自営業の跡継ぎだけど家業を辞めたい!転職体験で学んだコツと思うこと
ビジネスモデルのサイクルが短くなるなかで、家業が業績不振で廃業したり、倒産する案件も増えています。
家業を続けることができず、再就職をせざるを得なくなった…
家業を継ぐことができなくなった…
このような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
意図せずに再就職を余儀なくされてしまった、元経営者や後継者にとって、転職活動は未知の世界です。
家業への未練やしこりもあるでしょう。
気持ちを切り替えて、前向きに転職活動を行うには、転職エージェントのようなよき相談相手が必要です。
筆者は家業の後継者として働いてきたのですが、40代のときに家業を継ぐことを断念して、転職活動を始めました。
約4ヶ月の間で40社ほどに応募して、分譲マンションのフロント業務の仕事に転職しています。
この記事では、筆者の転職活動の実体験にもとづいて、
上記などについてお話ししています。
筆者がなぜ転職を考えて、どうやって未経験の仕事に転職できたのか、わかりやすく具体的にご紹介していますので、ぜひあなたの転職活動の参考にしてください。
後継者が家業を諦めて、転職活動をはじめるとどうなる?
まず最初に、筆者が転職しようと考えた理由と、家業に対する葛藤、家族の反応はどうだったのかについてお話しします。
事業に行き詰まり、親の経営方針にもついて行けない…
筆者の家業は、父が30年前に創業したものです。
開業した当時はバブル景気でしたが、現在では典型的な斜陽産業になってしまいました。
現在のビジネスモデルで、なんとか延命を図ろうとする父でしたが、
これでは将来のビジョンを描けない…
このように思っている筆者との間で、絶えず葛藤があったのです。
社長である父は、ワンマン経営者でした。
もちろん後継者として、会社の方針(社長の意図)にできるだけ従ってきましたが、場当たり的な方針の連続だったのです。
このままでは将来に希望が持てないですし、扶養するべき子供もいることから、
家業から離れて、新たな道を模索しよう…
筆者はこのように決意しました。
退社を決意も、影響を考えつつ仕事の引継ぎに取り組む
筆者が家業の退社を決めたことを、社員や取引業者に伝えました。
後継者がいなくなる会社は、長く営業することはできず、将来は他社に吸収合併されるか、解散となってしまうでしょう。
クライアントの中には社長と懇意の方もいますし、筆者が退職することについて、
考えなおしたほうがいいと思うよ
このようなお話もたくさん頂きました。
後継者がいないと、その会社は「将来性が低い」とみなされます。
筆者が退職した後も、家業の会社が、関連業者と取引できるのかも気がかりでした。
家業に支障が出ないように、引継業務を慎重かつ十分におこなって、ほかの従業員や取引業者へのフォローに神経を集中しました。
その結果、就業期間中は転職準備がほとんどできなかったのです。
家族の反応は?
転職活動中は、とくに配偶者に負担をかけます。
コミュニケーションの大切さと、第三者的なアドバイスが支えになりました。
転職することについて
前職が家業である以上、退職するとなると「父との断絶」となるので、妻は筆者と父との間で板挟みになってしまいます。
しかし、それを承知のうえで、妻は転職することについて了承してくれました。
妻はフルタイム勤務で働いているので、転職活動中の家事や子供の送り迎えは、筆者の仕事となります。
それ以外の部分では、なるべく勤務時と変わらないようにしました。
金銭面について
もともと家計は妻が管理していましたから、筆者個人に関しては金銭面の変化はありませんでした。
貯金を取り崩すなどの話は聞いていませんが、子供がまだ小さかったので気にかけていたと思います。
転職時の出費で痛いのは、社会保険や年金などですね……
筆者は妻の社会保険の扶養者になりました。
配偶者の社会保険は、金銭面だけでなく子供の扶養などを考えても、安心感につながります。
ただ、住民税は普通徴収となりましたので、まとまった納付が負担となりました。
妻の扶養に入る手続きについては、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
妻の実家への配慮が必要
転職する際は自分の親以上に、配偶者の両親への配慮が必要だと感じました。
転職活動で妻の協力が得られたのも、妻の両親に理解を得られたことが大きいです。
子供が食べ盛りになってくることもあり、
あなたも料理を作れるようになるといいわね
このような話もされましたので、転職活動中に料理を勉強して、晩御飯を作れるように訓練しました。
家事の分担を見直したことも、妻が転職活動に協力してくれる要因になったのかもしれません。
40代の自営業者が転職活動をしてみた感想は?
引き継ぎに関することもあり、転職に関する準備不足は否めませんでした。
実際に転職活動をはじめても、40代の転職に関する認識不足から、焦燥感を募らせるばかりだったのです……
転職活動に対する「過信」からスタート
筆者が以前に転職活動をしたのは、30歳くらいの時だったのですが、40代の転職もこの経験の延長で捉えていました。
業界の関連資格として、
- 二級建築士
- マンション管理士
- ファイナンシャルプランナー
上記のような資格を持っていたので、すぐに就職できると過信していたのです。
ハローワークに訪れた際も、
相当難しい資格をたくさん持っておられるので、年齢条項があっても、面接には応じてもらえるでしょう
担当者のこのような言葉を鵜呑みにして、就職活動自体を楽観視していました。
そして、興味はあるけど実務経験がない、「ファイナンシャルプランナー」関係の仕事ばかりに応募してしまったのです。
40代で初めて知った「転職エージェント」の存在
応募するようになって、最初の数社はともかくも、それ以降も書類選考にまったく通りません……
この段階で、過信が疑問に変わってきて、ネットでさまざまな情報を集めるようになり、ようやく「40代転職の厳しさ」を知ったのです。
ここまでの転職活動では、転職サイトに一社登録したのみで、転職エージェントについては、存在すらよく知りませんでした。
妻や身内も、転職に協力してくれてはいるものの、近々に転職を経験した者はいません。
本当に何も知らない状態で、40代の転職を進めようとしていたのです……
いろいろな転職サイトを見てみると、転職エージェントの存在が目につきました。
しかし、最初のころはよくわかっておらず、
転職サイトには登録したはずなのに、なぜパスワードをまた登録しないといけないんだろう…
もしかして詐欺ではないか?
このようにすら思っていたくらいです。
しかし、電話面談でアドバイスをもらって認識が一変して、
やはり転職エージェントを活用した方がよさそうだ!
このように即断しました。
書類選考に通らない…
ハローワークで紹介してもらえる企業は、面接まではつながりやすいのですが、転職サイトや転職エージェントの求人は、なかなか面接まで行けませんでした……
ハローワークは近隣の中小企業がメインでしたが、転職サイトなどは大手企業がメインだったのが理由かもしれません。
書類選考の不合格が続くと、不安になって自尊心が壊れていきます。
転職エージェントの担当者が、
ここは自信をもっておすすめできる案件ですよ!
と言ってくれる応募先に落選すると、焦燥感が強くなっていくのです。
しかし、ここはなんとか『質と量』で乗り切っていきました。
『質』とは、履歴書と職務経歴書を改善して、どんどん良いものに仕上げていくことです。
慣れてきてからは職種毎にひな形を作って、応募ごとに自分のプロフィールを替えるようにしました。
『量』とは、少しでも興味を持った企業には、とりあえず応募してみることです。
忘れたころに落選通知がくることもありましたが、めげずに応募しました。
書類選考を通過するために押さえるべきポイントは、応募書類(履歴書・職務経歴書)の書き方でご紹介していますので、あわせてご確認ください。
面接の準備が必要
面接は誰だって緊張しますから、前もって準備をして練習することをおすすめします。
家族や友人などに面接官になってもらって、シミュレーションをするのもいい方法です。
転職活動を始めた当初は、面接の前日になると、ネットサーフィンで面接に関する情報を見て、焦りを募らせてばかりでした……
面接当日は完全に舞い上がってしまって、
失言をしないように気をつけなければ…
このように「守り」に入るばかりで、お決まりの返答しかできなかったのです。
そこで筆者は、転職エージェントの人と話すときにも、面接を意識して話をするようにしていました。
普段から面接を意識しておくことで、本番も「実戦練習」くらいの気持ちでのぞめるようになり、受け答えがスムーズになったのです。
面接時の心構えと転職理由
とくに40代であれば、企業は転職者に対して『即戦力』であることを求めています。
即戦力となるいい人材がいれば、確実に採用したい…
募集企業はこのように考えているはずです。
ですから筆者は、
企業は人が欲しいから時間とお金を使ってるわけで、採用することを前提としているはずだ!
とポジティブに考えて、綺麗で器用な返答をするよりも、『熱意』が大事だと考えていました。
ただし、いくら『熱意』を示せたとしても、転職理由があいまいだとすべてがぶれてしまいます。
とくに自身が後継者である場合は、「家族に呼び戻されるのでないか」との疑念が生じますので、
この転職は「腰掛」ではないだろうか…
という心配から、本当に長期に勤務ができるのか質問されることが多いです。
筆者の場合は、
このように断言していました。
面接試験で注意すべきポイントは、40代が転職面接で必ず聞かれる5つの質問でご紹介していますので、あわせてご確認ください。
転職エージェントを利用してみて感じたこと
ここでは、筆者がはじめて転職エージェントを使ってみて、実際に経験したことや感じたことをご紹介します。
転職エージェントに相談して得られたものとは?
筆者が転職エージェントを利用してみて、「転職活動の方向性」について学べたことが、まず何よりも大きな収穫でした。
筆者が、複数の転職エージェントと面談をするなかで、得た情報は以下のとおりです。
- 筆者のキャリアと希望年収は、相場と離れておらず妥当である
- 今までの経験したことで、プロフェッショナルとして通用する
- ファイナンシャルプランナーは募集が少なく、未経験で転職は難しい
このようなことから、FP以外の業種へも応募していくことを勧められました。
また、求人情報への申し込み方法についても、
40代転職者の強力なライバルは、30代の転職者である
このようなアドバイスをもらい、企業から募集がかかった際は、迅速に応募をするように指摘を受けたのです。
先に30代の選考対象者がいる状態では、40代の人が面接を申しこんだとしても、面接に至る可能性は低くなってしまいます。
ポイントを押さえて、今までのキャリアが活きる職種に応募していけば、十分に通用しますよ!
このように言ってもらえて、少し安堵しました。
書類選考に落選した理由を知り、対応策を学べる
普通に求人の応募しても、書類選考で落選した場合は簡単な連絡しかありません。
しかし転職エージェントであれば、落選した理由を詳細に知らせてくれるので、次への参考にすることができます。
筆者は最終的に、分譲マンションのフロント業務の仕事で採用されました。
フロント業務の経験はなかったのですが、
- 賃貸マンションの管理の経験
- マンションの管理士の資格
- リフォーム工事時の折衝経験
上記のような経験・スキルがあるので、それらを十分に活かせる仕事だと思って応募していたのです。
しかし、ある転職エージェントが落選時に教えてくれたのは、
未経験者で40代の採用は難しいと判断されたようです
このような内容だったので、
えっ?まさか未経験者として選考されていたなんて…
筆者としては、驚きの「新たな発見」でした。
そこで、その後の職務経歴書では、
未経験の部分は、今までの経験で埋められます!
というアピールをするように改善したのです。
人とのコミュニケーション能力があることや、とくに修繕工事のノウハウがある点を強調したことで、採用される結果につながりました。
担当者とのコミュニケーションのなかで、このような選考の対策を見出せることが、転職エージェントを利用するメリットといえるでしょう。
転職エージェントを利用するときの注意点
ここでは、実際に転職エージェントを利用して学んだ、留意しておくべきことをまとめておきます。
転職サイトと転職エージェントで連動していないことがある
筆者の場合は、転職サイトの利用をはじめて、そこから転職エージェントに登録しました。
ただし、転職サイトと転職エージェントのシステムは、すべてが連動しているわけではありません。
たとえば、同じリクルートであっても、転職サイトでは応募できる企業が、転職エージェントでは応募できない場合があるのです。
もちろんその逆の場合もありますし、すでに登録済みの履歴書情報が、システム連動していない会社もあります。
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大手企業の求人が多い
よく耳にする転職エージェントは大手企業なので、求人を募集する企業も大手のことが多いです。
中小企業を応募対象として考えるのであれば、ハローワークの方に強みがあるかもしれません。
ハローワークなどの公共支援サービスについては、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
ビジネスパーソンとして付き合うこと
転職エージェントも、当然ながらビジネスパーソンですので、
- メールのリアクションが遅れる
- Web履歴書などの登録がいい加減な状態
このような対応をしていると、連絡がもらえなくなってしまいます。
ビジネス上の付き合いであることを留意しておきましょう。
40代は複数の転職エージェントに登録しておくべき
40代向けの求人となると、大手の転職エージェントでも、1社だけでは紹介してもらえる求人の数が減ってしまいます。
ですので、複数の転職エージェントに登録して、紹介求人に漏れがないようにしていくべきです。
転職エージェントによっては、
- 対応時間が異なる
- 担当アドバイザーの性格や資質が違う
上記のような差がありますので、エージェントとの相性を見極めて厳選するという前提で、最初から3~4社ほどに登録しておくことをおすすめします。
筆者もいくつかの転職エージェントを使ったのですが、会社ごとにシステムが違っており、担当者の質も異なっていますので、使い勝手を考えながら絞っていきました。
なかには、条件の良い求人紹介をきっかけに、登録を持ちかける中小の転職エージェントもあります。
継続的な相談は、信頼している数社の転職エージェントを利用し、その他は条件の良い求人の紹介先として、割り切ることも検討すべきでしょう。
転職エージェントの選び方については、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
家業を離れてみて、いま思うこと
自営業の跡継ぎだった筆者は、家業を継ぐことを諦めて、分譲マンションのフロント業務の仕事に転職しました。
後継者のいない会社は、その後の営業や融資面において、不利になることは間違いありません。
筆者なりに、引継ぎには最大限の努力をしましたが、後味の悪さを感じていることは事実です。
実家の家業を投げ出したくらいなのだから、
会社員としても通用しないのではないか…
という恐怖感もあります。
ただ、以前は後継者として、
自分の能力以上の業務をこなさなければならない…
このような強迫観念にかられていたのですが、今は与えられた自分の業務に集中して、仕事に取り組めるようになりました。
休みも増えて精神的に余裕ができたことで、家族とゆっくり話す時間も増えた気がします。
筆者は40代になり、一族のしがらみで身動きが取れなくなって、無理を重ねて体も心も壊してしまいました。
でも、家業という「枠」を外してみると、また違う人生があったのだと感じています。
まとめ:家業に囚れて悩みすぎる必要はない。40代でも転職できる
今回は、後継者として家業を継ぐことを断念した筆者が、40代の転職活動で学んだことについてお話ししました。
ひと言で『転職』といっても、世代ごとに対策は違うものです。
若いうちは勢いだけで転職することができますが、40代の転職では「即戦力」が求められます。
筆者のように、自営業者で転職市場をよく知らない状態であれば、客観的な判断が必要となります。
自分のキャリアと適職について、転職エージェントのような第三者を交えて、方向性を出していきましょう。
『人生100年時代』のなかで、40代はまだ道半ばです。
自分を取り巻くいまの枠組みに囚われ過ぎることなく、新しい一歩を踏み出してみませんか?
今まで気づかなかった自身の強みを、新しい仕事で発見することができるかもしれませんよ。
セカンドゴングは40代の転職を応援しています!
当サイト(セカンドゴング)では、40代の転職に特化した転職ノウハウについて、
- 実際に40代で転職を経験した人
- 企業の採用担当・キャリアコンサルタントなど、転職活動に知見を有する人
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