「リストラ」や「倒産」という言葉は、今ではニュースなどで頻繁に見かけるようになりました。
直近では、コロナ禍の影響による倒産なども話題になっていますし、リストラは大手企業だけに留まらず、さまざまな企業であたり前のように行われています。
リストラのターゲットとなるのは、給料の安い20~30代の若手社員ではなく、コストのかかる40代以上の社員です。
40代のサラリーマンであれば、
突然にリストラ宣告をされてしまった…
このような可能性は、誰にでもありえる話でしょう。
ただ、仮にリストラにあったしたとしても、40代なら転職できるチャンスはまだありますから、絶望する必要はありません。
定年を70歳だと考えると、40代はまだ折り返し地点くらいですから、
50代~定年までを見据えて、長期のキャリアプランで転職先を考える
ということが重要です。
この記事では、40代でリストラに遭遇し、数回の転職を経験してきた筆者が、リストラから再起する道のりや40代で転職するコツについてお話しています。
自身の体験談を交えながら、リアルな部分をご紹介していますので、現実的にリストラや倒産の憂き目にあったときに、あなたの悩みを解決するヒントにしてください。
▼この記事の執筆者▼
40代のときに、突然やってきたリストラ
リストラは社内でウワサになる場合もありますが、何の前触れもなく突然やってくるケースがあります。
筆者の場合は、前触れなくある日突然にやってきました。
事業部の売却によって、会社でリストラ策の断行が決定
筆者は40代前半のころ、とある製造業の営業部門でマネージャーをしていました。
勤めていた会社には3つの事業部があり、筆者は2番手の売上を持つ第2事業部に所属していたのです。
ところがある日、
稼ぎ頭である第1事業部を、大手メーカーに売却します
会社がこのような発表をして、急なニュースに社内は騒然としました。
何しろいちばんお金を稼いでいた、知名度の高い事業がなくなってしまうのですから…
当然ながら、社員の誰もが、
えっ?この会社は存続できるの??
このように思ったものです。
あわせて発表された、会社のリストラ策は以下のような内容でした。
- 第1事業部を売却
- 第1事業部の社員は、全員売却先企業に異動
- 残りの2事業部で事業継続
この時は残りの2事業部については、リストラはなかったのです。
主力事業部の売却によって、筆者が所属していた第2事業部が、実質で稼ぎ頭の看板部署となります。
事業部員は一丸となって、なんとか会社を存続しようと頑張りました。
しかし、これは束の間の平和だったのです…。
倒産するよりマシだと思っていたら、指名解雇でリストラされることに…
主力の事業部が無くなったことで、
ある程度の変革は行われるだろう…
このように予想はしていましたが、第1事業部の売却後に、第2弾のリストラが始まります。
まず手はじめに、第3事業部の50代古株社員が指名解雇され、そして第2事業部の最年長である筆者も、指名解雇の対象となりました。
まさか名指しでリストラされるとは夢にも思っておらず、
いくら中小企業だといっても、こんなに簡単に解雇されるなんて、許されることなんだろうか?
こんなふうに、筆者は絶望的な気持ちになってしまったのです…。
退職にあたっては多少の条件がありましたが、「会社都合」ということで決着しました。
労働基準局に相談してみようかな…
このような思いもありましたが、小さな会社なので、たとえ残れたとしても、居づらくなるのは目に見えています。
結局、そのまま受け入れることにしました…。
退職日まではまだ1ヶ月ちょっとあったのですが、退職勧告が月末の27日だったこともあり、
3日後から、もう出社しなくていいよ
このように会社から言い渡されたのです。
「引継ぎも要らない」という、会社の確固たる意思を感じました。
こうやって自分だけが解雇されるくらいなら、
会社ごと倒産したほうが、転職には有利だったんじゃないか?
と恨み言のひとつも言いたかったのをよく覚えています。
そして、どうせ会社に勤めるのなら、
大手企業に勤務していれば、こんなことにならなかったのだろうか…
このように、自分の力量のなさを責めたりもしました。
リストラされたその後。再就職までの道のりは?
急なリストラだったことに加えて、事業部の売上は小さいながらも上向きだったこともあり、筆者は転職活動などをまったくしておりませんでした。
会社の在籍期間はまだ1ヶ月ほど残っていますが、すぐにでも転職活動を始めて、次を探さなければなりません…。
たった3日でサラリーマンから無職になってしまうのですから、会社員というのは全く理不尽なものです。
次の仕事が決まるまでは、心理的に不安定な日々が続いて、
いま事故にあって死んだりしたら、「40歳無職の男性」って新聞に載るのかなあ…
こんな感じで、嫌なことばかりが頭をよぎりました。
失業保険での生活
会社都合の退職だったので、失業保険は1ヶ月ほどでもらえるようになり、これは経済的に助かりました。
たった1ヶ月とはいえ、体感では2ヶ月くらい待ったような印象です…。
筆者は20年近くサラリーマンをやってきましたが、これがはじめてもらう失業保険でした。
思っていたよりはもらえましたが、もちろん給料と同じ額をもらえるはずもなく、貯金を切り崩しながらの生活を続けることになったのです。
転職活動に専念していたので、ほかの収入はまったくありません。
失業保険をもらっているうちは、アルバイト収入などがあるとハローワークへ報告する必要もあるため、積極的に収入を得ようとは考えていませんでした。
個人事業も視野に入れながらの転職活動
転職活動は思ったほどうまくいかず、自身が納得できる転職案件は少なかったです。
転職エージェントにも登録して、面接も何件かはしたのですが、採用には至りませんでした。
40代ならば、まだ転職先はあるはず…
このような思いもあったので、失業中でもそれほど深刻さを感じていなかったのです。
またこの頃は、個人事業も意識していたので、
起業するかライターの仕事で、個人事業主として食べていけないだろうか?
このようなことも漠然と考えていました。
しかし、起業している知人の事業内容を聞いたり、勉強させてもらううちに、
と気付かされて、起業を断念することに…
当時の筆者は、転職活動も起業への模索も真剣にやっていたつもりだったのです。
しかし、転職活動がうまくいかなくなると、
起業すればいいかな…
上記のような考えになり、その起業がうまくいかないとわかると、
やっぱり転職にするか…
このような考えに戻ってしまう、どっちつかずの状態になっていました。
結局は次の転職をするまでに、1年もかかってしまうこととなり、貯金もすっからかんになってしまったのです。
私が体験した40代転職のリアルとは
リストラされた後の筆者は、40代で2回転職することになります。
どちらも自分のキャリアを活かせる、同業他社への転職だったのですが、いずれも成功とは言い難いものでした。
一度目の転職はオーナー企業へ
一回目の転職では、家族経営の零細企業に入社しました。
この会社は、知人が仕事で以前にかかわりのあった会社だったので、ある程度の情報を知人から入手していたのです。
正直なところ、あまりいい印象を持っていませんでした。
ただ、知名度のある商品は持っている会社だったので、貯金も底をついていた筆者は、ためらいながらも入社することに…
しかし、この転職は大失敗でした。
応募要項には「幹部候補募集」とあったのですが、とくに役職をもらえるわけではありません。
今いる営業部長が役に立たないから、お前が蹴落としてそのポジションを取れ!
会社側はこのようなスタンスだったのです。
つまり一般社員として入社する内容でしかなく、給料も希望よりもかなり低い額を提示されました。
しかも、入社の契約書にハンコを押す時点で低い給料を提示されたので、もう引っ込みがつかなくなっていたのです。
貯金も底をついていた筆者は、低条件でも入社するしかありませんでした…。
入社後にこの会社の専務が、以下のような発言をしていたのが印象に残っています。
我々のような小さい企業にとっては、不景気も悪いことばかりではない
熟練の経験者を安く雇えるからね (笑)
結局のところ40代であっても、現場の一般職で転職するのであれば、20代や30代と同じ給料しかもらえません。
安く買い叩かれるだけなんだな…
このように痛感しました。
筆者は、外資系の会社勤めでドライな社風に慣れていたので、オーナー企業の家族経営には、まったく馴染むことができませんでした。
ただ在職している社員の多くは、文句を言いながらも馴染んでいたので、これは筆者の力量のなさだと反省しています。
この一度目の転職で学んだことは、会社には社風というものがあって、
馴染めない会社には努力しても馴染めない
ということでした。
二度目は転職エージェントを利用して管理職に
一度目に転職したオーナー会社は、結局は1年足らずで退職して、再び転職することになりました。
次に転職した会社は、社員は数百人規模で、売上が数百億ある企業です。
待遇もマネージャークラスであり、事実上の営業責任者というポジションで、年収は前職より大幅にアップとなりました。
この会社には、転職エージェントを経由して入社しています。
転職エージェントの担当者がとても熱心な方で、案件をいろいろと探してくれたり、転職先の会社への交渉ごとも進めてくれました。
面接や職務経歴書のアドバイスも役立ちましたね。
転職エージェントにもいろいろありますが、
- 自分の転職する業界に強いかどうか?
- 担当者が熱心かどうか?
筆者としては、上記の二つが転職エージェント選びで重要だと実感しました。
「年収が上がる転職」には理由がある
年収アップしてこの会社に入社できた要因は、本業では知名度のある大手でしたが、
という背景があったからです。
筆者は、新規参入する業界で20年以上の経験があり、ルートと人脈も持っていました。
ですから、ノウハウと人脈を期待して採用されたのでしょう。
高く買ってもらえるのには、やはりそれなりの理由があります。
- マネジメント経験がある
- ゼロから事業を立ち上げることができる
- 業界の経験を持っている
こういう条件に当てはまったので、筆者に白羽の矢が立ったのです。
いい条件で転職できた結末は?
この会社へ転職して苦労したのは、「ゼロから事業を立ち上げる」ことよりも、
- 経営陣に業界の知識と理解がない
という点でした。
親会社が異業種だったので、参入するこの業界の常識や商慣習を、経営陣になかなか理解してもらえなかったのです。
結局は事業を軌道に乗せることができず、新規事業からわずか数年で、撤退することになってしまいました…。
50代になると転職はかなり厳しい
筆者は50代前半のとき、いまの仕事に転職しました。
残念ながら年収は大幅ダウンしましたが、会社におかしな人もいないため、人間関係に悩むことはありません。
また、残業もほとんどない会社なので、プライベートの時間をたっぷり取ることができます。
今まではほとんどできなかった、家事もできるようになりました。
しかし、これは共働きだからこそ、成り立っている生活だといえます。
もし妻の稼ぎがなかったら、とてもじゃありませんが、親子が生活していける収入ではありません。
もう少し収入を増やせる仕事は無いのかな…
という思いで、今でも転職サイトには登録しています。
しかし、希望している業種で、高待遇の案件はまずありません。
転職案件のメールなどが来ることはありますが、
まるで退職再雇用の給料じゃないか…
このように思ってしまう求人ばかりです。
年齢層の高いハイクラス転職エージェントなどにも登録してみましたが、
現在ご提案できる案件はありません
と袖にされています。
直近や過去のキャリアが、かなり優れたものでないと厳しいのが現実です。
50代になると、好条件の転職案件はほとんどない
このように思っておいた方がよいでしょう。
40代で会社の倒産やリストラに遭遇したら考えるべきこと
40代になったときに、会社が倒産したり急なリストラにあうことは、今ではそんなに珍しいことではありません。
このご時世では、どんな大手であっても、M&Aや倒産は現実的に起こっています。
今まで、リストラや転職の経験がなかった方には想像がつかないかもしれませんが、
リストラや雇止めは、会社にとっては日常茶飯事のこと
このような時代になっているのです。
倒産やリストラで仕事がなくなったときは、まずは「今」のこと、それから「先」のことについても考えましょう。
今の家計状況を確認する
仕事がなくなると、まず定期収入がなくなります。
給料が当月払いの会社だと、翌月の給料はもう入りませんから、あっという間に通帳の残高が無くなっていきます。
ですので、まず最初に、
今の貯金でいつまで食べられるか? = いつまでに転職すればいいか?
という点を見極めておきましょう。
倒産やリストラの場合は、翌月から失業保険が期待できますが、失業保険だけで生活していけるわけではありません。
基本的には転職活動を最優先すべきですが、アルバイトなどで目先の収入を得られるのなら、心理的にも違ってきます。
無職だと収入がまったくなくて、通帳を見ても出ていくばかりで不安になりますが、何かしらの収入があると気持ち的にも安定感が出てくるものです。
社会的な経済活動をしていることで、無職であることの不安感も和らぐでしょう。
先の生活を見据えて、次の仕事のことを考える
現状の経済状態を確認したら、
〇〇くらいまでに転職したほうがいいな…
ということが見えてくるでしょう。
転職活動は「めぐり合わせ」ですし、「ポストの空き待ち」みたいなところもあります。
でも、目標の期間をある程度は定めておいたほうが、ダラダラ活動しなくて済むはずです。
ただ、「慌てる乞食は貰いが少ない」というように、
焦って変な会社に捕まらないようにする
という点には気をつけましょう。
自分の望んでいない会社や、ブラック企業に捕まってしまうと、また転職する羽目になってしまいます。
長期のキャリアプランのなかで転職先を決める
とりあえず収入を得るために、何でもいいので転職しておいて、
仕事をしながら転職活動をしたらいいか…
このように考える人もいますが、これはあまりおすすめできません。
ある程度の収入があると、その環境に慣れてしまって、次の転職への意欲を失いがちです。
また、新しい会社で物理的にも心理的にも忙しくなるので、思ったように転職活動への時間が取れなくなるでしょう。
また、短期の勤務経験は、転職の面接で必ず退職理由を突っ込まれます。
経済事情が許すのならば、とりあえずで転職するのは、やめておいた方が得策でしょう。
会社の倒産やリストラにあうと、慌ててしまって、
収入がないから、すぐに転職しなければ…
このように思ってしまいがちです。
しかし、40代の転職では、
50代~定年までを見据えて、長期のキャリアプランの中で転職先を決める
ということが重要となります。
- 次の転職でどうしたいのか?
- どんな仕事がしたいのか?
- これから先でどうなりたいのか?
上記について冷静に考えておきましょう。
40代はまだまだ再起できる年齢です
40代という年齢に対して、
40代だしもう若くない…
このように思っているのは、40代以下の人たちだけです。
転職市場においては、確かに若くはありませんが、即戦力としてのニーズもありますし、
このような年代だといえるでしょう。
筆者が40代でリストラされて無職になったとき、60代の先輩にその話をすると、
40代なんてまだまだこれからじゃん。働き盛りだよ!
このように言われて、ハッと目が覚めたことがあります。
たとえば40歳の人だと、23歳から17年間働いたことになりますよね。
もはや70歳で定年という流れですから、あと30年も働くわけで、じつはまだ折り返し地点にもきていません。
筆者は50代になってみて痛感したのですが、40代と50代の転職市場はまったく違います。
40代のころは、厳しいとはいえ転職案件はいくつもありました。
しかし、50代になると、
- ハイクラス転職
- 給料の安い転職
上記のどちらかに二極分化してしまって、案件の数も激減するのです。
40代なら、新しく物事を始めて先へ進む時間は、まだ十分にあります。
50代の筆者からみると、転職案件の豊富な40代はうらやましい限りです。
リストラや会社の倒産による転職活動は不利になる?
会社の倒産やリストラによって退職した場合、はたして転職活動でデメリットになるのでしょうか?
結論からいうと、筆者の場合は問題にはなりませんでした。
リストラや倒産による退職はデメリットにはならない
転職活動をする際に、
- 会社の経営不振による人員削減
- 事業部が閉鎖になって人員整理になった
上記のような、明確な理由があるリストラの場合は、それほどデメリットにはなりません。
リストラすることは会社側の問題であり、本人の意思に関係ない退職だからです。
これは会社が倒産した場合も同じでしょう。
面接で説明する際にも、自己都合の退職理由を説明するよりも、よどみなく明快に答えることができます。
リストラされただけで、
自分から辞めたかったわけではありません
という明確な理由がありますので、退職理由をどう言おうか悩むこともないでしょう。
でも、もしかしたら、
リストラされたということは、役に立たない人材なのでは?
このように勘繰られる可能性はあるかもしれませんが、筆者の場合はそれはありませんでした。
そもそも、事業部ごと全員リストラという場合であれば、個人が役に立つも立たないも関係ありません。
常識のある企業であれば、そのあたりは理解しているでしょう。
短期間で転職を繰り返すとネックになる
面接のときにしつこく聞かれるのは、「転職回数」と「在職期間の短さ」です。
これらに後ろめたさがある方は、
採用しても、すぐに辞めてしまうのではないか?
このように思われてしまう可能性があるので、事前に対策しておく必要があります。
まとめ:40代なら、リストラや倒産にあったその後にもチャンスはある
今回は、40代でリストラを経験した筆者が、会社からリストラされた現実と、その後はどうなったかについてお話ししてきました。
よほどのキャリアを持っていれば別ですが、
40代の転職はラストチャンスである
このように考えておいた方が賢明です。
50代になると、求人案件がほとんどなくなりますので、可能であれば、定年まで勤められる会社を転職先に選びましょう。
かりに会社の倒産やリストラにあったとしても、40代であれば、まだチャンスは転がっているはずです。
絶望している暇はありませんし、絶望する必要もありません。
40代であれば、まだまだ転職先も明るい未来もありますから、希望と自信をもって前に進んでくださいね。