キャリアコンサルタントのRikaです。
30~40代の方の転職支援業務を行っており、とくに面接指導を得意としています。

それでは、まず簡単に自己紹介をお願いします
上記のような質問から一次面接をスタートさせる企業は、筆者の感覚値にはなりますが、約半数にものぼります。
複数の面接を受けていけば、必ず一度は「自己紹介」で始まる面接に遭遇するでしょう。
つまり、「自己紹介してください」はかなり頻出する質問なので、面接対策として必ず回答準備をしておきたいところです。
一方で、準備をすすめる転職者側からすると、
- 自己紹介って何を話したらいいの?
- 何分くらい話すべき?
- 転職回数が多い場合はどうすればいいのか…
こういった悩みを抱える人が少なくありません。
40代ともなると経験社数や職歴も増えるので、

どの部分に焦点を当てて、自己紹介をするべきなの?
このような点で迷ってしまいますよね。
そこで本記事では、転職面接の自己紹介で40代がどのような内容を話すとよいのか、注意すべき点を踏まえながら解説をしていきます。
すぐに具体的なイメージが沸くよう、例文をふんだんに用いて説明しますので、ぜひ最後までお読みください。
転職面接で自己紹介を求められる理由とは

筆者も、自社の中途採用で面接官を務めたときは、自己紹介の質問から面接をスタートさせていました。
なぜ面接官は、応募者に自己紹介を求めるのでしょうか?
まずはその意図を理解しましょう。
面接官が聞きたいのは「あなたの歴史」ではない

わたしは○○県で生まれ、○○大学卒業後、○○会社に勤めましたが、その後転職して○○に入り、そしてリーマンショックということがあり、会社が倒産しまして現職の○○社に入ったのですが…
このような流れで、
- 自分の生い立ち、時系列で思いつくままに話す
- 一度も文が切れることなく、数分間ダラダラと話す
上記のような自己紹介をしてしまう人が結構います。
性格的に真面目な人にこの傾向が多く、相手に伝えたい一心で、詳細に説明しようとする姿勢は伝わるかもしれません。
しかし、残念ながらこのような話し方では、採用面接で評価されずに終わってしまうでしょう。
面接官は、応募者の歴史を延々と聞きたいわけではないのです。
知りたいのは「職歴のなかで、我が社でも使えるもの」
面接官が、応募者に自己紹介を求めるのは、

たくさん書いてある職務経歴書を要約すると、どんな内容ですか?
上記のような意図であり、さらにいえば、
あなたの職歴のなかで、我が社で使えるのはどの部分なのか?
ということが知りたいのです。
したがって、複数ある職歴や経歴のなかで、応募した会社に関係ない部分をいくら話しても、ほとんど意味がありません。
たとえば、総務と人事の経験を持つ人が、人事職の採用面接を受けたとしましょう。
総務部のときの詳細な仕事内容や実績を話しても、面接官はそこまで興味を持たないというのが実態です。
経験社数・職種が多くなりがちな40代の場合は、すべてを細かく自己紹介に盛り込んではいけません。

いろいろ経験していますが、自分の経験のなかで御社で使えそうな部分はこの部分です!
上記のように、次の職歴に活かせそうな部分に焦点をあてて、アピールしていくことが大切です。
- 今回貴社が募集しているポジションに、必要な経験(資質)を私は持っています
- 私は貴社が求めている人材です
上記について、面接官にきちんと理解してもらえるように、効果的な自己紹介文を作っていきましょう。
あなたの第一印象は、自己紹介で決まる
自己紹介には、もうひとつ大きな役割があります。
それは自己紹介の内容によって、
面接官の応募者に対する第一印象が確定する
という点です。
第一印象は、出会ってからの「数秒~数分」で決まるといわれています。
第一印象は理屈じゃなく、応募者の身だしなみや声、挨拶の仕方などから、面接官が直感的に感じ取るものです。
ただ、面接がはじまって数秒で感じ取った第一印象は、フワフワしたイメージでしかありません。
しかし、最初の質問である、

それではまず、自己紹介をお願いします
この質問に対する回答内容で、第一印象がほぼ確定します。
面接冒頭にして、
自己紹介を終えた段階で、面接官に好意的な印象を与えられるかどうか?
上記のような、いきなり重大な局面を迎えることになるのです。
ここでしどろもどろになってしまい、

自己紹介を上手く伝えられない…
ということになった場合は、気持ちに焦りが出てきて、後続の質問にも上手く答えられない可能性があります。
面接の自己紹介では、しっかりと準備してきた回答を淀みなく答えて、精神的余裕を持ちたいところです。
次項で解説しますが、自己紹介は1分程度の内容にまとめていきましょう。
1分ほどであれば内容も暗記できるはずなので、勝手に口が動き出すぐらい、何度も練習して面接にのぞむようにしてください。
自己紹介文の作り方
ここまでお話ししてきたように、面接の自己紹介においては、
自分を採用するメリットを、面接官に伝わるような内容で話す
このような点を押さえることが重要です。
ここでは、効果的な自己紹介文を作るために、留意しておくべき点について詳しくご紹介します。
どんなに職歴が多くとも、1分ほどにまとめよう
きちんと準備してきた方ほど、質問に対する答えが長い傾向にあります。
文を切らずに、

私は最初○○に入社したのですが、そこでは~ということもあり次の会社に転職しまして…
上記のような話し方をしてしまうと、冗長な印象を相手に与えるだけで、面接官の記憶には何も残りません。

いろいろ話してくれたけど、よく分からなかったな…
このような消化不良の気持ちが残るだけでしょう。
冗長な話し方をしてしまうと、
要点を絞って、簡潔に話をまとめられるスキルがない
上記を露呈しているようなものなのです。
とくに営業職や販売職など、コミュニケーションスキルが重要視される職種では、致命的な欠点と捉えられてしまうかもしれません。
面接とは、自分が準備してきた内容を伝える『発表会』ではなく、企業とコミュニケーションをとる場所です。
面接官には、他にもたくさん質問したいことがあるでしょうし、そもそも、人はよほどの意識を払わなければ、3分も4分も他人の話を注意深く聞いていられません。
応募者には、できるだけポイントを絞って、1分程度で回答をまとめることが求められています。
これは自己紹介に限ったものではなく、あらゆる質問の回答にもいえることであり、話が短すぎても長すぎてもよくありません。
ほどよいボリュームの回答時間は1分程度である
上記を頭の片隅にいれておいてください。
自己紹介に盛り込むべきポイントとは
面接官は応募者に自己紹介をしてもらうことで、

あなたの職歴のなかで、わが社で使えるのはどの部分ですか?
この点について知りたいと考えています。
したがって、応募者は自己紹介のなかで、

私は御社が募集しているポジションに、必要な経験(資質)をもっています
このようなアピールをしなければなりません。
図で表すと、以下のようなイメージとなります。

企業側が求めている人物像と、応募者が持っている経験・スキルが合致している、つまりグレーの重なり部分が広ければ広いほど、即戦力性を発揮できる証明になるのです。
ただし、この重なっている部分は、自分できちんと言語化して伝えなければ、面接官は理解してくれませんので、
- 書類審査に通ったのだから、面接官はわかっているはずだ
- 自分の話す内容から、重要なポイントは面接官の方で抜粋してくれるだろう
上記のような期待は禁物です。
なぜなら、面接官があなたの職務経歴書を読む時間は、おおよそ1~2分しかありません。
そのなかで、

この人のこの経験は、ウチでも活かせるな
このような深読みしてくれる面接官など、ほとんどいないからです。

御社とわたしは相性がいいんです!
ということを理解してもらうには、
企業側が求める人物像と自分の経験が重なるポイントを、自己紹介のなかにしっかり盛り込めているか?
この点にかかっているといえるでしょう。
ポイントを絞るための「ヒント」はどこにある?
では、会社がどんな人材を求めているかを知るには、どのようにすればよいのでしょうか?
答えは簡単です。
以下の2つをチェックすれば、すぐに把握することができます。
- 求人票
- 会社のコーポレートサイト(とくに採用ページ)
一般的に、会社のコーポレートサイトには採用ページが設けられているので、そちらを確認してみましょう。
中途採用(キャリア採用)のページがあまり充実していなければ、新卒向けのページを参考にしても構いません。
また、リクナビやマイナビの新卒向けサイトは、各社が凝った内容を載せているので、そちらを参照してみるのもおすすめです。
求人票と採用ページを確認すれば、
- 任せたい業務内容
- 応募資格
- 求める人物像
上記について書かれているはずです。
書かれている内容を読み取って、自分に合致するキーワードをマーキングしていきましょう。
たとえば、ある企業の営業職の募集要項と求める人物像には、以下のような内容が書かれていました。
- 社外との折衝経験5年以上
- ソリューション型、コンサルティング型の営業経験者
- 責任感と協調性を持って働ける方
- 達成志向が強い方
- コミュニケーション力。特にヒアリング力や伝達力など
黄色いマーカー部分が、自分の保有する経験・スキルと合致する部分だとした場合、これらキーワードを意識しながら、自己紹介文を作成していきます。
学校卒業後、現職△△株式会社で営業職に○年携わっています。
○○や○○といった商材を主に○○向けへの提案業務が主なミッションです。
□□といった悩みを抱えるお客様が中心になりますので、数ヶ月かけて顧客の課題解決を行うといったソリューション営業を展開しています。
担当エリアは○○、担当顧客数は××で、新規顧客と既存顧客の割合は○:○です。
現在、部内で一番の予算を持っていますが、ここ数ヶ月は連続して予算達成をしている状況です。
○年○月から部内でチームリーダーの役割を担っており、協調性と責任感を意識しながら業務をすすめています。
全てのキーワードについて、無理に盛り込む必要はありません。
求人票に記載されているキーワードをいくつか入れることで、アピールするポイントを効率的に絞ることができます。
面接対策に充てられる時間には限りがあるので、ゼロから考えて作っていくよりも、求人票や会社サイトを参考にして、アピールポイントを決めていきましょう。
40代が自己紹介で留意すべきこと

40代ともなると、20代や30代と比べて職歴も長く、経験社数や所属部署の数も多くなるはずです。
ここでは2つの例文を取りあげて、40代の自己紹介文の留意点を解説します。
【転職回数が多い場合】自己紹介の例文と留意点
在籍社数(転職回数)が多い場合の自己紹介について、例文と留意すべきポイントをご紹介します。
山田太郎と申します。学校卒業(中退)後、これまで3社で勤務してまいりました。
一社目は、○○メーカーの△△です。ここでは営業職として○○支社に3年半、その後転勤で東京本社に5年半勤務しました。
その後転職をしまして、2社目は○○を扱う企業、株式会社△△会社に勤務いたしました。
東京本社で営業職を6年程務めたのち、転勤で○○支社に異動になり、そこでは○○部で○○を担当しておりました。
3社目、現職になりますが、株式会社△△は2社目の○○から転籍という形で移りまして、引き続き○○職として、現在○年目です。
これまで3つの企業を経験しまして、勤務地や部署も数回変わりましたが、自分の職歴を大きく分類すると、主に職種Aと職種Bの2つです。
今回貴社に応募しましたのは、貴社の○○業務で、職種Bで培った○○と○○という経験(スキル)を活かせるのではと思ったからです。
B職では○○という実績を出しており、特に○○を得意としています。
これまでの経験を是非貴社で活かせればと考えております。本日はどうぞよろしくお願い致します。
複数職歴がある方は、まず何社経験しているのか最初に述べる

最初にA社に入りまして、その後B社に入りまして、そして現在C社に…
上記のように文を一度も切らずに話すと、聞く側が混乱して、内容をのみ込むことができません。

私はこれまでに3社経験しています
最初にこのように宣言するだけで、聞く側の心構えがまったく異なるのです。
名前は名乗っても、名乗らなくてもどちらでもOK
どちらでもOKですが、名乗った方が出だしのリズムが掴めて、話しやすくなります。
出だしは「学校卒業後、」から
学歴まで触れる必要はありません。
経験社名はすべて正式名称で名前を出す
履歴書や職務経歴書に記載しているからといって、省かないようにしましょう。
職種ごとの経験期間を合算して伝えるとわかりやすい

いままで〇社で勤務しましたが、○○の業務は□年、✖✖の業務は□年
上記のように、職種を合算して伝えると、面接官は記憶しやすいでしょう。
【1社で複数の部署を経験】自己紹介の例文と留意点
1社で複数の部署を経験し、さまざまな業務に携わった場合の自己紹介について、例文と留意すべきポイントをご紹介します。
山田太郎と申します。学校卒業後新卒で現職の△△会社に入社し、現在まで○年間勤務してまいりました。
この○年間で3つの部署を経験しています。A部署を○年間、B部署を○年間、C部署を○年間です。
これまでの職歴で、最も貴社に貢献できそうなのはB部署での経験です。
当社は○○(商材)を○○向け(顧客)に提案・販売する会社でして、○○や○○といった業務をメインに行ってきました。
主な実績としては○○があります。
貴社とは○○の部分でやや異なるところもあるかもしれませんが、○○や○○といったスキルを活かしながら、尽力していきたいと考えています。
本日はどうぞよろしくお願い致します。
現職企業の知名度があまりない場合は、業界や取り扱い商材などを補足する
だれ宛て(顧客)に、なにを(商材)を販売する企業なのかを補足すると、面接官はイメージが沸きやすくなります。
複数の職種の中でも、応募企業に最も近い職種について詳細に説明していく
経験職種のなかでも、これから受ける職種に最も近い部分(B部署での経験)についての記述をメインにします。
あまり関係のなさそうなA部署やC部署の経歴については、面接官が訊ねてきたら詳細に答える形にしましょう。
限られた自己紹介の時間のなかでは、あえて触れる必要はありません。
なお、未経験職種に応募する場合は、

今回、異業界、異職種への応募となりますが、○○の部分は活かせると思いますので、何卒よろしくお願いいたします
このように締めくくる形がおすすめです。
【職種別】自己紹介に盛り込むべきポイント
会社の求めている部分と自分の経験が重なっている部分だけで、自己紹介がうまく作れない場合は、適度に追加の情報を補いましょう。
補うべきポイントについて、職種別に一例を取りあげておきます。
- 営業:
誰宛てに(法人or個人)、何を(商材)、どのように(新規営業・既存営業)、どのくらい(担当顧客数、月別訪問数や予算など)販売していたか - 販売:
誰宛てに(富裕層/ファミリー層)、何を(低単価or高単価)、どこで(百貨店/ショッピングモール/ECサイト)、どれくらい(月の販売数/接客数)販売していたか - 営業事務:
書類作成(どんな書類をどれくらいの頻度で作成していたか)、受発注業務(一日当たりの処理件数)、営業経理(代金回収・入金確認・照合)の経験はあるかなど - システムエンジニア:
誰(顧客の業界)のどんなシステム(用途、規模)の、どの部分を担当していたか、リーダーやマネジメント経験はあるか。マネジメント経験の場合、人・モノ・お金のどの部分を管理していたか
自分の職歴について、
誰に / 何を / どれくらいの量を / どのように
上記のような観点を意識して伝えると、面接官は理解しやすくなります。
また、時間に余裕がある方は、自分がアピールできるスキルについて、ボキャブラリーを増やしておくとよいでしょう。
自己紹介だけでなく、長所などを聞かれた際にも役立ちます。
スキルの言語化に関しては、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
面接対策に転職エージェントを活用しよう

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転職エージェントの選び方については、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
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関連記事:40代におすすめの転職エージェント6選|179人の口コミ評価でランキング
まとめ:面接の自己紹介を対策して、好印象を与えよう
今回は、転職面接の自己紹介で40代がどのような内容を話すとよいのか、例文を交えながらお話ししてきました。
自己紹介は面接の冒頭で聞かれるため、第一印象を決定づけるという意味でも、とても重要な質問です。
ポイントを絞った濃い内容をコンパクトに伝えれば、面接官から好感をもたれて、その後の面接がうまくいく確率がぐんと高まるでしょう。
応募職種が同じであれば、他の企業でもある程度は応用が利きます。
きちんとした自己紹介文をいちど作っておくと、今後の面接対策がとても楽になるはずです。
面接対策を始める段階で、早めに攻略しておきましょう。
当サイトでは、40代の転職に特化した転職ノウハウについて、
- 実際に40代で転職を経験した人
- 企業の採用担当・キャリアコンサルタントなど、転職活動に知見を有する人
上記のようなメンバーが数多くの記事を提供しています。
転職活動のすべてのステップについて、以下の記事でわかりやすくまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
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