公務員からの転職を考えるとき、
転職することに不安がある。果たしてやっていけるのかな…
このような心境になる方も多いでしょう。
公務員を続けていれば、よほどのことがない限り失業することありませんし、どんな職業よりも安定しています。
安泰の地位を捨ててまで転職するわけですから、不安になるのはある意味で当然のことです。
ですから、公務員からの転職を考えている方は、安易な気持ちで転職に踏み切るのではなく、不安に思う要素をしっかりと潰し込んでおきましょう。
かくいう筆者は、40代で公務員から民間企業への転職を経験したのですが、
大丈夫!自分は次の転職先でもやっていける自信がある
このような考えで転職にのぞんだため、見事に失敗してしまいました…
この記事では、40代で公務員から民間企業への転職を考えている方に向けて、公務員からの転職で注意しておくべきことをご紹介しています。
筆者の失敗体験を交えながら、わかりやすくお話ししていますので、ぜひ最後までご覧いただいて、あなたの悩みを解決するヒントにしてください。
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▼この記事の執筆者▼
公務員を20年続けてきた私が転職を決意した理由
公務員の人が転職を考えたとき、
公務員が民間企業へ転職するのは、そんなに甘いことではないよ
という意見を聞くことがありますが、これは本当です。
筆者は40代になってから、公務員から民間企業への転職を経験しましたが、その転職に失敗。
甘くないことを、身をもって痛感してしまいました…
まずは筆者の転職体験についてお話しします。
公務員キャリア20年も、仕事をイヤに思う気持ちが強くなる…
筆者は、地方公務員である消防職に従事していました。
簡単にいえば、消防士だったわけです。
消防署には約20年間勤務しましたが、その年月のほとんどを、専任の救急隊として働いてきました。
下積み3年、一人前になるには10年
世間一般的にはこのように言われていますから、筆者も一人前の救急隊員に当てはまっていたのかもしれません。
確かに、救急隊の業務を他の救急隊員よりも長くやってきましたので、
経験年数や知識、技術は誰にも負けない!
このような自信に満ち溢れていたのは、紛れもない事実であります。
しかし筆者は、救急隊の仕事を長く続けてきて、毎日の激務にもはや嫌気をさしていました。
- 業務上での不満
- つまらない人間関係
上記などが積み重なり、仕事をイヤに思う気持ちが強くなっていたのです。
専門学校からヘッドハンティングの話をもらい、転職を考えることに
仕事をイヤに思うものの、なんとか我慢しながらの日々を送っていたある日のこと。
専門学校の教員をしてくれないか?
このような仕事の誘いを知人から受けます。
救急隊員は、救急救命士という医療従事者に該当するのですが、その救急救命士の資格学科がある専門学校に、専任教員として誘われたのです。
筆者は、このヘッドハンティングの話を受けることにしました。
不安な気持ちもあったが、安定した勤務先なので退職を決意
確かに、公務員を辞めるということに、不安な気持ちはありました。
しかし、次の職場となる専門学校は、私立なのですが文部科学省認定の学校法人であり、安定性には問題ありません。
また、これまでの経験から、教育する仕事に対しても自信がありました。
私立だけど、専門学校の教員も安定している仕事だよな…
現場経験も十分だし、教えることには自信がある
こういったことを加味すると、公務員から転職することの不安よりも、どちらかといえば自信のほうが強かったわけです。
「民間企業は甘くない」は本当だった
自信と希望をもって、公務員から民間企業への転職をした筆者。
しかし現実は、想像していたものとはまったく違っていました…
新しい仕事に不満はなく、やりがいを持ってのぞめた
専門学校におけるおもな仕事は、言うまでもなく授業をすることです。
ただ、授業をするためには、授業の倍以上の時間を費やして、授業をするための準備をしなければなりません。
筆者は救急隊をしながら、常に知識の習得に精を出してきたのですが、
忘れている医学知識も多いな…
このように実感することも多く、寝る間を惜しんで復習をしました。
大変ではありましたが、生徒たちは真剣に授業を聞いてくれますので、とてもやりがいのある仕事だったのです。
教員という仕事に対しては、何の不満もなく問題なく取り組めました。
働くうちに民間企業の厳しい現実を知るように…
仕事に対しては、やりがいを持って取り組むことができ、転職先で幸先のよいスタートを切ることができた筆者。
しかし、しばらくすると、
公務員と民間企業では体質が違う
ということに、たびたび直面するようになりました。
私立学校は公立学校とは違って、いわゆるひとつの民間企業ですから、生徒が入学してこなければ利益が減ってしまいます。
つまり経営者としては、たとえ教育に対する信念を持っていたとしても、
上記を第一優先で考えなければなりません。
勤務先の朝礼では、
合格率を高くしないと、来年から生徒が来ないだろ!
(利益が減るから)やる気のない生徒でも、一人も辞めさせるな!
上記のような言葉が、罵声を浴びせるように出てきますし、そのための対応策を求められ、そして行動するように言われます。
このようなやり取りを繰り返す毎日のなかで、筆者は非常にストレスを感じるようになり、
最近はぜんぜん寝れなくなってしまった…
このような状態になってしまって、体調を崩して休みがちになってしまったのです。
頭の中ではなんとなく理解していたつもりでしたが、実際に働いてみて、
民間企業はそんなに甘くない
このような「よく耳にする言葉」を、あらためて痛感させられたのでした。
公務員の仕事には、民間企業のような「利益を求める」概念はない
公務員と民間企業では、根本的に体質が違います。
公務員の仕事は、決して楽なわけではありませんが、「利益を求める」という概念はありません。
しかし民間企業では、どんなに小さな業務であっても、
その仕事は、どのようにして利益につながるのか?
こういった考え方が原点にあります。
公務員にも、当然ながら経理というものはありますが、公務員の経理はあくまでも削減のことを考えるだけです。
基本的に、利益をあげるための業務ではありません。
むしろ逆に、
次年度の予算を削られないように、予算をどう使いきろうか…
このようなことを考えていたりします。
つまり、公務員は誰一人として、
という前提があるのです。
言ってしまえば、たとえ予算が減少したからといっても、給与が減給されるわけでもなく、解雇になるわけでもありません。
しかし、民間企業の場合であれば、そうはいかないでしょう。
利益が減ってしまえば、給料は削減されますし、役職も下げられます。
最悪の場合は、経営不振で会社が倒産してしまい、失業する可能性だってあるのです。
公務員からの転職に失敗してしまった原因とは?
筆者が公務員からの転職に失敗してしまった原因は、以下の2点につきます。
1.転職にあまり不安を感じていなかった
まず何よりも、転職にあまり不安を感じておらず、
- 自分の甘い見立てでものごとを進めてしまった
ということが、失敗につながった原因だといえます。
ヘッドハンティングされたことに浮かれて、次も安定した勤め先であると思っていたため、筆者は民間企業への転職に対して、あまり不安を感じていませんでした。
というよりも、やっていける自信がありましたので、不安な気持ちを自信が打ち消してしまっていたのです。
自信があるゆえに、
きっと大丈夫!何とかなるだろう…
このように安易に考えてしまったことが、転職に失敗する結果につながりました。
しかも、その自信というものは、
という技術的な能力のことだけだったのです。
2.民間企業の厳しさを理解していなかった
公務員からの転職で不安な気持ちになるのは、いうまでもなく、
民間企業は公務員よりも厳しい
という現実を危惧するからでしょう。
筆者も頭の中では、民間企業で利益を上げていくことの厳しさを、なんとなく解かっているつもりでした。
ただこれは、深く考えることをしなかっただけで、じつはちゃんと理解はできていなかったのです。
実際に民間企業で勤務してみて、はじめてその体質の違いを痛感し、あらためて公務員の安定性に気がつきました。
変な自信をもって甘く見ることなく、公務員を辞める前にしっかりと心の整理しておき、転職先の調査や対策などを練っておくべきだったのです。
ちゃんと準備をしておけば、転職したあとに体調を崩したりすることもなかったでしょう。
公務員から民間企業への転職を考えているのであれば、
- 利益を追い求める民間企業のなかで、自分はやっていけるのか?
- もし、転職が失敗した時は、その後はどうしていくのか?
このような違いについて、しっかりとイメージしておくことが大切です。
失敗を回避するために、不安を感じる要素にしっかり目を向けよう
筆者にも、不安な気持ちが無かったわけではないのですが、安易な自信を持ってしまったがために、その不安を打ち消してしまいました。
自信が大きいほど失敗しやすくなってしまうのは、
不安に思うことに対して、十分な対策を考えていない
このような状態になるからであり、転職の成功を阻む大きな要因になってしまいます。
人は不安の要素に目を向ければ、その不安を打ち消すための対策を考えるものです。
公務員から転職を考えるときには、自信をもっていることはさておいて、まずは不安に思う要素について真剣に向き合いましょう。
もしも筆者が転職を考えたときに、
生徒の教育と利益の追求を同時に課されたとしたら、自分には対応できるだろうか?
このようなことを考えていたら、おそらく「能力的にできない」という判断で、転職を見合わせていたかもしれません。
40代の転職活動を成功させるためのポイント
40代の転職には「40代なりの攻略法」があるので、若い頃と同じ感覚で転職活動に挑んでしまうと、厳しい戦いが待ち受けているかもしれません。
転職活動では、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
転職は万全の準備で進めよう
転職活動には、大きく分けて以下の6つのステップがあります。
それぞれのステップでやるべきことを理解して、しっかり対策することが重要です。
じっくりと読み込んで転職活動の流れを知り、万全の準備をしていきましょう。
これまでの経験を棚卸しして、自身の強みを自己分析する
40代の転職者に対しては、若い頃のように「ポテンシャル(伸びしろ)に賭けてもらえる」といった特典はありません。
「今後の可能性に期待」という悠長な姿勢はなく、入社してすぐに結果を出すことを求められます。
この人ならすぐに活躍してくれそうだ!
このような確証が持てない限りは、企業側が内定を出すことはないでしょう。
即戦力であると企業側に思ってもらうためには、
私が持っている強みは○○です!
ということをしっかりアピールしなければなりません。
まずは社会人になってからこれまでの、職歴や実績について棚卸しをしてみましょう。
そのうえで、自身の強みを自己分析しておく必要があります。
最初にしっかり自己分析をしておくことで、求人を選ぶ際の手がかりや、応募書類の作成でも役立つはずです。
転職への”動機づけ”を明確にしよう
転職準備をしっかり進めることに合わせて、転職に対する”動機づけ”を明確にしておくことが重要です。
採用面接で、面接官に転職の動機を聞かれたときに、
御社の事業内容に魅力を感じました
上記のような回答では、さすがに選考を通過するのは難しくなります。
退職理由にも、転職理由にもなり得る“ポジティブ”な理由や目標を、しっかりと決めておきましょう。
転職の動機を明確にしておけば、転職活動が長期化した際にも、原点回帰できるのでとても重要です。
なお、転職の動機については、
- 退職理由
- 転職理由
- 志望動機
上記のような要素として、面接で必ず質問される内容です。
それぞれにはノウハウが存在していますので、以下の記事などを参考にして、しっかりと対策しておきましょう。
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応募先の企業研究を徹底的におこなう
転職活動における企業研究は、「研究」という言葉がついていますが、実際にはリサーチに近いものです。
インターネット上でたいていの情報を収集できますので、労を惜しまずにおこなっていきましょう。
企業研究のコツは、応募企業を1から10までつぶさに調べあげるのではなく、優先順位をつけて情報収集をしていくことです。
- 面接に合格するための企業研究:
沿革、経営者情報、商材の特性、売上高、取引先情報、競合情報、中期経営計画(企業理念含む)、業務内容など - 入社するか判断するための企業研究:
年収や評価制度、産休・育休取得状況、ワークライフバランス(残業や有給)など
待遇や働き方に関する項目は、内定が近づいた段階の調査でも構いません。
書類選考・面接対策としては、できるだけ❶に関する項目を集めて、履歴書や面接の志望動機作成に活用していきましょう。
企業研究で集めた情報は、
上記のように、活用する場面は多岐に渡ります。
たくさんの企業情報を集めれば集めるほど、他社比較などもできて知識に厚みが出ますので、早めに取り掛かりましょう。
まとめ:公務員からの転職に失敗しないための3つのポイント
今回は、公務員からの転職に失敗してしまった筆者の経験にもとづいて、民間企業への転職を成功させるために必要なことをお話ししました。
- 「民間企業は甘くない」は本当です!
- 公務員と民間企業の体質の違いを、転職する前に理解しておく
- 自信の大きさではなく、不安を感じる要素に目を向けよう
あなたがいま、転職への自信を持っているのであれば、まずはその自信をいったん横に置いておきましょう。
もちろん、自信があるのはよいことなのですが、その自信が裏目に出てしまうこともあります。
転職という人生の中でも一大イベントとなる場面では、自信が過信となってしまって、悪影響を及ぼしてしまうことは避けるべきです。
そうすると、公務員を辞めることへの不安が浮き出てくるので、
本当に公務員という安定を、捨ててしまってもよいのだろうか?
このような考えが、湧き上がってくるかもしれません。
- どうすれば、民間企業への転職に成功するのだろうか?
- 失敗しないためには、何をしておくべきだろうか?
- そもそも、転職すること自体をやめておくべきだろうか?
上記のような不安に思うことに、さまざまな角度から向き合って、しっかりと対応策を考えていく必要があります。
もし、自分だけで解決できないならば、誰かに相談してみましょう。
残念ながら、筆者は公務員から民間企業への転職に失敗してしまいましたが、もちろん後悔ばかりしているわけではありません。
転職の失敗を経験したことにより、より強くなりました。
これまでは、公務員という立場で何かしらの甘えがあったわけですが、今は違います。
利益を求めていかないと、明日は食べていくことができない…
こんなことを普通に考えて、前に進めるようになりました。
まあ、どんな逆境に立たされたとしても、前に向いていくしかありませんからね…
あなたが公務員の安定を捨ててまで、転職しようと考えているのならば、不安に思うことにしっかり向き合ってください。
そして、ぜひ成功を掴みましょう!
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