでオススメです。
同乗者からも、貴重な生の声を聞くことができます。
複数社の職場体験を経て、自分にあった職場を見つけることができるかもしれません。
入社半年が踏ん張りどころ

入社後は1~3ヶ月程度の研修期間があり、生協の仕組み・端末操作・接客などについて学びます。
トラックの運転面は、法律で「座学15時間」と「実技訓練20時間」が義務付けられているので、未経験でも時間とともに慣れていけるでしょう。
ただ研修があるといっても、配送ルートを覚えたり、雨風の中でも安定した配送ができるようになるには、やはり最初の半年が踏ん張りどころとなります。
とはいえ、サービスを必要としている方のもとへ、商品を届けた際の感謝の言葉や労い(ねぎらい)は、何ごとにも代えがたいものです。
子育てに追われているママさんや、買い物に不自由している高齢者などのお役に立つことは、立派な社会貢献ですし、自身のモチベーションアップにも繋がります。
生協宅配ドライバーの仕事は、最初の頃はキツイと感じるものですが、この期間を乗り切ることができれば、精神的・体力的な負担は一気に減ってくるのです。
まずは半年間、あきらめずに踏ん張っていきましょう。
40代は転職エージェントの活用が成功への近道
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ですので、まずは転職エージェントを利用してみましょう。
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まとめ:生協宅配ドライバーを目指してみよう!
今回は、生協宅配ドライバーとして長年働いてきた筆者の経験にもとづいて、
上記などについてお話ししてきました。
生協宅配ドライバーは、普通免許さえあれば就ける貴重な仕事のひとつです。
ドライバー職のなかでも固定ルートなので、道を覚える苦労も最初だけ。顧客満足も高く“やりがいのある仕事”といえます。
生協宅配業界で正社員採用を目指すのであれば、協力会社への転職とほぼ一択で、求人情報を探す際は【委託】マークが目印です。
仕事内容も詳しくご紹介しましたが、もっと中身が知りたいという方は、ぜひとも職場一日体験に応募してみましょう。
さああなたも、ますます需要が高まる生協宅配ドライバーを目指してみませんか!
当サイトでは、40代の転職に特化した転職ノウハウについて、
- 実際に40代で転職を経験した人
- 企業の採用担当・キャリアコンサルタントなど、転職活動に知見を有する人
上記のようなメンバーが数多くの記事を提供しています。
転職活動のすべてのステップについて、以下の記事でわかりやすくまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
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