40代で転職回数が多いと、
このように考えてしまう人も多いでしょう。
転職回数が多いだけでなく、
- キャリアに一貫性がない
- 各企業の勤務期間が短い
- 途中のブランクが長い
といったことも重なる場合は、確かに相当厳しい転職活動になるかもしれません。
しかし、転職回数が多いからといって必ず不利になるわけではなく、むしろ強みになることだってあります。
多くの会社を渡り歩いた「自身の経験」を、弱みにするのか強みと捉えるのかで、今後のキャリアも大きく変わってくるはずです。
今回の記事では、
- 企業の人事担当者
- 現場を担う営業責任者
上記の役割を担う二人の筆者の観点から、企業における転職回数に対する考え方や、転職回数が多い場合の対策をご紹介していきます。
転職回数が多く、転職活動に不安を感じている40代の方は、ぜひ最後までお付き合いください。
転職回数が多いことに対する企業の考え方とは
今の日本は終身雇用制度が崩れて、人々の働き方も多様化し、転職が一般的な世の中になってきました。
そうはいっても、やはり転職回数が多い人に対しては、
上記のような先入観が根底から抜け切らず、どうしてもネガティブに捉えてしまう人事担当者がいるのも事実です。
ここでは、企業の転職全般に対する考え方や、転職回数の目安などについてお話ししていきます。
転職に対する考え方に変化
以前は人事担当者も、転職回数が多いだけで不採用とするケースが多かったのですが、今ではその考え方や対応に変化が生じています。
なぜなら日本でも、欧米と同じように転職が一般的になってきているからです。
リクナビNEXTが実施した2017年の調査によると、50代の約66%が転職を経験しているという結果が出ています。
転職未経験者が徐々に少数派となっていくなか、人事担当者もこの流れを無視することができなくなっているのです。
さらに、今の日本社会は人手不足であり、実際に求人を実施しても、なかなか人材を確保できない企業が増えています。
直近ではコロナ禍の影響で、新規採用を見合わせる企業などが増えておりますが、日本の少子高齢化の流れは変わっていません。
転職回数が多いという理由だけでは、足切りできない差し迫った現状があるのです。
以上の理由から、企業は転職回数が多いというだけでNGとは見ておらず、人事担当者は耳を傾ける姿勢を持っています。
企業は経験豊富な人材を求めている
転職が一般的になり、幅広い年齢層を求人できる今の時代に、40代の人材を求めている企業は、即戦力を求めている場合がほとんどです。
企業側の視点で見れば、さまざまな職場で職務経験を積んでいることで、
職場や仕事に適応する能力がある人材である
と見られる場合もあります。
また、企業は転職者に対して、他社で培ったノウハウを、自社で活かしてくれることを期待していることも多いです。
ノウハウを活かすための経験を蓄積していることは、転職回数が多い方の強みでしょう。
「転職回数が多いこと」を欠点として考えがちですが、ポジティブに考えれば自分の強みにできるはずです。
企業が「経験を前向きに活かせる人材」を求めているのは、紛れもない事実なのですから。
いまの時代はマルチな経験を持つ人が役に立つ
スポーツに目を向けると、メジャーリーグでは大谷翔平選手が投手とバッターをこなし、サッカー選手でも、複数のポジションを任されるのがいまの時代です。
複数の役割をこなせる「マルチプレイヤー」が重宝されるのは、ビジネスシーンでも同じでしょう。
企業によっては、経理担当が広報もこなしたり、営業がマーケティングや企画を兼任しています。
人材不足で採用が困難な時代ですから、ビジネスの早い展開に対応するために、複数の役割を任せられる人材を求める企業が多いのが現実です。
転職回数が多いからといって、これまで経験した仕事を過小評価せずに、自身のできることを客観視すれば、
複数の役割をこなす能力が、すでに備わっている
このように言えるのではないでしょうか。
転職回数は何回くらいを目安にしているのか
転職回数は、はたして何回くらいからが多いといえるのでしょうか?
おそらく人事担当者のなかでも、何回までと明確な基準を持っている人は少ないと思います。
ひとつの例として、転職経験が3回で4社の勤務経験があり、通算勤続年数が20年である人の2つのパターンを考えてみましょう。
- 4社の勤続年数が全て5年前後
- 1社目は20年近く勤務し、残り3社は1年足らずの勤続年数
この2つの例を、人事担当者の目線で分析してみましょう。
上記のように、同じ転職3回でもその内容は大きく異なります。
つまり、転職回数そのものにはあまり意味がない。人事担当者はこのように考えているのです。
前述したリクナビNEXTのアンケートのなかで、採用基準で見た転職回数の質問がありますので、その結果を確認しておきましょう。
◆採用した中で一番多かった転職回数は?
2回まで | 9% |
3回 | 28% |
4回 | 22% |
5回 | 22% |
6回以上 | 19% |
転職回数が多いと不利?年代別の転職回数と採用実態|リクナビNEXT |
履歴書や職務経歴書の見た目だけで考えると、筆者なら転職が4回以上となると、「多いな」という印象を持つかもしれません。
しかし、アンケートの結果から見れば、
採用される人は、転職回数に関係なく採用されている
ということがわかります。
不採用になる本当の原因は「転職回数の多さ」ではない
転職を成功させるためには、自己分析や面接対策はもちろん重要ですが、まずは現状をよく認識する必要があります。
転職がうまくいかないときに陥りがちなのが、
という思い込みをしてしまうことです。
もちろん、企業側が転職回数を重視しており、転職回数が多いことで選考が不利になる場合もあります。
しかし、過去の転職について聞かれただけで、
このように気にしすぎるのはよくありません。
冷静に振り返ってみると、
転職回数の多さだけで採用を見送られているわけではない
という事実に気がつくはずです。
現状を客観的に認識するためにも、なぜ不採用になってしまうのかを分析してみましょう。
「転職回数が多い」ことに卑屈になっていませんか?
「転職回数が多い=ダメ」と勝手に決めつけていませんか?
それは例えるなら、優しくてたくましい好青年が、少しだけ背が低いからといって、
と決めつけているようなものです。
企業が新しい業種へ取り組むことは、「新規事業」と呼ばれて期待されるもの。
個人の新しいチャレンジだって、いつも欠点扱いされるわけではありません。
「転職回数が多い」と卑屈になっていると、過去の転職について面接官に少し聞かれただけで、責められているような気持ちになってしまいます。
しかし、面接官が転職の意図や経緯を詳しく聞いてくるのは、
上記のように、「企業があなたに興味を持っている証拠」ではないでしょうか。
卑屈になることなくフラットな気持ちでのぞめば、たとえうまくいかなかったとしても、敗因をしっかり分析できるはずです。
問題なのは回数ではなく、転職した経緯や意図が伝わっていないこと
面接がうまくいかなかった場合、転職回数が多いことが原因なわけではなく、
転職をした経緯をしっかり説明できていない
ということが問題になっているのかもしれません。
転職した経緯や意図をくみ取れない場合は、企業側はその転職に対して不信感を持ちます。
しかし、転職した経緯について誠実に説明して、
- 転職経験を活かす意思
- 入社への意欲
といったものを丁寧に伝えれば、転職回数は逆に強みにもなり得るものなのです。
企業側も時間を割いて面接しているわけですから、はじめからあなたを批判的な目で見ているわけではありません。
転職回数の多いことやその経緯を伝えることは、自身の人柄や魅力を伝えることと同じです。
きちんと説明できていたのか、しっかり振り返ってみましょう。
あなたが採用に至らなかったのは、
このように気がつく場合もあるはずです。
人事担当者が重視するポイントとは?
転職に対する考え方が変化してきたことにより、人事担当者は「転職回数が多い=不採用」という判断はしなくなっています。
ですので、転職を重ねた理由やこれまでの転職で得たものに対して、しっかり耳を傾けてくれる環境にあるはずです。
ただし、耳を傾けてくれるからといって、キレイごとばかり並べているようでは、
このような印象を面接官に与えてしまいます。
事実を客観的に捉えて、「反省すべき点は反省する」という素直さも大切です。
ここでは、転職回数について人事担当者が重視する2つのポイントをご紹介します。
回数が多いことよりも、その理由や反省点、意欲が知りたい
転職回数が多い理由として、以下のようなものであれば、回数が多くてもとくに問題視はされません。
- 同じ職種でキャリアアップを重ねてきた
- 倒産や人員整理など会社都合
- 家族の看病や介護
もちろん、上記の理由以外で転職回数が多くなった人もいるでしょう。
そういう場合は、理由を話すことをためらうかもしれません。
しかし、企業の採用担当者は、転職回数という過去の部分よりも、以下の点について知りたがっているのです。
- これから長く働いてくれるのか?
- やる気や熱意はあるのか?
今までのことは正直に話をして、これまでの反省を今後に活かす気持ちと、応募企業で働く意欲や熱意をしっかり伝えましょう。
これくらいの割り切った気持ちでのぞめばよいのです。
転職回数を重ねるなかで得たものは何か
転職回数が多いことは、決して悪いことばかりではありません。
転職を通じて多くの人と出会い、多くの経験をして、スキルや知識も身につけてきたはずです。
転職回数が多い場合は、面接ではこういったプラス面をアピールすることに、とにかく神経を集中させるようにしましょう。
たとえ転職回数が多くても、その度にしっかりスキルアップを実現してきたのであれば、逆に評価される場合もあります。
これまでのことよりも、「これから」について熱く語れる面接にできるように、意識して取り組んでみてください。
転職回数の多さを活かそう!採用に近づく3つの対策
転職回数の多さを気にすることに意味はありません。
どのようにすればマイナスではなく、強みにすることができるのか、対策を練っていきましょう。
ここでは、転職回数の多い人が取るべき3つの対策についてお話しします。
応募企業で経験をどう活かせるのか、具体的に整理する
まずはこれまでの転職から得た経験を、応募している企業でどのように活かすことができるのか、具体的に整理していきましょう。
大きなことばかりではなく、小さいものでも思い浮かぶことを拾っていくのがポイント。
拾い出したものから具体的に考えていくと、何かしら貢献できることが出てくるはずです。
たとえば営業職を経験してきたのなら、
といった内容で問題ありません。
小さい貢献から考えはじめて、応募企業の事業や方針とマッチするものが、最終的に見つかれば最高です。
応募企業が進めたい事業の課題が、あなたの経験やノウハウで解決できるとすれば、面接官のあなたを見る目が変わるでしょう。
もちろん大きな貢献でなくても大丈夫。
自身ができることを考えるだけでも、転職回数に対する思いも、ポジティブなものに変わっているはずです。
自身の弱みを把握して、応募企業の信頼を得るための方法を考える
自身の強みを考えるだけではなく、弱みを把握しておくことも大切です。
弱みも丁寧に説明することで、相手の信頼を得ることができます。
「転職回数が多いこと」に対する、企業側の不安点を想像してみましょう。
たとえ目的を持って転職を重ねていたとしても、
といった不安を、面接官は思い浮かべるかもしれません。
こういった不安感を払拭する説明が丁寧にされていれば、不安は一転して信頼に変わるものなのです。
- なぜエントリーしたのか?
- 働き続けられる理由
- 長く働いていく覚悟
上記のようなことを、丁寧に誠実に伝えることを心がけましょう。
転職経験のストーリーを整理する
自身の面接経験を振り返ると、
転職経験にストーリーがある
というほうが、面接官に効果的だったと感じています。
- 転職した意図とそこで得た経験、残した実績
- 退社の意図とエピソード
上記のようなことを交えて伝えると、ひとつなぎのストーリーになって、人間性も伝わりやすくなります。
例えでいうと、以下のような形式です。
もちろん、転職にいつもストーリーがあるわけではなく、職場の人間関係が合わずに転職したという人もいるでしょう。
その場合も退社するきっかけや、退社して得たものや学んだことを、丁寧に伝えれば問題ありません。
面接官だって、職場でイヤな経験をしたことはあるはずです。
何よりも誠実に伝えることを心がけましょう。
まとめ:転職回数が多いことを気にしすぎる必要はない!
今回は、40代で転職回数が多いと不安を持つ方へ向けて、
- 転職回数に対する企業の考え方
- 転職回数が多いことに対する向き合い方
- 転職回数が多くても、採用に近づく3つの対策
といったことについてお話ししてきました。
転職回数が多い方はどうしても、
と弱気になってしまうことがあるかもしれません。
もちろん、転職回数が多いことで選考が不利になるケースもあります。
しかし、企業側も転職することにマイナスイメージを持っていない人が増えており、採用担当自身が「転職回数が多い」ケースだってあるのです。
海外であれば転職回数が多い人ほど、それだけ企業に求められる「有能な人物の証」。
こんな考え方を持つ企業だって少なくありません。
ですので、転職回数が多いことを心配して、慎重に応募するのではなく、
このように割り切って、多くの企業に応募していくことが大切です。
これまでの転職経験でつちかった、知識やキャリアを応募企業でどう活かせるのか、しっかりとアピールすることに集中しましょう。
そうすれば、希望に近い企業に転職できるチャンスが、必ず到来するはずです。
転職回数の多さを活かせる、採用に近づく3つの対策をしっかり練って、新しい道に堂々とチャレンジしてくださいね。
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