転職の企業研究はどこまでやればいい?2つの目的とやり方を解説
応募先企業の志望動機などを考えるときに、
しっかり企業研究しなければ…
でも何をどこまで調べればいいのかな?
このように思って、気が重くなることはありませんか?
確かに、企業研究というとなにか難しくて、果てしない作業のように思ってしまいがちです。
しかし、別に新しい事実や解釈の発見などが必要なわけではありません。
経済アナリストならともかく、いち応募者としての企業研究はもっと単純なタスクです。
転職における企業研究で調べておきたいことは、
- 面接に合格するための情報
- 入社を判断するための情報
この2つだけ。
企業についての情報収集・リサーチのレベルで構わないので、とにかく応募を考えたら早めに企業研究に取り掛かりましょう。
この記事では、企業研究をしようと考えている転職活動中の方に向けて、企業研究で調べることをご紹介しています。
大手転職エージェントのキャリアアドバイザーとして、3000名以上の転職者を支援してきた筆者の知見に基づいていますので、ぜひ参考にしてください。
転職活動における企業研究とは? どこまでやればいい?
転職活動において、企業研究は必ずやるべきタスクです。
企業研究を怠って、入社後にミスマッチを後悔しては意味がありません。
企業の良い面・悪い面を問わず、あらゆる情報を精査しておきましょう。
新卒と転職では、企業研究の方法が異なる
新卒時の就職活動と転職活動では、企業研究の方法が異なります。
新卒であれば、会社説明会などに参加できる機会がありますが、転職であればその機会はほとんどありません。
よほどの大量採用の求人であれば別ですが、中途採用では枠が1名であることも多いので、
というのが一般的です。
また、OG・OB訪問も転職ではあまり聞きませんし、40代であればなおさら難しいでしょう。
転職活動においては、企業側が発信する一次情報を、直接受け取る機会はとても少ないのです。
企業研究には時間がかかります
企業や現職の社員から、ダイレクトに情報を仕入れることが難しいため、
文字になっているリソースを活用する
というのが、転職における企業研究の基本となります。
コーポレートサイトを中心に、他の企業サイト・雑誌・新聞なども併用して、リサーチを行っていきましょう。
企業説明会に参加すれば小一時間で得られる情報ですが、
というのが大変なところでもあります。
当然のことながら、コーポレートサイトは企業によって各社作りが違います。
情報が記載されている場所も個々に異なるため、必要情報を集めるのには、多少の時間は要するでしょう。
転職の企業研究はそれほど難しくない
企業研究には多少の労力と時間を要しますが、それほど難しいことではありません。
転職における企業研究では、経営企画や経営コンサル職のように、集めた情報を使って分析や予測をする必要はないのです。
以下の2ステップを踏んで、転職活動に活かせるかどうかが重要なポイントとなります。
- 目的別に企業情報を収集する
- 収集した情報を、必要に応じて面接で活用する
企業研究の目的は2つ。「面接に合格する」と「入社するか決める」ため
転職活動において、企業研究する目的は以下の2つですが、目的ごとにそれぞれ収集すべき項目が異なります。
- 面接に合格するための企業研究:
沿革、経営者情報、商材の特性、売上高、取引先情報、競合情報、中期経営計画(企業理念含む)、業務内容など - 入社するか判断するための企業研究:
年収や評価制度、産休・育休取得状況、ワークライフバランス(残業や有給)など
これらの目的を知らずにリソースと接しても、大量の情報のなかで収拾がつかなくなって、どれが有用度の高い情報なのか判断できません。
その結果、面接でも活用ができずに、不合格という悪循環を生んでしまいます。
効率的な企業研究のやり方とは
面接準備の段階で、入社するか判断するための企業研究に必要な情報ばかりに、目が行ってしまう人がいます。
その結果、面接に合格をするための企業研究が疎かになってしまうのです。
どちらにも情報に優劣はなく重要な情報ですが、取得の優先順位が異なります。
- 面接に合格するための企業研究:
面接前におこなう必要があるもの - 入社するか判断するための企業研究:
内定後におこなっても間に合うもの
併願先が数社あることを考えると、限られた準備時間のなかでは、「面接に合格するための企業研究」を優先するべきといえるでしょう。
面接に合格するための企業研究とは
ここでは、限られた時間のなかで、面接合格のための企業情報を収集するヒントとコツをご紹介します。
情報収集ポイントは過去問にヒントあり
大学受験や資格試験にチャレンジする際に、過去問を見ずに勉強する人はいないでしょう。
じつは転職活動でも同じです。
ある程度の規模の企業であれば、採用方針や選考基準を定めているため、面接にも傾向やクセが出てきます。
膨大な企業情報をやみくもに集めるよりも、企業に聞かれそうな質問をまず先に把握して、効率よく情報収集していきましょう。
たとえば以下のような質問です。
- 競合がどこか知っていますか?
- 社長や沿革についてはある程度ご存知でしょうか?
- わが社の今日の株価は?
- 当社の店舗を利用したことはありますか?
このような、よく出る質問が何かについて調べることも、企業研究の一環だと思ってください。
過去の質問例については、転職用のクチコミサイトなどに記載がありますので、比較的新しい投稿を参考にしましょう。
面接での質問パターンを理解しておくと、集めた企業情報をどう話すか準備しやすくなりますよ。
押さえておくべき収集項目とは?
過去の質問例を把握したうえで、収集作業をさらに進めていきます。
応募する企業は、誰に(顧客)、何を(商材)、どのように販売している会社なのか?
ということについて、徹底的に調べましょう。
- 顧客について:
法人なのか個人なのか。既存顧客か新規顧客か。法人なら業界はどこか、社名はどこか。個人なら年齢や性別といった属性はどういった人たちなのか。 - 商材について:
価格帯はどのくらいか。提案する頻度は、商材の強みは何か。どのような差別化をしているか。 - 販売方法について:
対面・インターネットなのか、問い合わせしてきた顧客にのみ提案する(反響営業)のか、こちらから新規開拓をするのか、など…
志望動機を考える際に、商材の理解は必須ですし、商材の特性が企業文化や働き方にも影響しているものです。
これらを押さえておくと他項目の理解に役立ちますし、収集する段階で網羅的に他の情報も集まりだします。
企業の質問傾向にもよりますが、最終的には以下の情報を押さえておけば、面接で話す内容に深みが出るはずです。
- 沿革(歴史):
創立して何年目か。創業者はどんな人物か。これまでに危機や転機となる出来事はどんなものだったか。 - 経営者情報:
社歴や、人物評など。 - 企業理念:
会社の目指すべき姿や行動指針も含めて確認する - 売上・収益:
直近3~5年の推移 - 取引先情報:
顧客規模、特性を押さえておく - 競合情報:
業界研究もかねて押さえておく - 中期経営計画:
市場分析、今後の経営方針について一度に把握できる - 仕事内容:
今回応募した職種の詳細内容を把握する。あわせて自分のどんな経験が生かせそうかを言語化する
調べ方のコツとリソース
企業情報を調べる際は、まずはコーポレートサイトを中心に調べましょう。
採用ページがある場合は、そこをチェックすれば、
- 会社の歴史
- 企業としての強み
- 具体的な業務内容など
こういったものがコンパクトにまとめられているはずです。
また、コーポレートサイト内の新卒向け採用ページや新卒サイトは、学生向け内容ということもあって、会社のビジネス内容についてわかりやすく書かれています。
企業研究のためのリソースをまとめると、以下のとおりです。
- 求人票
- 企業のホームページ
企業が絶対に見ておいてほしい資料、情報として公開されている - IR情報
IRを公開している企業の場合は、目を通しておくと安心 - 求人広告:
リクナビNEXTやマイナビ転職、エン転職などの転職用サイト(取材記事が載っている場合がある) - 新卒採用サイト:
リクナビやマイナビなどの新卒学生・既卒学生のための就職情報サイト - 企業の公式SNS
note、Facebook、Twitterなど。最近は現社員のインタビュー記事などを掲載する企業が増えている - 口コミサイト:
転職会議やOpenWorkなどが参考になる - 就職四季報:
宣伝ではない客観情報が手に入る - 業界地図:
企業単独ではなく、業界内での立ち位置や業界動向がわかる - 新聞:
データベースで検索可能 図書館なら無料のケースあり - 業界紙:
図書館で閲覧可能 - ビジネス雑誌:
経済紙など - 転職フェア:
応募企業が出展している場合
テンプレートやノートは必要ない
企業情報を収集するのに、テンプレートやノートは必要ありません。
やり方自体を否定しませんが、効率的とはいえないでしょう。
テンプレートを作ると、欄を埋めることだけに集中しがちになりますし、ノートに手書きするメリットもないからです。
筆者のおすすめは、様々なサイトから得た情報のなかで、
これは使えそうだ!
このように思った情報を、ワードやメモ帳にまとめていく方法です。
情報がある程度まとまった段階で、同じような内容をグルーピングして、企業の特徴を掴んでいきましょう。
この作業をする過程のなかで、
こういう沿革だから○○という社風なんだな…
△△という市場環境だから、こういった人物像を望んでいるのか…
上記のような「つながり」が見えてくるはずです。
入社するか判断するための企業研究とは
転職とは内定することがゴールではなく、
長期的にその企業で継続して勤務ができ、充実した仕事人生を送れるのか?
ということが重要なポイントです。
そのためには、働く環境や企業風土、社風との相性を判断する必要があります。
企業研究をするなかで、この点も見極められるようにしていきましょう。
押さえたい調査項目
社風や企業風土といったものは、求人票から読み取ることは難しいかもしれません。
しかし、実際に入社すると、さまざまな想定外の場面に直面します。
これは働いてみないとわからないのかな…
という項目でも、できるだけ入社前に把握しておけるように、情報を集めて読み取りましょう。
たとえば同族企業の場合であれば、「社風が独特であることが多い」といわれています。
- トップダウンの意思決定
- 毎朝行われる社訓や社歌の唱和
このようなことなど、雰囲気に慣れるまで一定期間を要するのです。
ミスマッチを防ぐ判断をするためにも、以下のような情報を、あらかじめ収集しておくことをおすすめします。
- 社風:
平均年齢、平均勤続年数、男女比といった数値情報のほか、どのような価値観を持った社員が多いかなど - 年収:
業界平均と比較して、どの程度か - 評価制度:
何か月に一度評価される機会があり、なんの指標で評価されるか。昇給、昇格のシステムがあるか - 転勤の有無:
どれくらいのスパンで転勤があるか - ワークライフバランス
- 平均残業時間、繁忙期・閑散期の時期
- 有給取得率、有給消化年平均
- 産休、育休の取得率
- 定着率(離職率)
とくに社風においては、表面的な数値情報のほかに、
どのような価値観を持った社員が多いのか?
ということについて、よく調べておきましょう。
調べ方のコツとタイミング
職場環境に関する情報は、面接対策用の企業情報を集めているなかでも、自然に集まってくるはずです。
もし収集できない項目があった場合は、以下の方法で集めましょう。
- 内定後に人事担当者に確認:
年収や有給取得率などは、面接内で聞くと面接官の心証を害することもあるので、内定後がベター - 転職エージェント:
利用している場合は、担当アドバイザーに問い合わせてみる - 口コミサイト
- 就職四季報
口コミサイトの投稿は、投稿時期と勤務場所を確認しよう
コーポレートサイトや求人票には、基本的に良い情報しか書かれていません。
しかし、口コミサイトであれば、社員や元社員の本音が記載されています。
いまや口コミサイトは、透明性の高い労働市場を作っていくために、ひと役買っている存在といえるでしょう。
口コミサイトでは、質問項目を細かく細分化して回答を収集しています。
- やりがい
- 社風
- 企業文化
- ワークライフバランス
上記のような項目では、勤務経験者の生の声が非常に参考になるでしょう。
ただし、投稿内容には個人の主観が入っているので、そのまま鵜呑みにするのは危険です。
とくに書き込み時期が古いものや、自分が応募している求人とエリアや職種が異なる口コミは、無視したほうが無難でしょう。
転職エージェントを活用して情報を集めよう
企業研究は自分で調べるだけではなく、第三者からの情報を得ることで、より信頼度が高まります。
とくにおすすめなのが、転職エージェントを利用してみることです。
転職エージェントを利用するメリットは?
転職のプロによるサポートを受けることで、以下のような、たくさんのメリットを得ることができます。
- 転職サイトなどに出回っていない、非公開求人を紹介してもらえる
- 履歴書や職務経歴書の添削をしてもらえる
- 面接対策のサポートをしてもらえる
- 業界や企業について、独自の情報を提供してもらえる
- 求人企業について、気兼ねなく質問できる
- 選考に落選した理由を教えてくれるので、次への対策が打てる
- キャリアや市場価値をプロの視点で見定めて、アピールするべき自身の強みを教えてくれる
- 応募企業との連絡や日程など、エージェント担当者が間に入って調整してくれる
- 入社時期や年収条件など、交渉ごとを代行してくれる
転職エージェントは、過去の転職活動者の情報などから、求人企業の公になっていない情報を持っていることが多いです。
企業に対して気になることや疑問に思うことなどは、キャリアアドバイザーにどんどん質問してみましょう。
朝に依頼しておけば、夜までに情報をまとめてメールをしてくれる、頼れるアドバイザーもいます。
残業は多いのでしょうか?
離職率高いって聞いたんですけど、本当ですか?
こういった内容は、さすがに企業との面接では、なかなか直接は聞けませんよね……
でもキャリアアドバイザー相手なら、質問しても選考に影響することはありませんし、貴重な情報を教えてくれるかもしれません。
無駄なく効率的に転職活動を進めるうえで、利用しない手はないサービスですから、企業研究を充実させるという意味でも、積極的に活用してみましょう。
しかも、転職エージェントは人材が採用されたときに、企業から成功報酬を得るビジネスモデルのため、転職者は無料で利用することができます。
40代求職者が支持するおすすめの転職エージェント5選
40代の求職者が支持しているおすすめのエージェントは、以下の5つのサービスです。
- リクルートエージェント
40代の支持率No.1。国内最大規模の求人数と圧倒的な支援実績 - ビズリーチ
ハイクラス転職を目指すなら。企業やヘッドハンターのスカウトが期待できる - dodaエージェント
転職サイトとエージェントが連動して便利。親身で手厚いサポートが得られる - JACリクルートメント
ハイクラス転職や外資系求人に特化。マネジメント層やスペシャリストに最適 - パソナキャリア
管理職や公共案件の求人に強い。女性向けの転職支援が充実している
エージェントとの相性を見極めて厳選するという前提で、最初から複数のサービスに登録しておきましょう。
転職エージェントの選び方については、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ:企業研究をして、会社選びの軸をひろげよう!
今回は、転職者が企業研究をする際に押さえておきたい、効率的な手順とノウハウについて解説しました。
面接の対策を進めるときに、
転職本に書いてある質問は、すべて対策した方がいいのかな…
このように考えている人がいますが、これでは時間がいくらあっても足りません。
まずは応募企業の頻出質問が何かをリサーチして、面接合格に向けての企業研究を進めましょう。
社風や就業環境についての情報収集は、内定をもらった後に、受諾期限までの数日間で間に合います。
最近では、「ブラック企業」「ホワイト企業」という言葉で、企業を判断する風潮があります。
しかし、残業時間や離職率といったモノサシだけで企業を判断するのは、もったいないですし危険です。
ワークライフバランスとは、例えるなら衛生環境のようなもので、入社後のモチベーション維持にはつながりにくいとされています。
繁忙期はとても忙しいけれど、圧倒的なシェアを持つニッチ商材を保有するなど、将来性がある企業はたくさん存在しています。
残業時間や知名度だけで企業を判断することなく、さまざまな角度から企業を評価できる力を、企業研究を通じてつちかっていきましょう。
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