希望をもって転職活動にのぞんだとしても、やはり転職にはリスクはつきものです。
そして年齢が上がれば上がるほど、そのリスクは増大します。
とくに40代の転職であれば、キャリアアップできるかできないかが、ターニングポイントになるでしょう。
ハイクラス転職ができるキャリアをお持ちの方なら、40代であってもあまり心配をする必要はありません。
しかし、残念ながらそうでないという場合は、転職にはどんなリスクがあるのかを、事前に知っておくべきでしょう。
転職のリスクは大別すると3つしかありません。仕事とお金と人間関係です。
もちろん細かく見ると、この3つに関連したさまざまなリスクがあります。
今回の記事では、転職で起こりうるリスクについて、分類して詳しくご紹介していきます。
- これから転職するので、あらかじめリスクに備えたい
- 転職したけど、思わぬリスクに遭遇してしまった…
このような方に参考となる話ですので、ぜひ最後までご覧ください。
今よりもいい会社に転職ができないリスク
転職しようとしてはじめに直面するのは、
やはりこのような不安でしょう。
実際にいい転職先が見つかるかわからない(40代はとくに)
今よりも悪い環境の会社に転職しても意味がありません。
しかし「今よりもいい職場や条件があるかどうか?」は、実際のところ探してみなければわからないのです。
基本的に、いい話は向こうからはやってこないので、自ら動いて探すしかないでしょう。
在職中の転職活動でリスクを軽減できる
転職先が未定なことのリスクは、在職中に転職活動を始めることで軽減できます。
退職してからの転職活動には、
- 収入がないことで焦ってしまう
- 長引くと職歴にブランクができてしまい、転職に不利になる
- 企業側にマイナスの印象を与えたり、足元を見られる可能性がある
上記のようなデメリットがあるので、基本的にはあまりオススメできません。
転職市場における自身の市場価値を見極めよう
謙虚な考え方をする人なら、
こんなふうに思いこんでいるのかもしれません。
しかしとても優秀な人材が、劣悪な環境の会社でガマンしているというケースも、実際にはあるのです。
反対に、外から見ればいい会社に勤めているのに、文句ばかり言っているような人もいます。
このようなミスマッチを避けるためには、
- どのような転職案件があるのか?
- どの程度のスキルを要求されるのか?
上記のような、転職市場における自身の価値を知っておくことが重要です。
現状の不満が解決できるのか
転職で失敗しないためには、
今の会社での不満を、転職して解決できるかどうか?
ということもポイントとなるでしょう。
転職先に求める優先順位を明確にしよう
年収なのか仕事内容なのか、不満に思う部分は人それぞれですが、解決したい不満に優先順位をつけて、それらの不満を解消できる転職を目指すことが大切です。
転職しても不満が解消できないようであれば、転職する意味がありません。
という思いもあるかもしれませんが、「条件が合わなければ蹴る」くらいの覚悟を持っていないと、後悔の残る転職になる可能性があります。
また、自分で確固たる方向が見えていないと、面接時の受け答えもうまくいかないでしょう。
転職先の人間関係は事前にわからない
転職先の条件を考えるうえで、ひとつ注意が必要なのは、人間関係だけは事前に把握できないことです。
社内の雰囲気を面接などで知るチャンスはありますが、職場の人間関係がどうなのかは、実際に仕事をやってみないとわからないでしょう。
最近では、紹介予定派遣として新しい会社で働いてみて、職場の雰囲気や人間関係を確かめてから正社員になるという方法もあります。
職場環境や人間関係を重視するのであれば、ひとつの選択肢として検討してみましょう。
希望や理想が実現しないリスク
このような希望に満ちて転職したのに、なかなかうまくいかないこともあります。
その理由を挙げると以下の通りです。
企業独自の社風が合わない
会社にはそれぞれ社風というものがあります。
それはたとえ社長が替わったとしても、変わらずに残る場合もあるのです。
たとえば外資系企業には外資系の社風があり、オーナー企業には、家族経営のぬるさやワンマン社長による独断などがあります。
また、ベンチャー企業であれば、
多少のリスクを覚悟の上で、市場シェアを取ることを優先する
といったドライブ感を味わえるでしょう。
社風というのは、どれが良くてどれが悪いとかいうものではありません。
しかし、今までとまったく違う社風の会社に行くと、馴染むまでに苦労するものです。
とくに40代で初めて転職するという方なら、今まで働いていた会社の社風がしみ込んでいるので、ギャップに苦しむかもしれません。
外資系企業 / 国内企業 / ベンチャー企業 / 大手企業 / 零細企業 / オーナー企業 など…
それぞれで社風が違いますから、リスクを回避するためには、今までと性格の違いすぎる企業への転職は、なるべくなら避けたほうがよいです。
どちらかというと、中小企業から大手企業に転職する方がリスクは少ないでしょう。
大手企業の方が、オリエンテーションや会社組織そのものがしっかりしているからです。
逆に大手から中小企業に転職すると、売上や組織の規模、経費や人数など足りないことが多く、期待外れと感じてしまうかもしれません。
自分のスキルや経験が通用しない
これまでに培ったスキルがあったとしても、会社の方針や仕事のやり方が違っていると、
自分のスキルが通用しない
という場合もあります。
たとえば、過去のやり方を重視するあまり、新しい手法を取り入れない体質の会社だった場合。
これまでのやり方を否定されて、自分が持っている実力を発揮できないこともあるでしょう。
日本で運転免許を持っていたとしても、アメリカではすぐにスイスイ走れないようなものです。
また古い体質の業界だと、競合同士が仲良く横でつながっていて、新規参入する会社で働きだしても、思ったように動けないというケースもあります。
そういったことが続くと、会社の期待値と自分の実力のギャップに悩んでしまうかもしれません。
中途採用者は即戦力になることを期待されているもの。
すぐに結果を出したいところですが、まずはひとつひとつクリアしていくことで、実力を見せていきましょう。
入社時にわからなかった労働条件に納得がいかない
実際に入社してみたら、労働条件が思っていたものと違うというケースもあります。
- ノー残業デイという名目でサービス残業の日がある
- 早朝出勤があるのに手当がつかない
- 「任意」による休日出勤をせざるを得ない
筆者もこういったケースに遭遇してきました。
他にも、出張手当がびっくりするほど低いとか、加給が多くて基本給が低いため、ボーナスの額が思った以上に少ないといったこともあります。
収入(お金)に関するリスク
転職するうえで、いちばん大きなリスクとなるのは、やはり収入に関することです。
基本的には年収アップをしたくて転職するわけですが、なかなか思うようにいかないこともあります。
年収ダウンの可能性もある
上記のような悩みを持っている方は別として、もっとも避けたいのは、転職したのに年収ダウンしてしまうことでしょう。
これは入社を決める前に、きちんと確認しておく必要があります。
求人募集の条件で「給与:30万~40万円」となっていたら、まず間違いなく30万円です。
高いほうの金額ということはまずありえません。
いったん勤めてしまうと、給料が年々上がっていくことは考えにくいので、最初の段階から希望条件に相違があるのは避けるべきです。
継続勤務で年収を50万円上げるのは、普通の昇給であればかなりの時間がかかります。
年収アップの転職を希望している場合は、最初の条件から妥協すべきではありません。
年収など条件に関することは、面接時には聞きにくいことでもありますが、入社を決める前までに必ず確認するようにしましょう。
筆者の場合は、社長面談をクリアした後で、入社の契約書に判を押す段になってから、
希望年収より100万円ダウン
という条件を提示されたことがあります。
筆者はその時に前職を辞めていたので、面接で足元を見られたわけです。
結局そういう会社とはうまくいきませんでした。
残業代が出ない
年収などの条件を考えるときに、残業代を含めるのはやめておきましょう。
残業代が出ない会社や職種もザラにありますし、確定していない残業代の収入を年収に含めて考えると、あとで痛い目にあうかもしれません。
残業代が出るという会社でも、
月○○時間のみなし残業代を含む
といった形で、基本給に含まれている場合もあります。
会社の業績が悪くて残業禁止になったり、サービス残業で対応せざるを得ない場合もあるでしょう
とくにスタッフ部門や販売系などで、
このように思っている方は、注意して頂きたいポイントです。
賞与(ボーナス)が出ない、額が少ない
年収に大きく関わってくるのが、ボーナスの内容です。
年俸で契約する会社であれば問題はないのですが、景気に左右される会社であれば、業績次第でボーナスが上下する場合があります。
ボーナスが減ってしまえば、年収ダウンにつながってしまうのです…
また、前職で賞与がある会社に勤務していた場合は、年俸制で12ヶ月割の給料体系になると、収入サイクルの変化に戸惑ってしまうかもしれません。
人間関係に潜むリスク
収入に関することは、事前に把握することが可能ですが、
人間関係については、入社してみないとわからない
ということがほとんどです。
ここでは筆者が実際に経験した、人間関係のリスクをご紹介しておきます。
転職先の社員と馴染めない
どんな会社でも、変わり者やイヤな人が多少はいるものですが、転職した際に、既存社員の輪に馴染めないこともあります。
とくに会社自体や部署が小さかったり、少人数の会社でありがちですが、
中途採用の社員が、なかなか仲間の輪に入れない
という場合があるのです。
小規模な会社では仲間意識が強くて、職場の人間関係が既存の社員同士でがっちりと固まっていることも多いもの。
仲間意識が強いということは、裏を返せば排他的であるといえます。
既存のコミュニティを優先するあまり、外様の人をなかなか受け入れない傾向があるのです。
このような傾向は、
- 創業時からの社員が多くを占めるベンチャー企業
- 家族経営の中小企業(オーナー企業)
などに多く見られます。
会社に馴染めるかどうかは、既存のコミュニティに受け入れられるかどうかで決まるので、かなりきびしい転職になってしまう場合があるのです。
妙なウワサが先行してしまう
入社する条件によっては、入社前から既存の社員に引かれてしまう場合もあります。
あなたのスキルが異常に高く評価されて、鳴り物入りで入社したりすると、
という感じで、ちょっと距離を置かれてしまうのです。
ほかにも、役職者の知り合いとして入社したりすると、
上記のような感じで、あらぬウワサを立てられてしまうこともあります。
このような場合は、コミュニケーションを取りながら、徐々に解消していくしかないでしょう。
会話のレベルが違いすぎる
年齢や仕事内容、知識などがあまりに違いすぎると、話がかみ合わずコミュニケーションをうまく取れない場合があります。
1~2枚くらい格下だったり、格上だったりする場合は、指導したり学んだりすることはできますが、それ以上に格が違うと話が合いません。
- 販売戦略の売上表が、どこからツッコんでいいかわからないレベルで稚拙な内容
- 休憩時間になると、ゲームやマンガの話、内輪の話などで盛り上がっている
このような状態であれば、「どうやってもついていけない」と思ってしまうこともあるでしょう。
相手を変えることは難しいですから、自分が合わせるように努力するしかありません。
とはいえ、受け入れられないこともあるものです。
筆者の場合は、職場にまったく馴染むことができず、退職が決定的になった時の飲み会で、かなり酔っぱらって既存社員の方と本音で話す機会がありました。
その結果、仕事に対する考え方の相違がありすぎて、
このように痛感したものです。
すこしイヤな言い方をすると、
それなりの会社には、それなりのレベルの人が集まる
ということでしょう。
玉石混交のような会社は、筆者は経験することはありませんでした。
40代は新しい職場に馴染みにくいのか?
年齢だけの問題にするわけにはいきませんが、既存社員や会社に馴染めないのには、40代という年齢も関係しています。
中途採用者が「よそ者」扱いであることに重ねて、40代という年齢は会社のなかで上の部類に入るのです。
20代や30代前半の社員にとっては、
という状態であり、たとえあなたが後輩扱いであったとしても、仲間としては認識してくれないことが普通です。
自分が20代の若手だった頃を思い出してみてください。
40代社員って、話しかけにくい存在ではありませんでしたか?
年上の人に仕事を教えるというのは、若い人から見ればいやなものですし、苦痛に近いものがあるでしょう。
馴染む努力をしなければなりませんが、ある程度は時間がかかることも覚悟しておく必要があります。
老害になっていませんか?
最近は「老害」という言葉をよく耳にしますが、40代でもうっかりするとそれに近いことがあります。
- 社会人としてのキャリアが十分だと自負している
- 以前の職場の方が大企業だった
こういった思いがあると、自分では意識していなくても、相手にはちょっと偉そうな態度に見えてしまうものなのです。
自分では謙虚にしているつもりでも、相手にとっては「鼻につく人」なのかもしれません。
管理職として肩書があればまだいいのですが、役職がなく対等な場合であれば、村八分のような扱いに合うこともあります。
新しい会社では、相手が寄り添ってくれるのを待つのではなく、自分から溶け込む努力と謙虚な姿勢が必要です。
郷に入れば郷に従え
40代ともなれば、社会人としての常識も身についています。
しかしこの「常識」というのがくせもの。
常識やルールは会社によって違うものですが、年を取れば取るほど、
自分の常識が正しい
と思い込みがちなのです。
会社によっては、今までの経験値から判断すると、とんでもなく変な常識がまかり通っていたりします。
違和感を感じることもあるでしょうが、その新しい常識を飲み込まないと、いつまでたってもよそ者扱いで馴染めずに苦労するのです。
明らかに非合法であったり、ハラスメント的なものなどでなければ、一旦は違和感を飲み込むことが、受け入れてもらう近道になるでしょう。
ひとつ例を挙げると、
オフィスの掃除はすべて社員が行う
というルールになっている会社があります。
もちろん、ゴミ捨てもトイレ掃除もです。
これまで大企業で勤務してきた人には、こんなルールは考えられないことかもしれませんが、それがその会社の「常識」なのです。
あなたが拒否したとしても、その常識は決して覆りません。
自分の常識は、自分が努力して苦労して学んできたものですから、その常識を捨てる必要はありません。
しかし、新しい会社を自分の常識だけで計ると、おかしなことになる場合もあります。
「郷に入れば郷に従え」と言葉でいうのは簡単ですが、実践するのはなかなか難しいことです。
しかし、先達の言葉はやはり的を射ています。
対策は社内の力関係を読むこと
転職先の人間関係を良くする対策として、理想的には仕事のことや会社のことを、何でも聞ける人を作ることでとても楽になります。
そのあとは社内政治に詳しい人と親しくなって、社内のパワーバランスが理解できると会社の実情が見えてくるでしょう。
オフィシャルで見える部分には限界があり、水面下で動いていることがいくらでもあるのです。
また、派閥が存在する会社もありますので、転職してすぐはニュートラルな立場を取っておくことをおすすめします。
主流派や対立構造が読めないうちに、どこかに取り込まれてしまうのはかなりリスキーです。
転職エージェントへの相談がおすすめ
転職にまつわる様々なリスクを回避するためには、第三者の客観的な意見を取り入れて、できるだけ多角的な視点で判断することが重要となります。
ハローワークなどで相談することも可能ですが、転職の相談相手として一番のおすすめは、転職市場のプロフェッショナルである転職エージェントです。
転職エージェントは、転職するため必要なノウハウを数多く保有しています。
さらに多くの企業と密接なパイプを持っており、
その企業がどのような人が欲しいのか?
という情報を詳細に把握しているのです。
あなたが転職活動を進めるうえで、有益な情報を数多く提供してもらえるだけではなく、様々な転職市場のデータに基づいて、客観的なアドバイスが得られます。
自身の目的に合わせて、転職エージェントを選択しよう
転職エージェントを選ぶにあたって、注意すべき点があります。
あなたが行きたい業界がどこかによって、転職エージェント選びが変わってくるのです。
転職エージェントには各社ごとの個性があって、得意とする年齢や業界・企業規模など、さまざまな特徴があります。
- まずあなたがどの業界に行きたいかを絞り込む
- 企業規模や狙うポストなど細かい条件を精査する
- その分野が得意な転職エージェントを探す
上記のようなステップを踏んで、相談する転職エージェントを選ぶことが大切です。
転職エージェントの選び方や活用する方法、40代におすすめの6社について、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
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まとめ:後悔しないためにリスク対策を準備しておこう
今回は、転職で起こりうる様々なリスクについて、筆者の転職経験にもとづいてご紹介しました。
リスクを挙げていくとキリがありませんが、リスクを知らないで転職活動するよりは、知っておいたほうが後悔することもありません。
どんなリスクがあるかを認識しておけば、事前に対応策が取れる場合もあるものです。
とくに40代であれば、転職にはより慎重を期する必要があります。
可能なかぎり、想定できるリスクは回避していきましょう。
このような覚悟を決めて、転職をしている40代の人も少なくありません。
しかし、それでも辞めてしまう人も大勢いるのです。
新しい環境に馴染むのは、自分だけの努力ではうまくいかない場合もあります。
もし精神的に追い込まれそうなら、再度の転職も視野に入れてみてください。
次がある、と思うだけで楽になることもあります。
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