入社準備

【即戦力の罠】同業・同職種への転職でも、そのまま通用すると思うな

40代で転職を検討されている皆さまへ。

わたしは40代の転職を2度経験しており、今回はその経験に基づいて記事を書こうと思います。

40代の転職は、若い世代の転職と質が異なる部分も多いですよね。

自分で転職活動を進めるときも、いわゆるヘッドハンティングの場合も、共通して言えることは、採用した企業は間違いなく、「即戦力」として活躍してくれることを、あなたに期待しているということでしょう。

即戦力とはつまり、「会社の救世主」となることです。

耳に聞こえがいいですね。ヒーローものに憧れた世代としては非常に魅力的な響きでしょう。

がしかし、即戦力としての期待というものは、それはとてもとても重いものなのです……

この記事ではわたしの経験から、即戦力の期待に答えるとはどういうことか、自らの経験をもとに述べてみたいと思います。

「同業・同職種の転職だから大丈夫!」は甘い

現在の日本では、少子高齢化の影響も出てきて、就職や転職の市場としては、「売り手市場」と呼ばれています。

しかしいかに人材不足、売り手市場とはいっても、40代を越えてからの転職は、なかなかハードルが高いもの。

高いハードルを見事に乗り越えて、転職を果たしたのなら、これは本当に自慢してもいいことだと思います。

でも……「ほんとに大丈夫ですか??」

期待に胸を膨らませている方には申し訳ないのですが、心配もしてしまいます。なぜなら、わたしはタイヘンだったから!!

大丈夫に決まってるやん。前とおんなじ業種やで。経験バッチシや
オレ、転職じゃなくて、転社。職種おんなじで会社変わっただけ。何の問題もない

ホントにそうですかね??

何が? なぜ? タイヘンなのかをご説明しましょう。

想像以上に大きい会社文化風土の違い

やることは同じ。会社で求められる成果も同じ。

即戦力として採用されたということは、同業他社、あるいは異業種でも、同職種であることが多いでしょう。

ですが会社が変わるのです。仕事の進め方やプロセス、基準など、これらがまったく同じとは限りません。

会社の規模や組織にもよりますが、プロジェクトにしろ、チームにしろ、業務に関わる人間はさまざまです。

前の会社ではこんな社員、有り得なかった…

このような人材が、よりにもよって、自分の上司になったりすることもあるのです。

以前の会社の仕事では、

こういう作業は部下がやるのが当たり前だったなぁ

このような仕事でも、新しい会社では自分のタスクとして作業するのが、通例となっているかもしれません。

評価の基準が異なれば、仕事の優先順位も変わってきますので、「なんでこっちが優先?」と不思議に思うことが、意外なほど多いものなのです。

「前の会社ではこうだった」は通用しない

当たり前ですけれど、

前の会社はこうだったので、自分はこうします

このような考え方は、合理的かつ正当な理由がなければ、まず受け入れられないでしょう。

郷に入っては郷に従え。これは会社にも当てはまるのです。

そして人間関係も……前職で築いた社内の人間関係、その関わりの中での自分の立ち位置など、これらはすべて「ふりだしに戻る」わけです。

今まで自分の力で仕事をしてきたと思っていたけど、周囲との関係性があればこそだったんだなあ

転職をしてみて、このように改めて気づくことでしょう。

転職を検討している方は、改めて周囲を見回してみて下さい。

いつも見ている景色。当たり前の人間関係。壁の色。天井の高さ。キャビネットの中身。決裁申請のルール。給湯室の役割分担。

これらはみな、体に馴染んで、意識することもないはずです。

仕事の進め方はもちろん、ひとつひとつの判断も、どこの誰に確かめればいいのか。

目の前の課題やミッションを片付けていくために、必要となる手続きやフロー。深く考えなくても、必要な作戦を頭の中で構築して、行動できているはずです。

あらゆる仕事について、それぞれのカウンターパートを確認し、人間関係を改めて構築していく、その営みのスタート地点から再出発すること

転職とはズバリそういうことです。

これまで時間をかけて解決したり、妥協してきた煩わしい問題が、再び目の前に広がってくるのです。

会社の期待は毒にも薬にもなる

40代の転職では、転職先の会社からラブコールされることも多いです。

あなたのような人材を求めていたんです
会社の課題を解決するためには、君のようなキャリアを持った人間が必要不可欠なんだ

誰だって、人に褒められ、求められるのは心地よいものです。日頃のストレスも、この日のためにあったと考えたくなるでしょう。

でもその期待が、あなたの毒になるかもしれません。

期待の大きさはプレッシャーの大きさでもある

当たり前ですが、期待はモチベーションになります。

あなた
あなた
あの人の期待に応えたい!

このような強い思いが、マンネリだった仕事に、新たなやりがいをもたらしてくれるかもしれません。

しかし、期待がもたらすものはモチベーションだけではありません。

期待の大きさに比例して、「プレッシャー」も大きくなるのです。

上司
上司
これだけの経験や経歴があるなら、このくらいは出来て当たり前だろう

そんな目であなたは見られているかもしれません。

逆の立場で想像してみて下さい。

即戦力を求めているということは、会社の現状に、何かしら問題や課題があるということです。

課題を解決できる人材に困窮しているからこそ、新たな人材の登場に期待する。

そして、願ってもない経歴の持ち主があらわれる。それがあなたでした。

上司や同僚ならば、当然大きな期待を寄せるでしょう。

期待値の大きさとは、ハードルの高さでもあります。

あなたが前職の会社で見せていたパフォーマンスや実績では、もしかすると満足してもらえないかもしれません。

同じ結果でも評価を小さく見られることもあるでしょう。

あなた
あなた
わたし、この会社に来てから結構がんばりましたよ
上司
上司
いやこの程度なら、わざわざ君に来てもらうまでもなかったよ

このような非情な現実が待っているかもしれません……

当然ながら評価は給与に影響しますので、あなたの頑張りが会社の期待値に届かず、評価を小さくつけられてしまえば、翌年の給与が下げられる可能性も充分にあるのです。

期待値は会社が導き出すものであり、あなたが設定できるものではありません。

即戦力の転職とは、フリーエージェントで他球団に移籍するプロ野球選手と同じ。このように考えるとよいでしょう。

会社の状況や課題を自分の目で見つけ出せ

あなたが会社の救世主として、期待されている事実にもう少し目を向けてみましょう。

ひとくくりに人材不足といっても、その理由はさまざまです。

  • 大きなプロジェクトを運営するための経験者がいない
  • 業務課題を解決する手段が見いだせない
  • 会社のキーマンが退職してしまった
  • 事業拡大のチャンスをつかみたい

上記のように、会社が人材を募集する裏には、さまざまな理由や思惑があります。

だからこそ、真の理由を探り当てる必要があるのです。

得てして、人によって言うことが異なることがあります。

あなたの上司に、課長、部長、本部長がいるとしたら、それぞれがあなたに期待するポイントも異なるかもしれません。

そのとき、あなたはどう振る舞い、何を考え、どう行動するか。それが大切です。

入社してすぐは、あなたの言動は大きく注目されているでしょう。それと同時に、分からないことは当然のこととして許されます。

入社したばかりでよく分かりませんから、詳しく教えて下さい

入社して日が浅いという立場を利用して、目いっぱいに情報を集めるのです。

そして会社の課題や戦略、上司の思惑をうまく引き出しましょう。これらを適切に見極め、正確に理解し、判断することが重要となります。

周囲にアンテナを張りめぐらせ、カウンターとなる人物の言動から、自分という存在に対する、「真の期待」を見つけ出しましょう。

それに向き合って見せることが、あなたの評価を上げる最良の方法となるのです。

なぜ自分なのか?を見つめ直すことが大事

いくら売り手市場とはいっても、会社が人材を選ぶ際は、非常に厳しい目で応募者をふるいにかけます。

40代の人材となれば、その目もいっそう厳しくなるでしょう。

とてつもない狭き門をくぐったあなたには、それだけの価値があるのです。それはあなたの判断ではなく、会社がそう判断したということです。

あなたには他者より優れている何かがあった。間違いなく自信にして良いと思います。

前職とは異なる仕事ぶり、会社の文化、社員の意識レベルの違い。戸惑いや不安、自信を失う場面も多々あるでしょう。

しかし会社はあなたを公平に審査して、そしてあなたを選びました。この事実を自信にして、そして開き直るのです。

何があっても、自分を選んだ会社の責任──。それくらいの気持ちでのぞんで良いと思います。



初心にかえる勇気と努力がカギとなる

転職は「新しいスタート」であると、前述しましたが、スタートラインに立った日のこと、つまり初めて会社に出社したときのことを思い出しましょう。

過去の実績はすべて虚構だと思え

かつての会社で自身が積み上げてきた実績。それらは虚構だった、あるいは砂上の楼閣だったと思いましょう。

忘れるのではありません、いったんあなたの胸にしまうのです。

オレは前の会社で○○をやってきたんだ
わたしは前職でも××をしてきましたから問題ありません

上記のような発言をするのは自由ですが、自分の首を締める結果につながる危険性をはらんでいるのです。

時を待ちましょう。言える日はきっと来るはずです。

自分のことを自慢して相手をしらけさせても、メリットは何もありません。あなたの自慢も過去の栄光も、相手は求めていないことを心に刻んで下さい。

過去の栄光より将来に目を向けよう

言うまでもないですが、会社があなたに求めているのは、前の会社でどうだったかではありません。

入社した「この会社」で実力を発揮して、会社に貢献することです。

過去のことなど、面接を盛り上げる話のネタでしかありません。

転職したのであれば、新しい会社で自分を活かすことだけに集中しましょう。未来だけを見据えるのです。

スタートラインに立つということは、そういうことなのです。

40代のメリットとデメリットを上手に活かそう

40代のメリットは何でしょうか。逆にデメリットは?

この点を深く考えているでしょうか。

デメリットも武器になりえます。だからこそ、自分を「より知る」ことが大切。

よく知るべきは昔の自分ではなく、今の自分についてです。転職した新しい会社が見ているのは、今のあなただけなのです。

若い頃にはできていたことが、できなくなる。それももちろんあるでしょう。しかし若い頃はできなかったことが、今できていることもあるはずです。

メリットとデメリットをしっかりと把握すること。それこそが「経験」であり、経験したからこそ「学べた」ことではないでしょうか。

転職は人間力を磨く絶好の機会である

当然ながら、わたしたちは会社員である前に一人の人間です。

会社員としての評価だけが、人間の価値ではないわけですが、どうでしょうか。会社という組織に属する立場に固執しすぎていないでしょうか?

転職とは、会社員としての経験値を上げることにもつながりますが、それ以上に、一人の人間としての価値を上げる行為である、筆者はこのように考えています。

成功もあれば失敗もある

転職をすることで、明るい未来が待っているとは限りません。

成功することもあれば、失敗に終わることもあるでしょう。でもどちらに転ぶかは、あなた次第で決まるのです。

それでも転職はした方がいい

失敗したと感じた時に、あなたは転職したのが間違いだったと思いますか。

筆者は間違いだったとは思いません。転職したからこそ、得られたものが必ずあったはず。

転職を経て、得ることができた新たな経験は、転職をしなければ絶対に得られない、貴重な何かだったのではないでしょうか。

そして得た経験を活かすのは、これからのあなたの生き方次第で決まります。たった一度の失敗で悔やむのなら、転職など考えないほうがいいでしょう。

でもたとえ悔やんだとしても、筆者は断言できます。

「転職を経験したあなたは、経験しない人よりもずっと輝いている」と。

おわりに

転職をしようと考えている人は、その理由はさまざまだと思います。

新たな世界への扉を開きたいと考える人、苦しい現状からとにもかくにも逃げ出したいと考えている人。

たとえ後ろ向きな理由であろうとも、現在の自分と向き合って、未来を変えるべく一歩を踏み出した決意と勇気は、称えられるべきものではないでしょうか。

いずれにしても「即戦力」という言葉は、あなたにとって毒にも薬にもなるのです。

ぜひ「学ぶ」という姿勢を忘れないで下さい。

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この記事を書いた人
四万三十
40代男性、埼玉県在住。システムエンジニアからPM、コンサルと、転職を通じてスキルを磨き、キャリアを広げてきました。業態もさまざまで、知りたい世界、学びたい対象をそのときの感性の赴くままに選択し、人生を楽しんでいます。

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