転職先に求める条件をどうする?失敗しない優先順位のつけ方
転職を考えるとき、年代ごとに多少の違いがあるとはいえ、
いまの職場に不満がある…
このような方が多いでしょう。
しかし、目先の不満を解消するために、転職活動を急ぐあまり、
自分がどんな状況なら、満足できるのかな?
という希望条件を整理せずに、いきなり求人を探し出すのはNGです。
残念ながら、そういう状態で転職活動を始めてしまうと、転職に失敗する可能性が高まります。
転職を成功させたいなら、
転職先に求める希望条件を、きちんと整理してから求人を選ぶこと
上記がひとつのコツであると、筆者は考えています。
この記事では、これから転職を考える方に向けて、希望条件を整理しておくべき理由や優先順位を決める方法などについて、わかりやすく解説しています。
キャリアコンサルタントとして、これまで3000名以上の転職相談にのってきた、筆者の具体的なノウハウに基づいておりますので、ぜひ参考にしてください。
転職の希望条件に優先順位をつけておくべき理由とは
転職を成功させるためには、転職先に求める希望条件を整理することが不可欠です。
理由としては、以下の二つがあります。
- ミスマッチ応募を防ぐため
- 面接対策のため
この2つの中身について、具体的にみていきましょう。
転職に失敗した人の57%が、新しい会社にミスマッチを感じている
転職会議REPORTが20代~40代の転職経験者向けに実施したある調査によると、
- 転職に失敗したと感じている ⇒ 全体の26%
- 再度の転職を検討している ⇒ 全体の8.6%
このような実態が浮き彫りとなりました。
また、「転職に失敗したと感じる」と回答した人のうち、57%の人が、
- 入社前にもっていたイメージと、入社後の現実にギャップがある
上記のように、ミスマッチを感じたことを回答しています。
職場との相性は、実際に働いてみなければ分からないことも多いですが、
こんなハズではなかった…
と後悔をしてしまうようなミスマッチは、できるだけ最小限に食い止めたいものです。
転職でミスマッチが生まれてしまう理由
転職でミスマッチが起こってしまう理由は、以下のようなものです。
- 自己分析不足:
どんな環境なら、自分が満足して働けるのかを理解できていない - 企業研究不足:
求人票以上の情報だけで判断してしまい、自分と企業の相性を追求できていない - ミスマッチ:
入社後に知った情報(制度・社風・人間関係など)で、戸惑いや違和感をもっている
現状の不満を解消することばかりに気持ちが集中していると、自分の理想の働き方について、しっかり考える余裕がないのかもしれません。
たしかに、不満は日々感じるものなので、顕在化しやすいものでしょう。
それに比べて希望条件というのは、
といえます。
自分でもよくわかっていないので、
この企業は本当に自分にあっているのかな?
ということをしっかり調べないと出てきません。
しかし、求人票に書かれているキャッチコピーだけをうのみにして、入社を決めてしまう人が多いのです。
優先順位を整理せずに、適当に求人を選ぶとどうなる?
転職における希望条件について、優先順位をちゃんと整理せずに、目先の不満解消ばかりに注目していると、転職してもなかなかうまくいきません。
企業はモノではなく「人の集合体」ですので、長所があれば短所も存在しています。
人間同士なら、人との相性は必ず発生しますが、企業と人の間にも相性の問題は発生するものです。
転職活動をするときに、
何を重視して転職先を探すのか?
ということが曖昧なままだと、自分に合う企業をいつまでたっても見つけられません。
どこで働いていても、
やっぱり何かが違うな…
という違和感だけが残ってしまうのです。
希望条件があいまいな状態で転職した人は、転職先でもまた同じような悩みが発生してしまいがち。
常に何かの不満を抱えている状況で、働き続けることになってしまいます。
企業選びの優先順位を整理しておくことは、面接対策にもつながる
希望条件を整理しておくことは、ミスマッチを防ぐだけではなく、面接対策としても役立ちます。
採用面接のなかでも、
他にどんな企業を受けているのですか?
応募企業をどのようにして絞り込んでいるのですか?
こういった企業選びの軸について質問は、比較的よく聞かれる内容です。
面接官が企業選びの軸について質問する意図には、以下の3つの理由があります。
- 他の選考状況が知りたい(他社で内定が出ているのか?)
- ブレない転職軸をもっており、当社を選んだ理由に正当性があるか?
- 判断基準に論理性、妥当性、一貫性があるか?
転職の希望条件があいまいな状態で面接を受けてしまい、
職種も業界も受けている会社がバラバラだな…
面接官に上記のような印象を持たれてしまったら、
内定が出ればどこでもいいのかも…
こんな選び方だったら、またすぐ辞めるだろうな…
こんなふうに思われてしまって、あなたの評価は下がってしまうでしょう。
逆に面接のなかで、
- 自分なりの複数の判断軸
- 転職理由とリンクした選択軸
上記についてしっかりと伝えることができれば、大きく加点される可能性が高まります。
応募企業を選んだ志望動機や、今後のキャリアといった項目にも、説得力を持たせられるはずです。
希望条件を自分なりにしっかり整理しておくことは、企業選びに役立つだけでなく、内定の確度を高めることにもつながります。
希望条件を洗い出す手順
ミスマッチを防ぐためには、自分の希望条件や志向を細かく知ることが重要です。
自分でわかっていなければ、その条件を重要視することもありませんし、求人検索することもできません。
まずは自分の内面と向き合って、
- 自分のやりたいことは何か?
- どんな職場環境を望んでいるのか?
ということについて、思いつくことを挙げてみましょう。
1.まずは思いつくままに、希望条件を書き出してみる
まずは次の転職先に望むことを、思いつくままに紙に書き出してみましょう。
こういう会社がいいな…
でもいいですし、
こういう商品は扱いたくないな…
というようなNG条件でもいいです。
誰にも邪魔されない、落ち着いた静かな環境を用意して、自分自身の気持ちととことん向き合ってみましょう。
その際のポイントとしては、
実際に条件を満たす企業が存在するかどうかは、いったん置いておく
ということ。
できるだけたくさんの項目を、自分の言葉で表現することが重要です。
綺麗な表現でまとめることに時間をかける必要はありません。
まずは自分の気持ちや考えをとことん吐き出すことに、意識を集中させましょう。
2.考えておくべき転職の条件一覧(具体例あり)
希望条件とは、潜在的な意識に潜んでいるものですから、
モヤモヤしたままで言葉にできない…
なかなか思いつかないな…
このような場合もあります。
ここでは、転職で考えておくべき重要な条件の具体例を、以下でご紹介しておきます。
- 業界:
誰に何(商品・サービス)を売っている会社がいいのか - 職種:
どんなポジションにつきたいのか? 営業職 / 企画 / 管理 / 事務・アシスタント / 販売・サービス職 / 専門職など - ポジション:
メンバークラス / 管理職・マネジャークラス - 語学:
○○語を活かせるなど - 勤務地:
勤務エリア・交通機関の路線、自動車通勤の可否 - 雇用形態:
正社員 / 契約社員 / その他(業務委託など) - 転勤の有無:
有 or 無 - 年収:
月給×12+賞与、それぞれの金額についての希望 - 働き方:
年間休日日数、勤務曜日、連続休暇の有無、残業時間○時間以下、シフト制、フレックス制度の有無、服装自由など - 企業形態:
上場 / 従業員数の数 / 創業年 / 外資系か内資か / 企業規模など - 社風:
体育会系orフラット / 社員の平均年齢など - 福利厚生:
退職金制度、家族手当、産休・育休制度、資格支援制度、社宅・家賃補助制度など - その他:
評価制度、副業OKか、リモートワークOKかなど
3.仕事内容まで踏み込んで、できるだけ詳細に希望条件を検討する
希望条件は、できるだけ詳しく考えておきましょう。
例えば、営業職を希望している場合。ひと口に営業といっても、色々な営業のスタイルがあります。
どんなタイプの営業がいいのか、自分なりにこだわりを整理しておくべきです。
- 対象顧客(法人か個人か?)
- 代理店営業か直販営業か?
- 既存営業か新規営業か?
- 無形商材か有形商材か?
- 高額商品か低額商品か?
- 対面か非対面か?
- 外勤か内勤か?
- テレアポはあるか?
- 飛び込みはあるか?
- 直行直帰型か?
- 営業スパン(アプローチから納品までの期間)の長短はどうか?
こういった希望がしっかり整理されておらず、営業というだけでなんとなく転職先を選んでしまうと、
なんだか、思っていた営業スタイルと違うな…
上記のような後悔をしてしまうことになりかねません。
4.自分の気持ちを具体的に言語化する
数値化しにくい、フリーワードの希望条件も大切にしましょう。
ミスマッチを防ぐためには、
自分の志向性を言語化しておく
ということが重要です。
たとえば、
人間関係のよい職場が理想です
このようなことは、誰もが思いますよね。
しかし、自分が居心地よく感じる人間関係は、人によって異なりますので、
自分自身が居心地よく、理想とする人間関係とはどういうものなのか?
ということを、具体的に整理しておく必要があります。
その際に、
女性の上司や、女性が多い職場はどうも苦手で…
自分には、トップダウンの社風は合わないな…
上記のような、これまでの失敗経験を参考にすると、具体的に表現しやすくなるのでおすすめです。
この他にも、
- 会社の成長性(事業戦略)
- 企業理念
- 財務状況
こういった点にも希望があれば、言語化して明確にしておきましょう。
希望条件の優先順位を決める際のポイント
希望条件をひととおり出し終わったら、
今回の転職で、何を優先的に実現したいのか?
という点を考えながら、優先順位を整理していきましょう。
必須条件と歓迎条件に分けよう
書き出した希望条件について、まずは自分の考えのままに、以下の2つに分けていきましょう。
- 必須条件:どうしても叶えたい希望条件
- 歓迎条件:叶ったらうれしい希望条件
その際に、
すぐには無理だけど、〇年以内には実現したい
上記のような時間軸を追加して分類すると、整理がしやすくなります。
家族に相談したうえで考える
優先順位をつけるうえで忘れてならないのが、
家族の希望や意見をふまえて考える
ということです。
とくに世帯主の場合は、配偶者の意見や家族の状況を尊重したうえで、希望条件の整理をする必要があります。
勤務地や年収、残業時間などは、家族の同意が必要なケースも多いはずです。
せっかく内定が出たのに、入社承諾をしようと思ったら、妻から猛反対されてしまった…
こんな展開になってしまうと、転職活動が振り出しに戻ってしまうので、家族とは早めに条件をすり合わせしておきましょう。
優先順位が高くても、同時に叶わない条件もある
最初の優先順位づけが終わったら、内容について改めて検討を重ねていきましょう。
修正すべき例として多いのが、
- 実現不可能な組み合わせを、優先順位の上位に並べている
というケースです。
たとえば、
- 企業規模の大きい会社(一部上場企業)
- 転勤がない会社
上記のような条件の組み合わせは、同時に叶いにくい傾向にあります。
企業規模が大きい企業は、全国各地に支店を持っているので、どうしても転勤が発生しやすくなるのです。
ほかにも、
- ワークライフバランスを改善したい
- 年収を上げたい
こちらも、同時に叶いにくい条件の組み合わせのひとつ。
残業時間を今の1/3に減らしたい…
上記のように考えるのであれば、残業代も同じ割合で減ってしまいます。
よほど基本給が高い企業でないかぎり、年収を上昇させるのは厳しいでしょう。
希望条件の優先順位を考えるうえで、
- あちらを叶えれば、こちらは無理
という組み合わせがある場合は、希望条件の優先順位のつけ方に再検討が必要です。
「働き方」の優先順位が高い人は要注意!
働き方改革という言葉が登場するようになって、残業時間の上限について、法律で厳しく規制されるようになりました。
ここ数年の間で、企業選びの軸に、
- 残業○時間以下
- 年間休日○日以上
- 有給取得率〇%以上
こういった条件を加える人の割合が、一気に増えたように感じます。
確かにワークライフバランスは、仕事選びにおいて大事な要素のひとつです。
転職を考える理由が「ワークライフバランスの改善」なのであれば、次の企業に求める条件として、働き方の指標を入れないことのほうが不自然でしょう。
しかしワークライフバランスとは、例えていうなら「衛生環境」のようなものなので、
清潔で過ごしやすい職場で働きたい
健康的に過ごせる職場がいいな
上記を求めているのと同じことなのです。
入社してしばらくは、働き方の改善が大きなモチベーションになったとしても、時間が経てば当たり前となってしまい、ありがたみは薄れてしまうでしょう。
水や空気が綺麗であることに、いつまでも感動し続けることは難しいもの。
それと同じで、ワークライフバランスだけで仕事の満足度を維持するのは、相当に難しいことなのです。
熟考すべきは、衛生環境が整っているとして、
ということではないでしょうか?
高い満足感・充実感を維持しながら、長期的に働き続けられるかどうかは、ワークライフバランスとは別の要素で決まります。
満足度を長期に維持できる要素を、優先順位の上位にきちんと入れているか?
ということを、再確認しておきましょう。
仕事選びで重視するべき要素とは?
あくまでも筆者の意見ですが、仕事選びで重視すべるきことは、
- 誰のために何をするのか?
- 誰にどんな価値を提供するのか?
このようなことだと考えます。
社内外を問うことなく、
○○のためにこんな貢献がしたい!
こんなスキルを身につけて成長したい!
上記のようなことについて、どれだけ自分なりの言葉で語れるかです。
- お客様の課題解決をしたい
- これまでのノウハウを、後輩の育成に役立てたい
自分の想いをのせて語れる理由であれば、どんな内容でも構いません。
こういった仕事に対する価値感を、きちんと言語化できている人は、企業選びにブレもなく、ミスマッチが起こりにくいでしょう。
転職の条件に関する注意点
転職の条件を考えるうえでは、押さえておくべき注意点もあります。
以下の点には留意しておきましょう。
応募するときに、すべての条件を調べる必要はない
応募企業が自分の希望条件に合致しているかどうかを、応募する前にすべて明らかにする必要はありません。
入社後のミスマッチを防ぐことが目的ですので、内定をもらって、入社を承諾前に確認する形でも間にあう項目もあります。
内定後であれば、応募企業の人事に直接確認することも可能でしょう。
企業研究のコツは、応募企業を1から10までつぶさに調べあげるのではなく、優先順位をつけて情報収集をしていくことです。
- 面接に合格するための企業研究:
沿革、経営者情報、商材の特性、売上高、取引先情報、競合情報、中期経営計画(企業理念含む)、業務内容など - 入社するか判断するための企業研究:
年収や評価制度、産休・育休取得状況、ワークライフバランス(残業や有給)など
書類選考・面接対策としては、できるだけ❶に関する項目を集めて、履歴書や面接の志望動機作成に活用していきましょう。
企業研究で集めた情報は、
上記のように、活用する場面は多岐に渡ります。
たくさんの企業情報を集めれば集めるほど、他社比較などもできて知識に厚みが出ますので、早めに取り掛かりましょう。
なお、応募企業についてどのようにリサーチするかは、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
入社後の条件は面接の評価次第で変化する
求人票に記載されている雇用条件は、面接の評価次第で上振れすることもあります。
たとえば、求人票に書いてある月収の情報が、
- 月給25万円以上
- 月給は25万~35万
上記のように記載されているのであれば、必ずしも下限値の25万円でスタートするとは限りません。
面接の評価によっては、数万円プラスされてスタートする場合もありますので、
求人票に書かれている最低金額では、希望と合わないな…
このような考えで除外してしまうのはもったいないです。
40代の場合は、書類通過率が他の年代と比べても、どうしても低くなりがちなもの。
少しでも希望条件に近いものがあれば、完全なる合致でなくとも、一旦は検討してみましょう。
また、誰もが使える手段ではありませんが、内定後でも条件交渉は可能です。
給与交渉のノウハウについては、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
まとめ:希望条件の優先順位を明確にすておくことが転職成功への近道
今回は、希望条件を整理しておくことの重要性と、優先順位のつけ方について詳しくお話ししてきました。
希望条件の整理と優先順位づけをしないで、なんとなく選んだ企業に入社してしまうと、ミスマッチを感じやすくなるでしょう。
入社して早々に、転職を後悔するような展開になりかねません。
転職をするときは、
この転職で〇〇を実現させたい!
転職して○○を改善したい!
上記のような、確固たる転職軸を持って進めるべきです。
○○に何を入れるかは、人それぞれですが、年収や働き方などの待遇面ばかりを優先して企業を選んでも、入社後の満足度は持続しないでしょう。
長期的なモチベーションを保つためには、
- 誰のためにどんな価値を発揮をするか?
- 仕事でどんな成長をしたいか?
こういった点について、自分の言葉でしっかりと言語化して、その基準に沿った企業選びをすることが重要です。
40代であれば、
これを最後の転職にしたい!
このように考えている人も多いはずです。
目先の不満を解消するだけではなく、
自分がどのような働き方であれば満足するのか?
ということをしっかりと自己分析したうえで、転職する企業を選んでいきましょう。
セカンドゴングは40代の転職を応援しています!
当サイト(セカンドゴング)では、40代の転職に特化した転職ノウハウについて、
- 実際に40代で転職を経験した人
- 企業の採用担当・キャリアコンサルタントなど、転職活動に知見を有する人
上記のようなメンバーが数多くの記事を提供しています。
転職活動を攻略するためのコツとして、以下のようなコンテンツをご用意していますので、ぜひ参考にしてみてください。
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