さらなる年収アップを目指して、転職を検討している40代の方も多いでしょう。
新たな転職先では、できるだけ高い年収で働きたいですよね。
面接において、
こういった質問を受ける場合がありますが、はたして本音で伝えてしまってもよいのでしょうか?
採用面接とは、採用側の企業と働きたい応募者が、マッチングするか確認する場所です。
- 根拠のない給与アップ
- 市場価値にそぐわない年収を希望すること
上記のようなことは、面接官の心証を損なってしまうのでNGです。
今回の記事では、面接官から好印象を持たれる希望年収の伝え方をお教えします。
まずは、人事担当者や採用担当が面接時にチェックしているポイントを把握して、その上で、最適な方法で希望年収を伝えましょう。
年間800社以上の求人広告を取り扱ってきた筆者が、さまざまな企業の人事から、直接ヒアリングした耳寄り情報をお届けします!
転職理由に「年収アップ」を挙げる人は多い
転職サイトのdodaが2017年度に行った調査では、退職を考えるきっかけ(転職理由)の第3位が、「給与に不満がある」という項目です。
その割合は、転職者全体における10.5%と非常に高い数値を示しています。
◆転職理由のランキング
また年代別のデータでも、40代の転職理由の第3位は、やはり給与の不満に対する項目です。
◆40代の転職理由ランキング
しかもこの項目が占める割合は、前年度と比べても上昇しており、
現在の年収では物足りない
このように考えて、転職を検討する人が多いことを示しています。
新たな転職先を探すうえで、やはり給与面は外せないポイントといえるでしょう。
面接官に希望年収を質問される理由とは?
採用面接を経験したことある人なら、面接官から希望年収を質問されたことはあるのではないでしょうか?
しかし質問された際に、
このように困惑してしまう方もいるかもしれませんね。
じつは採用担当者にとって、希望年収額は採用を判断するための重要な材料となっているのです。
ここでは、面接官がなぜ希望年収を面接の場で質問するのか、その理由について確認して確認しておきましょう。
求人の採用予算と合うのか確認している
求人募集している企業では、新たに人材を採用するための予算(採用予算)があらかじめ設けられています。
たとえ欲しい人材であっても、採用予算を大きくオーバーしてしまう人であれば、その求職者の採用は難しくなるのです。
企業の採用予算は、ポジションごとに決められている場合がほとんどで、
- 一般社員クラス:400万円まで
- 係長や課長などのリーダークラス:600万円まで
上記のような形で、ある程度の目安となる金額がすでに定められています。
採用予算が定められる理由は、会社の経営上の資金繰りはもちろんですが、社内での給与水準も関係しています。
すでに結果を出して活躍している既存社員の人が、
このような不満の声が出ないようにするためです。
あるいは、退職者がきっかけの欠員募集であれば、前任者の給与水準に合わせた採用となることも多いでしょう。
転職者の希望する年収額が、設定している採用予算内の給与であれば、採用されやすくなります。
逆に、採用予算を大幅に超えた希望年収だった場合は、どれだけ優秀でスキルのある人材だったとしても、内定を出すことは難しくなるのです。
市場価値を把握しているかチェックしている
採用面接官が希望年収を尋ねるのは、
転職者が自身の市場価値をしっかり把握しているか?
ということをチェックするためでもあります。
その人が持つ人材価値と、希望する年収額との間に大きなミスマッチが生じている場合は、面接官は採用を見送る可能性が高いでしょう。
どのような業種・職種であっても、それぞれに目安となる年収額があります。
その相場となる年収に、各個人の経験や年齢といった要素を加味すると、ある程度の年収金額(市場価値)が算出できるのです。
自らの人材価値を過大評価している人の場合は、こういった市場価値を無視してしまう傾向があります。
もしあまり市場価値が高くない人が、
上記のような考えで転職活動を進めてしまうと、当然ながらうまくいくことはありません。
よくあるケースとして、
大手企業に長年勤めていた人が、中小企業へ転職する場合
こういった方は、自分の市場価値を見誤ってしまわないように注意が必要です。
中小企業へ転職するのであれば、中小企業における人材の市場価値を把握して、自身の希望年収を考えなければなりません。
転職者は、自分が見てきた世界だけで判断しがちです。
しかし面接官は、これまで数多くの中途採用を手掛けてきた、労働市場のプロフェッショナルであるということを心得ておきましょう。
自分の市場価値を見極めておくことは、転職を有利に進めていくうえで、とても重要な要素なのです。
希望年収を答えるために押さえておくべきこと
希望年収を聞かれたからといって、単なる自分の希望をそのまま話すだけでは、選考に勝ち残ることは難しいでしょう。
企業側が質問する意図をふまえて、根拠のある回答をする必要があります。
希望年収を答えるうえで、事前に準備しておくべきことは以下の3点です。
現職(前職)給与の詳細データを集める
希望年収を答える場合は、ざっくりとした希望ではなく、根拠のある正確な金額を伝えなければなりません。
そのためには、
今はいくらもらっているのか?
ということを正確に把握しておく必要があります。
転職をすると決めたら、早いうちに「基本給、残業代、○○手当、賞与」について、前年度のデータを算出しておきましょう。
- 金額は万単位で正確に把握する。源泉徴収票、給与明細から数字を押さえる
- 最近昇給した場合は、前年度と今年度の想定年収を両方把握する。実績の高い方を交渉材料として使う
- 会社の業績が悪化していて、現在の収入が下がっている場合も、いちばん高かった年の数字を把握しておく
- 残業代は月によって変動があるので平均値で算出する。その金額がどれだけの残業時間相当かを調べておく
- 内訳を細かく把握すること。家賃補助や住宅手当も含めて年収金額を答える。ただし企業によっては、それらを年収から除外する企業もあります
- 現職同等希望と伝えても、家賃補助金額を抜いた額で提示されることがあるので注意すること
自分の希望年収額を決める
確認した給与データを踏まえて、転職先での希望年収を決めましょう。
希望年収を決めるうえでポイントとなるのは、
- 月収・賞与のそれぞれを加味して年収を考えておくこと
- 絶対に必要な金額と理想の金額を別々に算出しておくこと
上記の2点です。
現職では月給制だったとしても、転職先が年俸制という場合もあります。
年収的には好条件でも、
このようなケースもあるのです。
応募先の条件が、自身の希望にかなうものかどうか、きちんと判断できるようにしておきましょう。
業界の年収相場と応募企業の想定年収を調べる
年収相場は業界によって傾向があります。
一般的に、小売業界や観光業界などは年収が低めとされており、IT関連や金融関連の業界では、給与は比較的高めの水準です。
上記などで業界の年収相場を調べて、自身の希望年収が妥当なものなのか、きちんと吟味しておきましょう。
希望年収の答え方のポイント
企業側から希望年収を質問されたとき、相手が求めている答えを返すことができれば、面接官に好印象を与えることができます。
希望年収を回答する場合には、以下のポイントに注意しましょう。
答え方次第で選考結果を左右する場合がある
面接官が転職者に希望年収を尋ねるのは、その人の答え方によって、
上記について見極めようとしているからです。
つまり、希望年収の質問が来たときは、
- 目の前の転職者を採用するべきか?
- あるいはお断りするべきなのか?
どちらにするべきかを、面接官は考えています。
希望年収への答え方次第で、選考結果が左右される場合があることを心得ておきましょう。
ミスマッチに注意して回答する
希望年収の質問が来たときには、以下のポイントをしっかり押さえて、回答するようにしてください。
- 希望する業種・職種の市場価値はわかっているか?
- 自分の人材価値を過大評価していないか?
- 転職先の状況を加味しているか?(欠員募集、新規部署の立ち上げなど)
上記に注意しながら回答すれば、企業側と大きなミスマッチは生まれないはずです。
「総支給額」と「手取り額」のどちらで答えるべき?
面接時に希望年収を問われたときは、総支給額で答えるのが一般的です。
総支給額とは、基本手当やボーナスなどが含まれた、
企業が社員へ給与として支払う総額
上記を指しています。
源泉徴収票であれば、「支払金額」の欄に記載されている金額のことです。
「支払金額」は所得税などが引かれる前の金額ですので、手取り額より多い金額となります。
希望年収を手取り額で答えてしまった場合、企業側が総支給額で認識してしまうと、実際の手取り額が少なくなってしまうかもしれません。
トラブルを避けるためにも、源泉徴収票の「支払金額」の欄を確認しておき、その金額をベースに希望年収を回答するようにしましょう。
好印象を与える伝え方とは?
面接官から希望年収を聞かれたとき、
このような回答は望ましくありません。
あなたを採用するかどうかは、あくまでも企業側が決めることです。
印象よく思ってもらうためにも、できる限り相手の望んでいる回答を返したいところ。
ここでは、面接官に好印象を与える回答例をご紹介します。
御社の規定に準じます
上記は履歴書でもおなじみの一文であり、もっとも無難な回答だといえます。
転職者本人の市場価値を、面接官の予算範囲内で検討してもらえるので、採用とのマッチングははかりやすくなるでしょう。
ただし、相手に判断をゆだねる形なので、こちらの希望とギャップが発生するリスクはあります。
求人票に記載されている金額の範囲で伝える
転職サイトや転職エージェントなどで掲載されている求人票では、たいていは予定年収欄が設けられています。
企業側は、求人票にある金額内の年収を条件としていることがほとんどです。
企業側の出している条件に納得している
という姿勢でのぞめば、マッチング率は高まるでしょう。
現職の年収を根拠にして回答する
転職の市場価値と、今もらっている給与額が見合っているのであれば、現収入を基準として希望額を提示するのもひとつの方法です。
ただし、これはあくまで「市場価値と人材価値が一致しているとき」にのみ使えます。
転職の市場価値ともらっている給与に剥離がある場合には、再考する必要があるでしょう。
年収交渉をしたい場合はどうする?
転職活動をするなかでは、
という場面があるかもしれません。
ただし、企業側と条件の交渉をするときには、採用側の印象を損なわないように、なるべく慎重に進めていくべきです。
いくら立派な職歴やスキルをアピールできたとしても、
このように思われてしまったら、内定をもらうことは難しくなってしまいます。
年収交渉をする際は、あくまで謙虚な姿勢で、強く主張しすぎることがないようにしましょう。
一次面接での年収交渉はNG
年収交渉をするときは、一次面接などの決裁権のない面接官を交渉相手にするのはNGです。
交渉をする場合は、
- 部署や会社の予算を持っているような、役職者との面談時におこなう
- 最終面接に合格した後に、採用担当者に相談する
上記のようなタイミングがおすすめとなります。
企業側のあなたに対する採用意欲が高い場合は、スムーズに進められる可能性が高まるでしょう。
交渉をすれば入社意思があるとみなされる
企業側は応募者が年収交渉をしてくる時点で、
という受け取り方をします。
年収条件の変更には、決裁権を持つ責任者との調整など、企業側もそれなりの時間と労力がかかるものです。
こういったことになると、大きなしこりを残してしまいますので、年収交渉はある程度の入社意思が固まったうえでおこないましょう。
転職エージェントを利用して交渉しよう
- 希望年収での転職を果たしたい
- 企業側との交渉をうまく進めたい
このような場合は、転職エージェントを利用して転職活動を進めるのがおすすめです。
転職エージェントに登録すると、キャリアアドバイザーとの面談が実施されます。
面談でこれまでのキャリアや希望職種、希望条件などを伝えることで、転職した場合の年収相場を教えてくれるでしょう。
転職エージェントは、多くの転職希望者をサポートしてきた経験があるので、業種・職種・年代など、膨大な転職者の年収データを保有しているのです。
また、転職エージェントは企業の採用担当者とも関係構築をしており、給与や入社時期などの交渉ごとも、安心して任せることができます。
転職エージェントを利用することで、希望年収にマッチした求人探しや企業側との交渉ごとも、スムーズに進められるようになるでしょう。
▼おすすめの転職エージェントはこちら▼
まとめ:客観的な視点で希望年収を伝えよう
今回は、転職における希望年収の答え方について、面接官がチェックしているポイントや好印象を与える伝え方などをご紹介しました。
採用面接とは、採用側である「企業」と、そこで働きたい「人材」とがマッチングする場です。
根拠のない給与アップや、市場価値にそぐわない年収を希望することは、面接官の心証を損なうことにつながります。
やみくもに自分の希望ばかりを伝えるのではなく、
自分のことを採用したいと思ってもらうには、どのようにすればよいか?
このような考えを持って、相手の目線に立ちながら面接にのぞみましょう。
▼40代におすすめの転職サイトはこちら▼
▼こちらも合わせてどうぞ▼
40代の転職を成功させるためには、まず40代の転職を取り巻く状況や現実を知ることが大切です。
そのうえで転職活動の具体的な流れ、各ステップごとの対策や攻略ポイントを学びましょう。
40代転職に特化した当サイトならではのノウハウを徹底解説します!
40代が応募できる求人は数が減ってしまうので、転職サイトごとの特徴を掴んで、自分にマッチした求人を効率よく集めることが重要です。
40代が転職サイトを選ぶときのポイントと、おすすめ11選を5つのタイプ別でご紹介します。
みんなのコメント
まだコメントがありません。