- 転職することになったけれど離職票って何?
- 離職票は必ずもらわなきゃいけないの?
- 離職票をもらえないときはどうすれば…
はじめて転職する人などは、離職票と聞いても今ひとつピンとこないですよね。
さらに退職時には、いろんな書類を渡されるから大変です。
そこで今回の記事では、転職時における離職票の必要性や役割、必要な場合の発行手続きについてご説明していきます。
筆者はかつて法務部・人事部に在籍し、社員や派遣スタッフの退職に関して、さまざまな相談を受けてきました。
この記事を読み終えることで、離職票の役割や必要性を理解して、転職時の書類提出についての不安を減らすことができますので、ぜひ最後までご覧ください。
離職票の役割と基礎知識
転職を経験したことがある方なら、会社から離職票を渡されたことがあるかもしれませんね。
離職票とは、いったいどのような役割のもので、誰が発行するのかはご存知ですか?
まずは、離職票の基本的な部分について確認してみましょう。
離職票とは?
離職票とは、正式には「雇用保険被保険者離職票」といい、1と2の書式があります。
【雇用保険被保険者離職票-1】
【雇用保険被保険者離職票-2】
ほとんどの場合は、この1と2の書式をセットで取り扱うため、まとめて「離職票」と呼んでいます。
離職票とは、
会社を退職しても、まだ次の仕事が決まっていない
このような場合に、雇用保険の失業給付(失業保険)の申請を、ハローワークで行うときに提出する書類です。
したがって、すでに次の転職先が決まっており、失業保険の申請を行わないという人は、離職票は必要のない書類となります。
すべての退職者が必要となる書類ではないため、退職先が必ず発行してくれるとは限りません。
離職票が必要な場合は、退職前に会社に発行を依頼しておけば、退職から2週間ほどで会社が発行してくれます。
離職票-1と2の違い
雇用保険被保険者離職票-1と2の書式ですが、それぞれがどのような書類なのか、詳しく確認していきましょう。
雇用保険被保険者離職票-1
雇用保険被保険者離職票-1は、A4サイズの下段が少し切り取られた大きさの書式です。
この書式で私たちが記入する個所は、いちばん下の「求職者給付等払渡希望金融機関指定届」の欄となります。
この欄に、失業給付などの給付金を振り込んでもらう、金融機関の情報を記入しましょう。
「金融機関による確認印」欄がありますが、こちらはハローワークに銀行などの通帳を持参して、担当者に確認してもらえば押印は不要です。
雇用保険被保険者離職票-2
雇用保険被保険者離職票-2は、A3サイズの書式で、毎月の給与額や具体的な退職理由などが記載されます。
こちらに記載されている金額や離職理由によって、失業保険で支給される金額が変わってきます。
内容に間違いないか、しっかり確認しておきましょう。
離職票は失業保険の申請に必要な書類です
退職後に失業給付(失業保険)の申請を行う場合、離職票は必須の書類となります。
失業給付とは、仕事を探している無収入の状態において、生活費を保障してくれる雇用保険の制度です。
雇用保険の「失業給付」とは一般名称で、正しくは「基本手当」といいます。
この基本手当の支給を受けるには、以下のどちらの条件もクリアしている必要があります。
- 失業の状態にある
- 離職した日以前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算して12か月以上ある
まずは離職票がないと申請自体が行なえませんので、転職先が決まっていない場合は、必ず退職する会社に離職票の発行を依頼しましょう。
離職票が発行されるまでの流れ
離職票は退職する会社が発行手続きをして、退職者に渡す書類です。
労働者が会社を退職する場合は、雇用保険を脱退しますので、会社はハローワークに「資格喪失届」を提出する必要があります。
退職者から離職票の要望があった場合には、会社は「資格喪失届」とあわせて、「離職証明書」をハローワークに提出します。
そしてハローワークは、会社から「離職証明書」の提出があった場合に、離職票を交付する流れです。
労働者が退職した場合は、会社は退職の翌日から10日以内に、「資格喪失届」などをハローワークへ提出しなければなりません。
そのため、離職票は退職からおおよそ2週間以内には、会社から発行されるはずです。
離職票と離職証明書、退職証明書の違いとは?
退職のときに使用するもので、名称が似ているために紛らわしい3つの書類があります。
ここでは、それぞれの違いと役割についてご紹介します。
離職票とは
失業保険を受けるために、ハローワークに提出する公文書です。
ハローワークが発行し、退職する会社を通して、本人に交付されます。
離職証明書とは
正式には「雇用保険被保険者離職証明書」といい、社員が退職し離職票を発行する場合に、会社がハローワークに提出する公文書です。
社員は退職前に、離職証明書に記載された離職理由などの内容を確認し、記名押印または署名をします。
書類の作成やハローワークへの提出は、すべて会社が行います。
退職証明書とは
退職証明書は、転職先の会社が提出するように指示をした場合に必要となる書類です。
会社を退職した事実や、働いていた期間などを証明します。
退職証明書は会社が発行する私文書で、とくに決められた書式はなく、退職者が希望する場合のみ発行されます。
労働基準法の第22条では、労働者が退職する場合に、以下の項目のうち労働者が請求した項目に関する証明書を、会社側が発行する必要があると定められています。
- 使用期間
- 業務の種類
- その事業における地位
- 賃金
- 退職の事由
まれに転職先の会社で、離職票の提出を指示されることがありますが、これは退職した会社の在籍などを確認するためのものです。
転職するときに離職票は必要なもの?
退職する会社から、上記のように聞かれたけれど、よくわからないので、
こんなふうに質問してしまう方も多いようです。
離職票の役割がわからないと、自分に必要なのかどうかは判断がつきませんよね。
まずは転職するときに離職票は必要なものなのか、そして転職先に提出する書類にはどのようなものがあるのか確認しましょう。
原則として、転職先へ離職票の提出は必要なし
原則として、離職票を転職先に提出する必要はありません。
したがって、退職するときに次の転職先が決まっている場合は、退職する会社に離職票を発行してもらう必要はないです。
しかし筆者は、転職先が決まっている場合でも、万が一を考えて、離職票を発行しておくことをおすすめしています。
詳しくは後述しますが、
- 転職先から離職票の提出を求められる場合がある
- 転職先をすぐ辞めてしまった場合に、失業保険の申請で必要になる
上記のような場合に離職票があった方がよいので、可能であれば退職前に離職票の発行を依頼しておきましょう。
転職先から求められたら、離職票は提出するべき?
離職票とは、本来は失業給付の申請を行うための書類ですから、転職先に提出する義務はありません。
また離職票-2には、離職理由が記載されていますので、
このような気持ちもあるでしょう。
だからといって、転職先に拒否もしづらいものです…
そこで以下のように話してみましょう。
通常であれば、「それなら不要」という話になるはずです。
ただ、上記のように話しても、
このように言われてしまう場合には、従ったほうがよいでしょう。
こんなところで反抗して、入社して早々に働きづらくなるのは避けておくべきです。
転職先に提出が必要なのは、雇用保険被保険者証と年金手帳
転職先に必ず提出する書類は「雇用保険被保険者証」と「年金手帳」です。
入社日に持参できるよう、退職前に2つの書類が揃っているか確認しましょう。
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入するために必要となる書類で、あなたの雇用保険の被保険者番号が記載されています。
被保険者番号は会社を辞めても原則変わらないので、あなたの番号を確認するために、転職先は雇用保険被保険者証が必要となるのです。
年金手帳とは、転職先の厚生年金に加入するときに必要となる書類です。
どちらの書類も、入社時に本人に返却することになっていますが、会社で保管していて、退職時に本人へ返却するケースもあります。
手元にない場合は、会社に確認してみましょう。
万が一、紛失してしまった場合には、以下の方法で早めに再発行の依頼をしてください。
- 雇用保険被保険者証:
ハローワークにて無料で当日に再発行 - 年金手帳:
年金事務所で無料で再発行。後日郵送されてくるが、時期によっては1ヶ月ほどかかることも…
雇用保険被保険者証の再発行申請手続きについては、以下の記事をご参照ください。
使わなかった離職票は、捨てていいの?
このような場合は、結局は使わなかったとしても、「2年間」は離職票を大切に保管しておきましょう。
失業保険の受給要件は、
退職前の2年間で、通算12ヶ月以上は雇用保険に加入していること
上記のように定められています。
仮に短い期間で転職先を辞めてしまっても、通算期間を満たせば、失業保険は受給できるのです。
転職先で長く就業できれば必要ありませんが、万が一という場合もあります。
持っておいて損することはありませんので、大事に保管しておきましょう。
離職票が必要な場合はどうすればよい?
離職票を発行するのは退職する会社とわかりましたが、必要な場合はどうすれば、発行してもらえるのでしょうか?
ここでは、離職票が必要な場合の発行手続きの方法や、届かない場合の対処法を確認していきましょう。
離職票が必要な場合の発行手続きの流れ
前述したとおり、離職票は退職時に必要な場合と、不要な場合があります。
したがって、退職時に会社が必ず準備してくれるという書類ではありません。
退職時に転職先が決まっておらず、失業保険の申請を行う場合には、必ず会社の総務や人事部などに発行依頼を行いましょう。
離職票を発行するときは、以下のような流れとなります。
- 本人が会社に離職票の発行を依頼する
- 会社の担当者が離職証明書を作成して、本人は確認の署名をする
- 会社の担当者が離職証明書をハローワークに提出する
- ハローワークが離職票を発行する
- 会社の担当者が、発行された離職票を本人へ郵送する
発行手続きには時間を要しますので、余裕をもって退職の2〜3週間前までに、会社の担当者へ離職票の発行を依頼しておくことをおすすめします。
退職した会社から離職票が届かないときは?
退職後10日以内に、会社がハローワークに申請することで、離職票が交付されます。
したがって、通常は2週間ほど、遅くとも1ヶ月以内には、離職票が退職者の手元に届くはずです。
しかし1ヶ月経っても離職票が届かないような場合は、会社が離職票の発行をしていない可能性があります。
前述したとおり、離職票とは退職時に必ず渡される書類ではなく、退職者が希望した場合のみ発行される書類です。
離職票が届かない場合は、あなたの希望が会社側に伝わっていないか、会社側が忘れてしまっているかのどちらかでしょう。
しかしどちらにしても、離職票が届かないと失業保険の申請ができません。
すぐに退職した会社に連絡して、
このように依頼しましょう。
もしそれでも会社が離職票を発行してくれない場合は、ハローワークに相談することをおすすめします。
会社から離職票が交付されない場合や、事業主が行方不明の場合等については、住居地を管轄するハローワークにお問い合わせください。
転職先が決まっていても、離職票はもらっておこう
本来は転職先が決まっていれば、会社に離職票を発行してもらう必要はありません。
転職先が決まっていれば、失業保険の申請を行わないからです。
ですが筆者は、転職先が決まっていても、離職票をもらっておくことをおすすめします。
それは万が一、転職先の内定が取り消されたり、環境が合わないなどで転職先をすぐに辞めてしまった場合に、失業保険の申請を行う可能性があるからです。
このように思われる方もいるかもしれません。
しかし「離職票は失業保険の申請に必要な書類です」に記載した、条件②を見てもらうとわかるとおり、
離職した日以前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算して12か月以上あること
上記の条件を満たしていれば、失業保険の申請は可能です。
たとえばA社を退職して、B社に入社したとしましょう。
ここで理由があってB社を3日で退職したとしても、A社で12ヶ月以上働いていれば通算されますから、受給資格はあるということです。
しかし退職するときに、
このような話しをしていると、あとから離職票の発行依頼をするのは、連絡がしづらくなってしまうでしょう。
もしもの時に備えて、
こう言って離職票を発行してもらっていれば、すぐに失業保険の申請を行えます。
無事に転職先で仕事を続けられて、離職票が不要だったとしても、自分で保管すればいいだけですから、離職票は発行してもらった方がよいです。
まとめ:転職するときは、離職票をもらっておこう
今回は、転職時における離職票の必要性や役割、必要な場合の発行手続きについてお話ししました。
離職票とは、失業保険の申請時に必要となる書類なので、転職先が決まっているときは、基本的に不要な書類です。
ただし、筆者がお伝えしておきたいのは、
転職先が決まっていても、離職票はもらっておいたほうがいい
ということです。
記事のなかでご紹介したように、
- 予期せず転職先から内定が取り消しになった
- 転職先をすぐに辞めてしまった
このような場合などで、失業保険を使うことになった際に、離職票が必要となります。
あとからだと、退職先にも連絡しづらくなりますし、失業保険を申請するまでに、時間がかかってしまうことになりかねません。
万が一に備えて、転職先が決まっていても離職票はもらっておきましょう。
▼こちらも合わせてどうぞ▼
40代の転職者161人の口コミ評価にもとづいて、おすすめの転職エージェントをご紹介します。
登録時の注意点や120%活用する方法を、転職エージェントに長年勤務してきた筆者が詳しく解説。失敗しないためにぜひ参考にしてください。
40代が応募できる求人は数が減ってしまうので、転職サイトごとの特徴を掴んで、自分にマッチした求人を効率よく集めることが重要です。
40代が転職サイトを選ぶときのポイントと、おすすめ11選を5つのタイプ別でご紹介します。
みんなのコメント
まだコメントがありません。