42歳システムエンジニアの起業体験談。パソコン修理業で独立を決意!
会社を辞めたいけれど、転職先を探そうと求人情報を見ても、「40歳まで」という求人がほとんど。
転職するのは厳しいのかな…
このような思いの40代の方は多いでしょう。
かくいう筆者もその一人だったのですが、
しかもサラリーマンに向いてないし…
という思いが強く、かりに転職できても、また辞めたくなるのが目に見えています。
そんな状況のなかで決意したのが、ずっと夢に見ていた「起業する」という道でした。
この記事では、筆者が起業するために、退職に踏み切って開業するまでの体験談をお話ししています。
起業に迷って立ち止まっているあなたが、これを読み終わったあとに、前に一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
会社を退職したいと考えるようになったきっかけ
情報システム室に所属して、システムエンジニアとして働いていた筆者。
なぜ会社を辞めたいと思うようになったのか、その経緯についてお話しします。
他部署への異動を通達される
筆者が39歳のとき、とつぜん会社から、
君には総務部に異動してもらうから
このような通達を受けました。
総務部で二人がいちどに辞めてしまい、即戦力が必要になったため、隣の部署で中堅どころだった筆者に、白羽の矢が立ったのです……
それから3年間、総務部で働いたのですが、エンジニア気質の筆者はずっと物足りなさを感じていて、
自分の専門分野で頑張っていきたい…
情報処理のスキルアップをしていきたい…
上記のような思いから、退職を考えるようになりました。
サラリーマンは自分には向いていない
サラリーマンという職業に対して、
- 業務と関係のないことまでやらされる
- 人事評価が納得できない
- 上司が尊敬できない
このような不満を抱いている人は多いのではないでしょうか?
筆者も労働組合の代表や新入社員研修の講師、ときには社長の運転手まで、自分の業務外のことをたくさん押し付けられてきました。
人事評価についても、5段階評価されるのですが、各評価の人数割合が決まっています。
上司からは、
君は100点満点でいえば、90点以上の評価だ!
このようなことを言われても、効果の5段階評価では「真ん中の3」だったことも……
まったく意味のない人事評価ですよね。
また、数年にいちどは、昇給試験の面接があります。
とはいっても、取締役と話しをするだけなのですが。
普段の仕事ぶりを見ていない取締役と面談しただけで、いったい何が分かるのでしょうか?
はなはだ疑問です……
会社の愚痴のような話になってしまいましたが、
どれだけ頑張っても、給料は変わらない
これがサラリーマンに向いていないと思う、いちばんの理由です。
よくいえば安定しているということですが、いくら頑張っても変わりません。
しかし起業すれば、頑張れば頑張った分だけ返ってきます。
もちろん、頑張らなければ収入が減ってしまうのですが……
筆者はこのような環境で働きたいと考えていました。
再就職ではなく、独立開業したいと考えるように
社会人になって2年目の頃から、
何かのお店を自分でやりたいな…
このような思いを筆者は持っていました。
ただ、具体的にやりたいことがあったわけではなく、ずっと“何か”のままだったのです。
しかし20年たった今、やっとそれが具体的になりました。
オレはこれがやりたい!
と思えるようになった仕事は、数年前からやっている「パソコンの修理・サポート」です。
会社の同僚や近所の人、趣味でつながった人など、自分の周りの人たちから、パソコンの修理を請け負うようになっていました。
問題を解決できたときに、感謝されることがとても嬉しい!
1件1件に貢献している感覚を実感できるので、「これを仕事にしたい」と、やればやるほど強く思うようになっていたのです。
起業するために準備したこと
多くの人は、
退職金もそれなりに出そうだし、独立開業は退職してから動こう
このように考えるかもしれません。
しかし、それでは時間がもったいないです。
筆者は、退職までにできることを、しっかりと準備しておくことにしました。
人脈づくり
筆者の趣味は、ゴルフとお酒を飲むことなので、人脈づくりにはそれほど苦労しませんでした。
ゴルフをしていると、たくさんの新しい出会いがあります。
お酒が好きなことに関しても、お酒が入れば打ち解ける時間も短くなり、初めて呑む人でもすぐに仲良くなれるのです。
飲み屋にひとりで行けば、全く知らない人とも知り合いになれます。
ときには、共通の知り合いの名前が話題になって、
世間は意外と狭いよね!
このような出会いを経験したことも……
新たな出会いは、仕事につながる第一歩にもなるので、筆者は趣味からどんどん人脈を広げていきました。
どんな趣味でも構いません。
趣味は人脈づくりに欠かせない要素のひとつです。
今できることをやってみる(模擬開業)
筆者は前述したとおり、実際に起業する前に、自分の周囲の人からの依頼でパソコン修理をやっていました。
起業することを考えるなら、こういった開業前でもできることを、何でもいいので事前にやっておくのがおすすめです。
何かをやっているかいないかで、事業に対する不安と自信の量に大きな差が出てきます。
起業するうえで不安なことを、
事前にどれだけ自信に変えることができるか?
というのは、とても重要なことなのです。
退職が近づくに連れて、
本当に自分にできるかな?
お客さんは来てくれるだろうか…
このような不安にかられます。
しかし、事前に模擬開業といえる取り組みをやっていれば、不安におちいることも圧倒的に少なくなるでしょう。
資格を取る
パソコン修理業を開業するために、資格は絶対に必要というわけではありません。
しかし、取っておいた方がお客さんへのアピールにもなるものに、「パソコン整備士」という資格があります。
パソコン整備士の試験は、会場に行って、パソコンを使って選択問題を解く形式です。
全国各地に試験会場があり、場所によっては毎日やっている所もあります。
1級~3級の資格がありますが、飛び級での受験はできず、必ず3級から受けなければなりません。
筆者の場合は、3級と2級は一発合格できたのですが、
1級に合格できない…
という結果が続き、4回目でやっと取得できました。
パソコン整備士の資格は、パソコン整備士協会が担っており、テキストや問題集も出しています。
2級、3級はテキスト・問題集の両方が出されていますが、1級に関してはテキストしか出版されておらず、問題集がありません。
インターネットで調べても、
模擬テストも過去問も見つからない…
という状態なので、これが合格に向けての障害となっているのです。
試験が終わると点数と合否しか分からず、答え合わせもできないため、間違えた箇所がまったく分かりません。
筆者は、試験問題の記憶とテキストと照らし合わせて、間違えた箇所を思い出しながら、メモを重ねていきました。
正直なところ、途中で諦めそうにもなりましたが、名刺に「2級」と記載するのと、「1級」と記載するのでは印象が全然違います。
絶対に名刺には「パソコン整備士1級」と記載するぞ!
この気持ちをモチベーションにして、合格するまで受け続けました。
開業までに立ちはだかる壁とは?
実際に起業してからが大変なことは百も承知ですが、開業するまでも簡単に行くわけではありません。
筆者が感じた起業の壁をご紹介します。
いまの職場の人たちにかける多大な負担
自分がやっていた仕事量が多ければ多いほど、引き継ぎが大変です。
引き継ぎを受ける人たちに負担がかかることは、容易に想像がつくことでしょう。
とくに自分がやりやすいようにアレンジした仕事は、他の人がやるには非常に分かりにくいもの。
誰でもできるようにしてあげなければなりません。
人に教えるより、自分でやったほうが楽だよ…
こんなふうに抱えこんできた仕事が、引き継ぎをするときに一番やっかいです。
筆者の場合は、いつでも退職できるように、全ての仕事をマニュアル化していました。
自分はもう辞めるから適当でいいや…
このように考えるのではなく、お世話になった方たちに、可能な限り丁寧に引き継ぎしたいものです。
「有終の美」「立つ鳥跡を濁さず」という言葉があるように、最後まで全力で職務を全うしましょう。
親は必ず反対するものと思っておくこと
私たち40代の親といえば、70~80歳くらいではないでしょうか。
この年代の方々は、今と違って職業も限られており、物も少ない時代でした。
ですから、やはり安定した収入というのをすごく大事に考えておられます。
だからこそ、手を離れているとはいえ、我が子が今から起業することに対しては、心配でしょうがないはずです。
筆者の場合は、過去に起業未遂が2回あります。
過去の2回は親の反対に負けたのと、自分も十分な準備がなく、不安になったことで諦めました。
しかし今回は、開業に対する思いと、やっていけるという安心材料になる根拠を言えたことで、親に反対されなかったのです。
親には別に事後報告でいいんじゃない?
という考えもありますが、説得材料をしっかり準備して、事前に話しておくべきだと筆者は考えます。
「親に話せる」ということが、自信にもつながりますよ。
家族からの心配
筆者は結婚して子どもが2人いますが、家族に心配をかけないように注意を払いました。
同じように家族がいる方は、独断で勝手に突き進むべきではありません。
しっかりと奥さんと、そしてお子さんが中学生以上であれば、お子さんとも話し合いをしましょう。
自分ではできると思っていても、奥さんからすれば、
本当に大丈夫なのかしら…
と不安な気持ちでいっぱいです。
不安要素の大部分が収入面ですが、できるだけ取り除いてあげるためにも、数字を使って具体的に収入イメージを話してあげましょう。
また、模擬開業をおこなっていれば、結果を話したり、楽しくやっている様子を見せてあげることもできます。
家庭を壊すわけにはいきません。家庭あってこその自分です。
開業すれば、必ず家族の力を借りることにもなります。
決して勝手にやるのではなく、家族の理解を得たうえで起業しましょう。
まとめ:再就職だけが転職ではない。起業する道もある
今回は、筆者が独立開業するために、退職に踏み切るまでのお話しをご紹介しました。
人生は一度きりです。
60歳、70歳になって振り返ったときに、後悔することはしたくありません。
働き盛りの40代を全力で走るには、どうしたらいいかをしっかりと考えた結果、筆者は「起業する」という道を選びました。
きっとサラリーマンの何倍も大変でしょう。
でもその分、やりがいや達成感はさらに何倍もあると想像しています。
自分がいちばん輝けると思う道で、この40代を突っ走りましょう!