(執筆:Rika)
40代の転職を成功させるためには、40代の転職を取り巻く状況や現実まずを知ることが大切です。
そのうえで転職活動の具体的な流れや、各ステップごとの対策や攻略ポイントを学ばなければなりません。
40代の転職活動で失敗する人のいちばんの原因は、転職に対する認識が甘いという点につきます。
求人の探し方や、面接での受け答えひとつをとっても、40代には「40代なりの攻略法」が存在しているのです。
この記事では、これから40代の転職活動を始めようと考えている方に向けて、以下の4点について解説します。
この記事を読みながら、必要な参照先をチェックしていけば、中高年が抱えやすい転職の悩みについて、解決するためのヒントが得られるはずです。
目次を参考にして、ご自身に関連する部分からお読みください。
転職市場における40代を取り巻く状況とは

かつては「転職は35歳まで」と言われていましたが、その状況は今では大きく変わっています。
まずは現在の転職市場の状況はどうなのか、そのなかで40代が置かれている環境を確認してみましょう。
人手不足は今後さらに顕著になる
2030年には、日本の労働人口は644万人が足りなくなると言われており、既にあちこちで人手不足による倒産が相次いでいます。
2030年、人手は644万人不足する
推計の結果、2030年には、7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、「644万人の人手不足」となることが分かりました。
産業別において、特に大きな不足が予測されるのは、サービス業、医療・福祉業など、現在も人手不足に苦しむ業種であることが分かりました。
これらの業種は、少子高齢化やサービス産業化の進展により今後も大きな需要の伸びが予測され、労働供給の伸びがそれに追いつかないと考えられます。
パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」より
これから転職を考えるのであれば、転職市場の動向を踏まえて、40代を積極採用している業界に照準を合わすのもひとつの手法です。
今後の需要を考えて求人を探そう
求人を探すうえで、
これから需要がのびる業界・職種はどこなのか?
このような考察をしておくことは非常に重要です。
筆者は先日、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に関する勉強会に参加しました。
RPA (Robotic Process Automation)とは、コンピューター上で行われる業務プロセスや作業を人に代わり自動化する技術です。
人間が繰り返し行うクリックやキーボード入力など定常的な業務が自動化できることから、仮想知的労働者(デジタルレイバー)とも呼ばれています。
UiPath「働き方改革を実現するRPAとは」より
ここ数年でロボットの識字率は各段に上がり、マニュアル化できるような仕事は、PC内のロボットが数分で実行できるレベルになっています。
つまり近い将来、オフィスワークの自動化が劇的に進む可能性があるのです。
ロボットで代用できる仕事のスキルしか持っていなければ、食べていけない時代が来てしまうかもしれません。
このような観点からみると、今これから事務職に転職する人は、この先5年後、10年後に、別の職種への再転職をせまられる可能性があり得ます。
今回の転職を最後にしたいと考えるのであれば、中長期的な視野で、希望する職種の展望を分析してみましょう。
就職氷河期世代に対する支援について
2019年後半あたりから、「氷河期世代に対する支援」が盛んに報道されるようになり、転職市場における大きなトピックになりました。
各都道府県や自治体で、次々と氷河期世代への支援策が発表されています。
首相、3年計画策定指示 就職氷河期世代を集中支援
安倍晋三首相は10日の経済財政諮問会議で、バブル崩壊後の「就職氷河期」に社会人となって非正規社員として働く30代半ば~40代半ばの人を対象に、就職支援を強化するよう関係閣僚に指示した。
今後3年間の「集中プログラム」を夏までにまとめ、数値目標も掲げる。中途採用を増やす企業への助成拡充などを民間議員が提言したのを受け「氷河期世代への対応は国の将来に関わる重要な課題だ」と応じた。
出典:産経新聞(2019.4.12)より
政府にはさまざまな思惑があって、単なる救済措置という背景だけではないようです。
しかし、大きなトレンドとして形成されるのであれば、この流れを利用しない手はないでしょう。
コロナ禍による転職市場への影響は?

多くの人が今後の動向として気にしているのは、
コロナ禍によって、転職市場にどのような影響が出ているのか?
ということでしょう。
大手人材会社の発表資料にもとづくと、以下のような変化が見られます。
- 40代求職者の約6割が「求人が減った」と感じている
- 売り手市場が弱まる一方で、依然として採用意欲の高い企業も存在している
- Web面接を導入する企業が増え、採用手法としての定着が予想される
全体として求人が減っている傾向はあるものの、ネガティブな影響ばかりではありません。
業態をシフトチェンジする企業も増えており、「2021年はミドル年代の求人が増える」と考えている転職コンサルタントも多いのです。
コロナ禍の状況であるからこそ、転職活動をするうえでも、
- 業績が好調な伸びている会社を見極めやすい
- 働き方の変革に柔軟な会社かどうかを知ることができる
- 転職に消極的になる人も増えるので、ライバルが少なくなる
上記のようなメリットが得られますので、臆することなく転職活動を進めましょう。
業界によって影響差がある
エン・ジャパンが2020年12月に発表した『1万人が回答!「コロナ禍での転職活動について」』によると、
コロナ禍によって求人が減った
上記のように感じている人は、40代転職者の61%にのぼります。
とくに深刻な影響を受けているのが、
- 流通・小売業界
- 飲食業界
- 旅行業界
といった業界でしょう。
これらの業界では、中途採用自体にストップをかけて、再開の見通しが全くたっていない企業もあります。
一方で、巣ごもり需要から、
- Eコマース関連企業
- IT系企業(ビジネスチャットシステムなどを開発)
上記などの業界では好況となっており、継続して高い採用意欲を持っている企業も多いです。
希望する業界によって採用動向が大きく異なるので、事前の情報収集をしっかりおこなって、応募する企業を見極める必要があります。
企業における人手不足は変わらない
マイナビが2020年10月に発表した資料によると、緊急事態宣言後も正社員の不足感を持っている企業は、全体の48.5%となっています。
◆緊急事態宣言後の正社員の過不足感
人事担当者の過不足感 | 割合 |
---|---|
とても不足している | 8.8% |
不足している | 39.7% |
過不足はない | 26.2% |
余剰している | 19.0% |
とても余剰している | 6.3% |
また、今後の採用意向については、全体の62.4%の企業が、「以前どおり」もしくは「積極的」に採用を進めると回答しています。
◆今後の採用意向について
人事担当者の採用意欲 | 割合 |
---|---|
積極的になる | 8.3% |
やや積極的 | 15.0% |
以前と変わらない | 39.1% |
やや消極的 | 19.7% |
消極的になる | 14.3% |
採用活動をしない | 3.6% |
コロナ禍の状況にあっても、自社の人手不足を感じており、採用を進めている企業が多いことがわかります。
業態のシフトチェンジでミドルの求人が増える
2020年12月に『ミドルの転職』が発表した資料によると、コロナ禍にあった2020年も掲載求人件数は増えており、
2021年はミドル世代を対象とした求人がさらに増える
という動向を予想しています。
2020年は企業業績の悪化で採用を抑制する動きが目立ちましたが、『ミドルの転職』の掲載求人数は前年を上回る水準で推移しました。
コロナ禍によって企業が一段と早いスピードでの変革を求められる中、それを推進する中核として、ミドル世代の持つ経験への期待がむしろ高まっていることを反映しています。
また、リモートワークの急速な普及や副業の拡大などによって、住む場所や所属する組織といった条件は、新たな仕事をする上での制約ではなくなりつつあります。
ミドル世代にとっては、これまでよりも視野を広げることで、自身の経験を活かす機会に出会える可能性が広がっていると言えるでしょう。
エン・ジャパン『2021年「ミドルの求人動向」調査』より
コロナ禍の影響によって、企業におけるビジネスモデルや働き方の変革は、待ったなしの状況です。
そのなかで、これまでの豊富な経験を活かして変革の中心に立てる、ミドル世代の活躍が求められています。
コロナ禍の状況にあるからこそ、
- Web選考などを積極的に取り入れる
- これまでの経験を分析して、自身の強みを見い出す
- 業界や職種の視野を広げて、求人に応募する
上記をしっかり押さえて、転職活動を進めることが大切です。
40代転職の現実を知っておこう

実際に40代が転職活動をはじめると、どんな日々が待っているのでしょうか?
40代の転職を成功させるための第一ステップとして、40代の転職における現実をよく知っておく必要があります。
転職市場において、40代の転職はなぜ難しいのかを知ったうえで、実際に40代転職を経験した人の体験談などを参考にしてみましょう。
40代の転職はなぜ厳しいのか?
40代の転職が、若いころと比べて厳しいのはなぜでしょうか。
大きく分けると、スキルに関するものと組織上の理由の2つがあります。
【スキルに関する理由】
- 即戦力性が求められるから
⇒業界や職種の親和性がないと合格しない - メンバーとしてではなく、マネジメント能力を問われるから
⇒将来の幹部候補として活躍イメージがなければ合格しない - 適応力や柔軟性がないと想定されるから
⇒これまでの慣習や価値観で凝り固まっているのではと思われている
【組織上の理由】
- 育成が必要ならば、40代よりも若年層を採りたいから
- 組織構成上の観点から、現場責任者より年下を採用したいから
実際に、このような現実を自身の転職活動で実感した人たちが、転職体験談を記事にしていますので、参考にしてみましょう。
40代の転職活動は難しい。でも「成功できる!」
40代の転職者は、若い世代には求められないことを要求され、厳しい転職活動を強いられることが多いです。
しかし、苦しい転職活動のなかでも、自分なりに成功の法則を見いだして、実践している人たちがいます。
安易な気持ちで転職を決断できる年代ではありませんが、40代での転職は「絶対に不可能」というわけではありません。
ひとつひとつの失敗経験を糧にして、転職成功をつかんだ体験談も数多く紹介されていますので、ぜひ参考にしてみましょう。
40代でも未経験職種へ転職できるのか?

今の仕事に飽きてしまった…

新しいことに挑戦してみたい!
このような思いを抱えている方も、意外に多いのではないでしょうか。
「就職氷河期世代」と呼ばれて、新卒時の就職活動で非常に苦労したのが、いまの40代です。
思うようなキャリア形成ができずに、40代になってしまった方もいるでしょう。
未経験職へ転職するための心構え
未経験職種への転職は、どの年代にとっても簡単なことではありませんが、
- 年収ダウンの覚悟がある
- 年下の上司でも問題ない
こういった心構えがあるのであれば、可能性はゼロではありません。
資格が必要となる職種もありますが、定年が伸びている今、40代でも決して遅くはないのです。
未経験職への応募に対する解説や実際の体験談は、当サイトでも数多くご紹介していますので、ぜひ参考にしてみましょう。
職業訓練など公的機関のバックアップを活用しよう
未経験職種への転職を果たすために、職業訓練などの公的機関のバックアップを利用することもひとつの方法です。
受講するためには、いくつかの制約・条件がありますが、上手に活用して夢を叶えた人もいます。
職業訓練に関する解説や実際の体験談は、以下の記事がありますので、ぜひ参考にしてみましょう。
▼あわせて読みたい記事▼
転職活動の具体的な流れ(転職活動の6ステップ)

転職活動には、大きく分けて以下の6つのステップがあります。
ぞれぞれのステップでやるべきことを理解して、しっかり対策することが重要です。
本当の意味で転職を成功させるためには、単に「企業から内定がもらえればよい」というわけではありません。
自分に合った仕事と職場を見つけて、その企業から内定をもらう必要があるのです。
そのためにも、しっかり自己理解を深めてから求人探しや面接対策ができるよう、ステップ順に丁寧に進めていきましょう。
転職活動に疲れたときの対処法

40代の転職活動では、書類審査の通過率は2割前後なので、内定をもらうまでにはまとまった応募数が必要です。
もちろん例外はありますが、多くの40代の方は、転職活動には数ヶ月以上は要するでしょう。
長期化する転職活動のなかで、ときには肉体的・精神的に疲れを感じることもあるはずです。
モチベーションが下がったり、壁にぶちあたって停滞感を感じるときは、どのようなリカバリー策を取るべきなのでしょうか?
モチベーションは長引けば下がるもの。早めに対策しよう
ダイエットや勉強するときでも、なかなか思うような結果が出ないと、

このまま続けていても大丈夫なのだろうか?
こんなふうに悩んでしまいますよね。それは転職活動でも同じです。
いくつか面接予定が入るなど、転職活動が少しでも前進している実感があれば、気力の維持もできます。
しかし、書類選考に落ちてばっかりで、前に進んでいる実感がない状態では、精神的な辛さを感じやすくなってくるでしょう。
しかも転職活動の場合は、まわりに同じような状況にいる仲間を見つけることが難しく、苦労や悩みを共有できる相手もいません。
- 慣れない転職活動への疲れ
- 家族からのプレッシャー
こういったものが加わって、押しつぶされそうな気持ちを経験する人も少なくないはずです。
辛い状況を早く脱したいという気持ちから、

もうどんな企業でもいいから、適当に応募していこう
こんなふうに投げやりになったり、

しばらく活動をストップするか…
上記のように、転職活動自体を止めてしまう人がいます。
しかし、適当に応募したり活動をストップしたところで、事態打開の根本的な解決にはなりません。
とくに離職中である場合は、
離職期間が長くなるほど、書類通過率が低下してしまう
という面があるので、負のスパイラルに落ちてしまいます。
モチベーションをコントロールすることは、転職活動において重要な要素なのです。
モチベーション維持策に関しては、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
不合格を無駄にしないで!今後の対策につなげよう
書類選考や面接での不合格が続けば、落ち込まない人はいません。

いったいなぜ不合格なんだろう…
上記のように理由を知りたくなるでしょうし、きちんと対策をたてて、次の応募に役立てたいところです。
しかし、選考で不採用となった理由について、詳細に開示してくれる企業はほとんどありません。
大多数の企業では、
上記のような曖昧な表現で、不採用の通知が届きます。
応募者は、「自分がなぜ見送られたのか?」がわからないのです。
なんだか全否定されたような気になって、絶望感を味わう人もいるでしょう。
しかし、ネガティブな気持ちを引きずっていても、客観的な視点で原因を追究できません。
次の応募先でも、結局は同じような結果を招いてしまいます。
不採用続きの悪循環にならないように、早期に気持ちを切り替えることが重要です。

今回決まらなかったのは、どこに問題があったのだろうか?
このように不合格をバネにして、
自身の対応をブラッシュアップしていくこと
上記に自分の気持ちと時間を集中させましょう。
より具体的なアドバイスを、以下の記事で紹介しています。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
特殊な転職活動もやり方次第で成功できる

40代ともなれば、20代のころとは違って、家族の事情を考慮した仕事選びが求められます。
そういった状況別のノウハウも、当サイトで確認しておきましょう。
U・Iターン転職を成功させるためには

いずれ故郷へ戻って、残りの仕事人生を歩みたい
このように考える人にとって、U・Iターンを実現できるタイミングは、そんなに数多くはやってこないでしょう。
- 自分の仕事上の都合
- 配偶者の仕事の状況
- 子どもの学校の問題
- 住宅の売却 など
上記のような、調整すべき課題がいくつもあるからです。
さまざまな転職活動のなかでも、U・Iターン転職は難易度の高い転職活動といえます。
- 地方の求人情報をどのように集めるのか?
- 面接は現地でないと受けられないのか?
- 辞めてから活動をした方がいいのか?
- 内定から入社まで、どれくらい待ってもらえるのか?
ざっと思いつくだけでも、上記のようにさまざまな質問が浮かび上がるはずです。
U・Iターン転職の具体的ノウハウについては、以下の記事でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ワーママ転職を成功させるためには
40代女性が子育てをしながら仕事をこなすためには、
勤務時間 / 休日 / 勤務場所 など
上記のような様々な制約があるなかで、求人を探す必要があります。
正社員で時短勤務ができる求人は、東京のような大都会でもないかぎり、とても少ないのが実情です。
ただ、じつは求人化されていないだけで、探し方によっては、ワーママ歓迎のポジションをたくさん見つけることができます。
ワーママが転職を成功させるために知っておきたい、5つの求人探しの方法について、以下の記事でご紹介していますので、確認しておきましょう。
また、実際に40代ワーママが転職に成功した、転職体験談の記事もありますので、あわせて確認してみてください。
まとめ:40代の前向きな転職を成功させよう

この記事では、40代の転職活動について詳しくお話ししてきました。
厳しい現実を知って、驚かれた読者の方もいるかもしれませんね。
40代の転職活動がうまくいかない一番の理由は、
転職に対して、認識の甘さがあること
上記が原因であると筆者は思っています。
いちど不合格になった企業に、再び応募することはできません。
40代の転職に存在するリスクを知ってから、転職活動を開始しましょう。
ひとつひとつのチャンスを最大限に活かせるよう、しっかりと準備をすすめてください。
皆さんの前向きな転職活動を成功させるために、セカンドゴングは40代のための転職情報をこれからも発信していきます。