筆者は、ITベンチャー企業に12年間勤めていましたが、市場の変化で会社の経営が傾いてしまい、希望退職に応募しました。
当時は東日本大震災の後で、リーマンショックの影響もまだ色濃く、転職市場は冷え込んでいたのです。
本当に紆余曲折のある転職活動でした。
焦りが強くなり、とんでもないブラック企業に入ってしまったり…
しかし粘り強く転職活動に取り組んだところ、ある時期を境にして、状況が好転していったのです。
そして最後には、ある大企業ブランドのホワイト企業へ転職することができました。
40代の転職活動は厳しいものですが、焦らないでじっくり取り組みましょう。
粘り強く活動を続けて、転職活動のスキルを向上していけば、いつかふさわしい会社へ転職できる日が来るはずです。
この記事では、筆者が41歳でホワイト企業への転職を果たした体験談についてお話しします。
40代男性の転職体験談や成功に導くコツは、40代男性の転職体験談からみる成功のポイントでご紹介していますので、あわせてご確認ください。
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勤務先企業の経営が傾き、希望退職に応募する
筆者が転職活動を始めたのは、技術トレンドの移り変わりの早い、IT業界ならではの理由でした。
前職は急成長したIT系のベンチャー企業でしたが、大きな利益を生み出していたのはひとつの主力商品だけ。
しかしその主力商品が、時代の変化で売れなくなってしまったのです…
そこで会社は退職希望者を募りました。
今ならまだ余力があるので、割増の退職金と転職支援プログラムをつけられますよ
こんな状況では、いずれは筆者も退社を余儀なくされるのは目に見えています。
少しでも条件が良いうちに、転職した方がいいかもしれない…
このように考えて、辞めることを決意したのです。
想像以上に厳しい転職市場。わかっていたけど甘かった…
転職市場が良い状況でないことは理解していました。
しかし退職届を出した時点では、何の根拠もないのに筆者は楽観的だったのです。
数ヶ月もあれば転職できるだろう。できればもっといい会社に転職したいな…
このような甘い考えを抱いていました。
しかし実際に活動を始めてみると、想像よりも大変な現実がすぐに見えてきたのです。
応募したい会社が見つからない
早速、会社が用意してくれた転職支援プログラムを使って、応募できそうな企業を探しました。
ところが求人を見ると、特定派遣の求人ばかりだったのです…。
特定派遣とは、派遣会社の正社員として常用雇用契約を結んだ後、労働力を必要とする派遣先に派遣され、そこで派遣社員として仕事をするという派遣の形です。
これまでエンジニアなど専門性の高い業種で主に採用されていた派遣の形で、派遣期間も無期限という点が一般派遣とは異なっていました。
しかし、平成27年度の派遣法改正で、 特定派遣は廃止され、一般派遣と同様に派遣期間が3年に制限されることに決まりました。
出典:特定派遣と一般派遣の特徴と違い!見分け方のポイントは?
今では法改正によって、特定派遣は廃止されて無くなりましたが、当時はIT技術職の多くの求人が特定派遣での募集でした。
うーん、みんな特定派遣の登録企業だな…
前職では特定派遣のプログラマを受け入れる立場でしたが、自分が特定派遣で入社したいとは思えなかったのです。
そこで、友人の紹介でいくつか転職エージェントにも相談しました。
立派な会社もありましたが、要求される条件が限定されている求人ばかりです。
転職支援プログラムのエージェントに促されて、リクナビNEXT、エン転職などの転職サイトや、ハローワークなどでも求人を探しました。
しかし、それでも応募したい会社は見つかりません。
そこでやむなく、条件を下げて特定派遣の会社も受けてみることにしたのです。
40代の厳しい転職市況に焦りを感じ始める
条件を変えて活動を始めると、時間が経つにつれて、面接まで行けることが増えてきました。
しかし、面接で実際に会社を訪れてみると、
ちょっと、この会社は納得できないかな…
このように感じることが多かったです。
なかには、面接先の企業が入居しているビルの看板をふと見たら、ハローワークでよく見かける会社名がずらりと並んでいたのです。
何なのこのビル?つまり、みんな関連会社だったのか…
そのときは引いてしまって、面接をキャンセルして帰ろうかとすら思いました。
ちゃんと受けてきましたけどね…。
また、期待していたある会社の面接では、こんなことを言われました。
ワハハ、本気でウチに来てくれるんならとってもいいよ
本当ですか、ありがとうございます!
ただし、50代になると派遣先がなくなるから、それまでならね
50代で派遣先から戻ってきたら、リストラってこと…!?
でもきっと会社のホンネなのでしょうね。ほかの会社だって、内心は似たような考えなのかもしれません。
ここまであっけらかんと言われると、呆れて絶句するしかないですが…
でも確かに、プログラマとしてバリバリ働けるのは、40代までなのかもしれません。
そんなことを考え始めると、
本当は働いてキャリアを積みたいし、本音をいえば転職活動にかける時間も惜しい
働き盛りのはずの今、働かなくてどうするのか?
だんだんこのような焦りが募るようになってきました。
焦ってブラック企業に入社、2ヶ月でまた転職活動に
焦っているときに、ちょうど内定を頂くことができたのです。久々に仕事ができることを楽しみにしていました。
しかし、そこで待っていた現実とは…
焦っているときにもらった内定に飛びつく
内定をもらった会社は規模の小さい会社でしたが、技術レベルは高そうだったので期待していました。
転職市況も悪いですし、
2~3年はこの会社で働いて、キャリアを積んでから次を探すのも手かな
こんなふうに都合の良いことを考えていたのです。
出社1週間で判明!本物のブラック企業だった…
しかし勤め始めて1週間で、この会社はワンマン社長が率いる、正真正銘のブラック企業だとわかりました。
フロア中に響き渡る社長の怒声、異様に静かな職場…
その凍てついた社風に耐えられず、昼休みは近くのカフェでグッタリです。
しかも深夜まで働きます。途中に夕飯を食べに行くのは筆者だけ。
若手社員もいますが、会話は無くパソコンに向かってひたすらキーボードを打つばかり。
夜になると、キーボードを打つ手すら止まっているありさま…
さらにこの会社は、
コンプライアンス的にも問題がある
ということがわかってきたのです。
ある日、問題のある仕事が筆者に割り当てられて、思い切って一度お断りしたのですが、納得してくれません。
この仕事は…す、すみませんが、私にはできません
簡単じゃないか、この機能を使えばすぐできるじゃん。君にお願いしたんだから、ちゃんとやってね
退職はたった5分で決定
その夜、友人に相談しました。そして、もうこの会社にいるのは難しいと覚悟を決めたのです。
翌朝に社長と面談し、辞めたい旨を伝えると急に顔色が変わりました。
いますぐに出て行け!
仕方がないのでそのまま帰宅です。引継ぎもいっさい無しでした…。
しかし、事務の担当者は慣れているのか、退社の手続きは郵送でつつがなく進み、とくにトラブルはなかったです。
いま思い返してみると、
世の中には本当にこんな会社があるんだな…
このように思える、人生の勉強になった貴重な経験でした。
転職活動中の皆さまは、本物のブラック企業には入らないようにご注意くださいね。
2度目の転職活動は、焦らないでじっくり取り組む
筆者はブラック企業をすぐに辞めて、また転職市場に舞い戻ってしまいました。
もちろんたった2ヶ月程度で、厳しい転職市場の状況が変わるわけはありません。
焦って研究不足だったことが反省点
最初の転職活動では、入社する前に研究不足だったことが反省点です。
焦りがとても強かったので、事前に企業を調査するステップが甘くなっていました。
転職支援プログラムのエージェントもいたわけですから、しっかり情報を集めていれば、ブラック企業だと事前に気づくことが出来たはずです。
ただ、いちど失敗してしまったので、前職の転職支援プログラムはもう使えません。
こうなったら開き直って、今度は腰を据えて、時間をかけて気長に転職活動すると心に決めました。
気分転換で思い出の一人旅に
今回は時間がかかるだろうと考えて、気分転換で一人旅に行くようになりました。
携帯電話がありますから、転職活動をしながらでも国内旅行くらいならできます。
面接の連絡が入ったら、東京に戻れば良いのですから…
紅葉のピークの京都に行ったときは本当に感動しました。
朝、TVで「今日、京都は紅葉のピークです」と放送されたのを見て、すぐ新幹線に飛び乗って京都へ行ったのです。
うーん、やっぱり京都の紅葉はすごい。一生に一度でも見ることができて良かった!
転職活動中の良い思い出として、今でも記憶に残っています。
ついに状況が好転、ホワイト企業への転職に成功!
転職活動を再開して3ヶ月あまり経って、ついに転機が訪れました!
これまでの地道な努力がやっと実ってきたのです。
書類選考や面接で落とされなくなった
最初の頃は書類選考落ちしていたレベルの会社でも、面接まではいけるようになり、面接もそう簡単には落ちなくなってきました。
条件を下げてでも、たくさんの会社を受けてきたことが、成果となって表れたのだと思います。
職務経歴書や自己PRは、何度も書き直して質が向上していました。
面接も場数を踏んだことで、緊張することなく、きちんと話ができるようになっていたのです。
面接では、まず基本的な質問にきちんと受け答えすること、ロジカルで筋が通った会話ができることが最低条件となります。
そのあとで経験や実績を説明していけば、話す内容の信頼度も増しますよね。
また職務経歴も、応募先の会社に役立ちそうな経歴に重点をおいて説明するなど、相手の反応を見ながら柔軟に対応できるようになっていました。
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複数の企業から内定を頂けるように
2度目の転職活動を開始してから4ヶ月くらい経過すると、内定をいただく確率も目に見えて高くなっていました。
複数の内定を頂いて、心に余裕もでき、かなり自信が持てるようになったのです。
でも簡単には妥協しないで、さらに納得できる良い会社を探し続けることにしました。
大手企業ブランドのホワイト企業に転職を果たす
そのまま転職活動を続けていると、大手企業ブランドのIT企業の書類選考に通りました。
今回の転職活動で、このレベルの会社の書類選考を通過したのは初めてで、いろいろ調べてみましたが、この会社は本当にホワイト企業のようです。
書類のやり取りもきちんとした仕事ぶりで、面接できいたところでは、開発の品質には自信を持っているようでした。
前職のIT系ベンチャーは品質が弱点でしたので、大企業の子会社で品質も高いことに、非常に魅力を感じたのです。
現場では一体どんな手法で開発しているのだろう?
このように技術的な興味も膨らんで、筆者はぜひこの会社に入社したいと思うようになりました。
この会社の選考には随分時間がかかってしまいましたが、1ヶ月後に晴れて内定を頂けることに!
筆者の経歴の中で、こんなにしっかりした会社に勤めたことはなく、期待を上回るホワイト企業に転職することができたのです。
まとめ:40代の転職活動は厳しいが、焦らずじっくり取り組もう
転職活動を始めたばかりのころは、なかなか成果が出なかったので、どうしても「焦り」が出てしました。
その焦りに負けて妥協した結果、ブラック企業に入社することとなり、逆に遠回りをしてしまったのです。
でも2度目の転職活動では、失敗を糧に開き直って、粘り強く転職活動することができました。
会社側から見て、ふさわしい人材かどうかを判断してもらう材料を提供するには、ある程度の書類作成レベルや面接のスキルが必要となります。
筆者の場合は、そのスキルが身につくまでに半年以上かかりました。
しかしそんな筆者でも、最終的には期待以上の企業へ転職を果たすことができたのです。
もしあなたが転職活動で思い悩んでいるのなら、なかなか結果が出なくても焦らないでください。
粘り強く活動して、転職活動のスキルを向上していけば、きっと自分にふさわしい会社へ転職できる日が来るはずです。
今回の筆者の転職活動では、転職市況が悪かったから時期だったからこそ、さまざまな会社を見て回ることができました。
今から振り返ると、これは貴重な人生の勉強だったと思っています。
ぜひ筆者の体験談を反面教師にして頂いて、もっとスマートな転職活動を展開してくださいね。
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