(執筆:なげ)
「リストラ」という言葉は、なんとなく大げさに聞こえて、
このように思っている方も多いかもしれませんね。
しかし最近では、リストラや早期退職は大手企業だけに留まらず、あたり前のように行われています。
そしてリストラのターゲットとなるのは、給料の安い20~30代の若手社員ではなく、コストのかかる40~50代の社員なのです。
今回の記事では、40代でリストラを経験した筆者が、リストラの現実、そしてその後どうなったかについてお話しします。
ひとつの例にすぎませんが、現実的にこのようなことがあるということを、ぜひ参考にしてください。
40代のときに、突然やってきたリストラ
リストラは社内でウワサになる場合もありますが、何の前触れもなく突然やってくるケースがあります。
筆者の場合は、前触れなくある日突然にやってきました。
事業部の売却によって、リストラが断行されることに
筆者は40代前半のころ、とある製造業の営業部門でマネージャーをしていました。
勤めていた会社には3つの事業部があり、筆者は2番手の売上を持つ第2事業部に所属。
ところがある日、
稼ぎ頭である第1事業部を、大手メーカーに売却します
会社がこのような発表したのです。
急なニュースに社内は騒然とします。
何しろいちばんお金を稼いでいた、知名度の高い事業がなくなってしまうのですから…。
当然ながら、社員の誰もがこのように思ったものです。
あわせて発表された、会社のリストラ策は以下のような内容でした。
- 第1事業部を売却
- 第1事業部の社員は、全員売却先企業に異動
- 残りの2事業部で事業継続
この時は残りの2事業部については、リストラはなかったのです。
主力事業部の売却によって、筆者が所属していた第2事業部が、実質で稼ぎ頭の看板部署となります。
事業部員は一丸となって、なんとか会社を存続しようと頑張りました。
しかしこれは束の間の平和だったのです…。
指名解雇でリストラされた…
ある程度の予想はしていましたが、第1事業部の売却後に、第2弾のリストラが始まります。
まず手はじめに、第3事業部の50代古株社員が指名解雇。
そして第2事業部の最年長である筆者も、指名解雇の対象となりました。
まさか名指しでリストラされるとは夢にも思っておらず、筆者も軽いパニック状態に…。
退職にあたっては多少の条件がありましたが、「会社都合」ということで決着しました。
このような思いもありましたが、小さな会社なのでたとえ残れたとしても、居づらくなるのは目に見えています。
結局、そのまま受け入れることにしました…。
退職日まではまだ1ヶ月ちょっとあったのですが、退職勧告が月末の27日だったこともあり、
このように会社から言い渡されたのです。
「引継ぎも要らない」という、会社の確固たる意思を感じました。
リストラされたその後。再就職までの道のり
急なリストラだったことに加えて、事業部の売上は小さいながらも上向きだったこともあり、筆者は転職活動などをまったくしておりませんでした。
会社の在籍期間はまだ1ヶ月ほど残っていますが、すぐにでも転職活動を始めて、次を探さなければなりません…。
失業保険での生活
会社都合の退職だったので、失業保険は1ヶ月ほどでもらえるようになり、これは経済的に助かりました。
たった1ヶ月とはいえ、体感では2ヶ月くらい待ったような印象です…。
筆者は20年近くサラリーマンをやってきましたが、これがはじめてもらう失業保険でした。
思っていたよりはもらえましたが、もちろん給料と同じ額をもらえるはずもなく、貯金を切り崩しながらの生活を続けることになったのです。
転職活動に専念していたので、ほかの収入はまったくありません。
失業保険をもらっているうちは、アルバイト収入などがあるとハローワークへ報告する必要もあるため、積極的に収入を得ようとは考えていませんでした。
個人事業も視野に入れながらの転職活動
転職活動は思ったほどうまくいかず、自身が納得できる転職案件は少なかったです。
転職エージェントにも登録して、面接も何件かはしたのですが、採用には至りませんでした。
このような思いもあったので、失業中でもそれほど深刻さを感じていなかったのです。
またこの頃は、個人事業も意識していたので、
このようなことも漠然と考えていました。
しかし個人事業主として、サラリーマンくらいの年収を稼ぐのは、並大抵のことではないと気付かされます。
起業している知人の事業内容を聞いたり、勉強させてもらううちに、起業することは断念しました。
当時の筆者は、転職活動も起業への模索も、真剣にやっていたつもりだったのです。
しかし転職活動がうまくいかないと、
上記のような考えになり、その起業がうまくいかないとわかると、
このような考えに戻ってしまう、どっちつかずの状態になっていました。
結局は次の転職をするまでに、1年もかかってしまうこととなり、貯金もすっからかんになってしまったのです。
40代転職のリアルとは
リストラされた後の筆者は、40代で2回転職することになります。
どちらも自分のキャリアを活かせる、同業他社への転職だったのですが、いずれも成功とは言い難いものでした。
一度目の転職はオーナー企業へ
一回目の転職では、家族経営の零細企業に入社しました。
この会社は、知人が仕事で以前にかかわりのあった会社だったので、ある程度の情報を知人から入手しています。
正直なところ、あまりいい印象ではありませんでした。
ただ知名度のある商品は持っているので、貯金も底をついていた筆者は、ためらいながらも入社することにしたのです。
しかしこの転職は大失敗でした…
応募要項には「幹部候補募集」とあったのですが、とくに役職をもらえるわけではありません。
会社側はこのようなスタンスだったのです。
つまり一般社員として入社する内容だったので、給料も希望よりもかなり低い額を提示されました。
しかも、入社の契約書にハンコを押す時点で低い給料を提示されたので、もう引っ込みがつかなくなっていたのです。
貯金も底をついていた筆者は、それでも入社するしかありませんでした…。
入社後にこの会社の専務が、以下のような発言をしていたのが印象に残っています。
結局のところ40代であっても、現場の一般職で転職する限りは、20代や30代と同じ給料しかもらえず、買い叩かれるだけなんだと認識しました。
もっともこの会社は、部長級でもかなり安い年収であることを、後で知ることになるのですが…
筆者はこれまで外資系のドライな社風に慣れていたので、オーナーカンパニーの家族経営には、まったく馴染むことができませんでした。
ただ在職している社員の多くは、文句を言いながらも馴染んでいたので、これは筆者の力量のなさだと反省しています。
この一度目の転職で学んだことは、会社には社風というものがあって、「馴染めない会社には努力しても馴染めない」ということですね。
二度目は転職エージェントを利用して管理職に
一度目に転職したオーナー会社は、結局は1年足らずで退職して、再び転職することになりました。
次に転職した会社は、社員は数百人規模で売上が数百億ある企業です。
待遇もマネージャークラスであり、事実上の営業責任者というポジションで、年収は前職より大幅にアップとなりました。
この会社には、転職エージェントを経由して入社しています。
転職エージェントの担当者がとても熱心な方で、案件をいろいろと探してくれたり、転職先の会社への交渉ごとも進めてくれました。
面接や職務経歴書のアドバイスも役立ちましたね。
転職エージェントにもいろいろありますが、
- 自分の転職する業界に強いかどうか?
- 担当者が熱心かどうか?
筆者としては、上記の二つが転職エージェント選びで重要だと実感しました。
「年収が上がる転職」には理由がある
年収アップしてこの会社に入社できた要因は、本業では知名度のある大手であるものの、異業種への新規参入で経験者を募集していたからです。
新規参入する業界で筆者は20年以上の経験があり、ルートと人脈も持っていたため、ノウハウと人脈ごと買われたのでしょう。
高く買ってもらえるのには、やはりそれなりの理由があります。
マネジメント経験だけでなく、ゼロから事業を立ち上げることができる、業界の経験も持つ人材が必要だったため、筆者に白羽の矢が立ったのです。
いい条件で転職できた結末は?
この会社へ転職して苦労したのは、「ゼロから事業を立ち上げる」ことよりも、
経営陣に業界の知識と理解がないこと
この点が難しかったです。
前述したとおり親会社が異業種だったので、参入するこの業界の常識や商慣習を、なかなか理解してもらえませんでした。
結局は事業を軌道に乗せることができず、新規事業からわずか数年で撤退することになってしまったのです…。
リストラされたら転職活動は不利になる?
会社のリストラによって退職した場合、はたして転職の際にデメリットになるのでしょうか?
結論からいうと、筆者の場合は問題にはなりませんでした。
リストラによる退職はデメリットにはならない
- 会社の経営不振による人員削減
- 事業部が閉鎖になって人員整理になった
上記のような場合など、明確な理由があるリストラの場合は、転職の際にそれほどデメリットにはなりません。
リストラすることは会社側の問題であり、本人の意思に関係ない退職だからです。
面接で説明する際にも、自己都合の退職理由を説明するよりも、よどみなく明快に答えることができます。
リストラされただけで、「自分は辞めたかったわけではない」という明確な理由がありますので、退職理由をどう言おうか悩む必要がありません。
もしかしたら、
このように勘繰られるのではないかと思うかもしれませんが、筆者の場合はそれはありませんでした。
そもそも、事業部ごと全員リストラという場合であれば、個人が役に立つも立たないも関係ありません。
常識のある企業であれば、そのあたりは理解しているでしょう。
短期間で転職を繰り返すとネックになる
面接の時にしつこく聞かれるのは、「転職回数」と「在職期間の短さ」です。
これらに後ろめたさがある方は、
このように思われてしまうことは覚悟しておきましょう。
転職エージェントの活用が成功への近道となる
40代の転職には「40代なりの攻略法」があるので、しっかりポイントを押さえて準備しないと、思わぬ苦戦を強いられる可能性があります。
ですので、まずは転職エージェントを利用してみましょう。
転職のプロによるサポートを受けることで、以下のようなメリットを得ることができます。
- 自身の強みを効果的に表現できるように、応募書類作成や面接対策のサポートを実施してくれる
- プロの視点で自身のキャリアや市場価値を見極めて、最適な求人案件を紹介してもらえる
- 転職サイトなどに出回っていない、40代向けの非公開求人を多く保有している
- 応募企業との連絡や日程調整、入社時期や給与の交渉まで、エージェント担当者が間に入って行ってくれる
無駄なく効率的な転職活動をおこなううえで、利用しない手はないサービスです。
転職エージェントは人材が採用されたときに、企業から成功報酬を得るビジネスモデルのため、転職者は無料で利用することができます。
転職エージェントの選び方については、以下の記事で解説していますので、さらに詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
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50代で転職する現実は?
筆者は50代前半で現職に転職しました。
残念ながら年収は大幅ダウンしましたが、会社におかしな人もいないため、人間関係に悩むことはありません。
また、残業もほとんどない会社なので、プライベートの時間をたっぷり取ることができ、今まではほとんどできなかった、家事もできるようになりました。
しかし、これは共働きだからこそ、成り立っている生活なのです。
もし妻の稼ぎがなかったら、とてもじゃありませんが、親子が生活していける収入ではありません。
もう少しいい収入の仕事がないかと、筆者は今でも転職サイトに登録しています。
転職案件のメールなどが来ることはありますが、希望している業種の案件はまずありませんし、給料も退職後の再雇用かと思ってしまうくらいです。
年齢層の高いハイクラス転職サイトなどにも登録してみましたが、
このように袖にされています。
直近や過去のキャリアが、かなり優れたものでないと厳しいのが現実です。
50代になると、好条件の転職案件はほとんどない
このように思っておいた方がよいでしょう。
まとめ:40代なら、リストラされたその後にもチャンスはある
今回は、40代でリストラを経験した筆者が、リストラの現実と、その後はどうなったかについてお話ししてきました。
よほどのキャリアを持っていれば別ですが、
40代の転職はラストチャンス
と考えた方が賢明です。
50代になると、求人案件がほとんどなくなります。
ですから可能であれば、定年まで勤められる会社を転職先に選びましょう。
40代であれば、仮にリストラされたとしても、まだチャンスは転がっているはずです。
当サイトでは、40代の転職だけに特化した転職ノウハウを、
上記のような方々が数多く提供しています。
転職活動のすべてのステップについて、以下の記事でわかりやすくまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
▼40代転職の完全ガイドはこちら▼
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40代の転職を成功させるためには、まず40代の転職を取り巻く状況や現実を知ることが大切です。
そのうえで転職活動の具体的な流れ、各ステップごとの対策や攻略ポイントを学びましょう。
40代転職に特化した当サイトならではのノウハウを徹底解説します!
40代の転職者161人の口コミ評価にもとづいて、おすすめの転職エージェントをご紹介します。
登録時の注意点や120%活用する方法を、転職エージェントに長年勤務してきた筆者が詳しく解説。失敗しないためにぜひ参考にしてください。
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